第8話 ドラゴンとの決闘3
「ウギャアアアアアアアアアア!」
「やばい」
地面に突き落としたドラゴンの亡骸を見ながら泣いている大きなドラゴンの姿を見ながら、俺は全身と言う全身から汗が噴き出すのを感じていた。
「ウガアアアアアアアア!」
「うわあ、来るな!」
そう言いながらも、きっと逃がしてはくれないんだろうなって考えつつ、俺はこの状況を打破するのにどうしたらいいのか考えていた。
「ウガアアアアアア! ウギャアアアアアアア!」
「やばいって、やばいって! どうする」
ドラゴンの口から放たれる火炎放射は波状攻撃の如く大量に襲ってきて、少しでもかすめるとその熱がこちらを焼き付ける様な感じがする。いや、実際に焼き付けているのだろうか。
「ガアアアアアアアアアアアア!」
「ええい、ままよ!」
そして、敵の火炎放射が狙ったように自分の進路と重なって攻撃されたために、付与魔法エンチャントした剣でどうにか防ぐ。剣に付与した水があっという間に蒸発したかのように消えるのを、必死に魔力を送ることで耐え抜く。
レイス先生の魔力貯蔵量増大の訓練を途中からかもしれないが真面目に受けておいてよかったと感じながら、敵の猛攻を耐え抜くと、そこには敵の爪が近づいていた。
「なんの!」
「!」
それを間一髪でかわして、どうにか敵に一発攻撃をかます。すると、敵もそれに気が付いたみたいである。
「どう……」
そこで、グラっと意識が落ちそうになるタイミングでようやく気が付く。
「魔力枯渇⁉ このタイミングで⁉ 全然攻撃出来ていないぞ⁉」
魔力とは魔法を使い過ぎると当然枯渇してくる。それは、さながら筋肉を使ったら体が疲れるように変化が現れるのだが、それが魔力の場合には意識が落ちそうになるという現象だ。この他にも戦闘中にもかかわらず眠気が襲う、貧血のようにだるさがおそうなどの一連の症状を魔力枯渇と言うのだが、彼の場合には飛行するための翼を出す魔法にドラゴンにダメージを与えたり防御するのに使っていた付与魔法のせいで限界が近づいていた。
「よりにもよって空だぞ⁉ どうする、地上に逃げるか! でも、そしたらこいつを城壁のそばに連れて行くことになる!」
今まで城壁に被害を出さないように空中で戦っていたのに、それでは本末転倒。どうする、そう思っていた時だ。
パンッ、パンッ
「信号弾! あれは、交代? 及び陣地へ帰還せよ……」
交代の意味は分からない……だが、陣地に帰還せよはつまり城壁内に帰還せよという事だと理解して、急いで城壁の方向に向かう。すると、ドラゴンも一緒にこっちに向かって急降下してくる。
二色の信号弾を眺めながら、何とか城壁に帰ろうとする。
「猛攻撃しないでくれよ」
「ガアアアアアアア!」
「そう許してはくれないよな!」
火炎放射がやって来るのを何とかかわしつつ、城壁に行こうとした。そこでつににそれが来た。
パリンッ
「翼が!」
自然落下する。そう思いながら、俺は地面に激突して、意識を手放すのだった。