ZIPANG-8 TOKIO 2020 東日本大震災から13年「減災」こそより強く刻まれた教訓【東海新報社 鈴木英里】
令和6年1月1日午後4時10分頃発生した、
能登半島地震で被害を受けた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。(編集局)
2024年陸前高田 海鳥たちも戻ってきた ©東海新報社 鈴木英里
2019年陸前高田 2月の空白に灯をともす ©東海新報社 鈴木英里
【遺族の悲しみ 繰り返させぬ】
全国でおよそ1万9000人もの無辜の命が失われてから、きょうで13年を迎えた。
振り返ればあっという間に感じられ、まるで昨日のことのようにあの日がよみがえる——
しかしそれはあくまでも、当事者の言い分だ。
もし小中学校へ行って、「3月11日は何の日でしたか?」と子どもたちに尋ねたら。
おそらく瞬時に答えが出る児童・生徒は以前より減り、反応が返ってくるまでにいくらかの空白が生じるであろう年月である。
やがては本紙でも、
【東日本大震災】(ひがしにほん・だいしんさい)平成23年3月11日午後2時46分に発生した、三陸沖を震源とするマグニチュード9・0の巨大地震と、それが引き起こした大津波災害。岩手、宮城、福島の沿岸部を中心に甚大な被害をもたらした
——というように、注釈を加えなければならぬ日が来るだろう。いや、これもまた経験者の論理であり、すでにその日は来ているのかもしれない。
あの災害を経験した人と、そうでない人の意識の乖離は大きくなる一方だ。
それでも、うまず、たゆまず、繰り返し伝えていかなければいけない。
「大船渡市では340人、陸前高田市では1557人が犠牲となった。
今も大船渡市で79人、陸前高田市で201人の行方が分かっていない」と。
この地域だけ見てもそれだけ多くの人命を失い、そしてその何倍もの数の悲しみが生まれたことを。
今ではもう誰も仮設住宅で暮らしてはいない。
災害公営住宅や防災集団移転団地の整備によって住まいの再建はあらかた落ち着いた。
地盤かさ上げを含む被災市街地復興土地区画整理事業、防潮堤工事なども済んだ。
一部の海岸保全施設の整備を残すのみだったハード面の復興事業も、年度内にすべて完了する。
〝まちのかたち〟は、おおよそ整った。
今では被災のつめあとを探すことのほうが困難になっている。
しかし、遺族の悲しみを、その傷を、完全に消し去る方法を私たちはまだ持ち合わせていない。
少しずつ癒えたとして、表に表れる瞬間が徐々に減ったとして、時には、歳月を経てなおくっきりと浮かび上がることさえある。
物質的なものは時間をかければ取り返せるが、失われた人命だけは、どうあっても取り戻すことはできないのだ。
ただし、間違いのないことはもう一つある。災害で大切な人をなくす、その喪失の悲しみは、事前の努力によって減らせるのだと。
自然災害自体は防げない。けれどそれによって失われるものを極力なくす「減災」という言葉は、あの震災の後、より強く刻まれた教訓ではなかったか。
繰り返す。私たちは、うまず、たゆまず、繰り返し伝えていかなければいけない。
命を守るための方法を。
きょうの本紙は特別紙面で〝備え直し〟というテーマを設定した。
単に「防災」というだけでは足りない。私たちがこれまで行ってきた備えは、果たして十分なのか。
一から見直し、考え直し、そしてまた、下の世代とともに学び直す。
それが、多くを失った被災地の態度として必要なものだ。
守ろう、まずは自分の命から。「遺族」となる悲しみを、
もう誰にも味わわせないために。
(東海新報社代表取締役 鈴木英里)
東海新報社
岩手県気仙地方、大船渡市と陸前高田市、住田町をエリアとした地域紙
大船渡市 (Japan・岩手県)大船渡町字鷹頭9-1
電話:0192-27-1000
mail:tohkaishimpo.com
※画像並びに図表等は著作権の問題から、ダウンロード等は必ず許可を必要と致します。
発行元責任者 鎹八咫烏(ZIPANG TOKIO 2020 編集局)
アーカイブ リンク記事をご覧ください。
祈り 天照御祖神社(7月18日) 岩手県陸前高田市高田町 撮影:鈴木英里
《参考資料》
東日本大震災「避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関する
ガイドライン」について【厚生労働省】
今般の東日本大震災で被災され、避難所生活を送られている被災者の健康管
理について、発災直後からの長期にわたりご尽力いただいていることに、感謝
申し上げます。
避難所生活が長期化する中、今後、夏場を迎えるにあたり、避難所で生活さ
れる被災者の健康を守るための対策が、より一層重要となってきます。
避難所の健康管理については、これまで、関係部局から事務連絡等により、
留意点などをお示ししてきましたが、避難所運営の管理やその支援に携わる
方々のため、分野横断的に留意すべき事項等を取りまとめた「避難所生活を過
ごされる方々の健康管理に関するガイドライン」をこの度、作成いたしました。
避難所の運営にあたっておられる管理者や運営の支援に携わっている方々が、
避難所生活を送る被災者の方々の健康管理にあたり、適宜、ご活用をいただけ
るよう、貴管内市町村及び避難所の管理者等へ周知をお願いします。
(詳しくは下記のURLよりご覧ください。)
ZIPANG-8 TOKIO 2020参考資料:被災者の健康を守るための対策 東日本大震災「避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン」について【厚生労働省】(平成23年6月3日版)より
https://tokyo2020-8.themedia.jp/posts/51426985
※現在、2250件余の記事掲載、下記のサイトからご覧ください。
ZIPANG-7 TOKIO 2020 (VOL-7)
https://tokyo2020-7.themedia.jp/
ZIPANG-6 TOKIO 2020 (VOL-6)
https://tokyo2020-6.themedia.jp/
ZIPANG-5 TOKIO 2020 (VOL-5)
https://tokyo2020-5.themedia.jp/
ZIPANG-4 TOKIO 2020 (VOL-4)
https://tokyo2020-4.themedia.jp/
ZIPANG-3 TOKIO 2020 (VOL-3)
https://tokyo2020-3.themedia.jp/
ZIPANG-2 TOKIO 2020(VOL-2)
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ZIPANG TOKIO 2020 (VOL-1)
https://tokyo2020-summer.themedia.jp/
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