第24話 最終試験前夜2
「ナインちゃんったら大胆なことしたわね」
「男湯ののぞき見は感心しませんよ、レイス先生」
「広瀬先生違います。私がのぞいているのはナインちゃんです。男湯に興味はありません」
「どっちにしろ、どうかしているんだよなあ」
「何ですか、エボルド先生?」
エボルド先生はレイス先生の言葉に「べっつにー」と知らんとばかりに返す。
それをゴドウィン先生が呆れた様子で見つめている。
「それはそうと、最近あいつら目が変わったな」
ゴドウィン先生が話を振るという光景に、俺は少し珍しいと思い質問をした。
「それはどういったことで」
「あら、気が付きませんか広瀬先生」
レイス先生までもが話に入ってきていよいよ休憩ムードになる。
「あれですよ、セレアハートちゃんの悪魔契約の事件あったじゃないですか。あれからセレアハートちゃんも他のみんなに混じって授業の課題解くようになったんですよ」
「同じ剣の道を歩むものとしてセレアハートとも和解したみたいだし、良い傾向だよなあ」
「剣の筋もやはり見違えるようになったし、魔剣も順調に五つ使っている。素晴らしい胃痛罪に育ったな」
「案外自分よりすごいとか思っていますか」
「悪魔契約してしまったという事さえなければ間違いなく近衛騎士になるように推薦していたな。流石に誰にもばれていないとしても、正統教の神官が見ればばれる人にはばれてしまう」
「あー、御前試合の時には致命的やなあ」
「すぐ御前試合が思い浮かぶお前は本当に商人なのか?」
「これでも明日のためにどうにかこうにか時間作って来たんや。早く明日の会議しなくていいんか」
「いかにも、何せ明日は彼らの卒業試験。それも戦闘実技だからな」
その言葉に、先生たちの顔が引き締まる。
「生徒たちは全員学科試験と任意科目を突破済みです。あとは明日の戦闘実技で合格点を取るだけ」
「実技試験は俺達教師との戦闘ねえ、広瀬先生とは戦わなくっていいんですか?」
「あいにく俺が戦っちゃうとナインちゃんの魔法で完封しちゃうでしょう?」
それを聞いてレイス先生が不服そうな顔をした。
「その、ナインちゃん以上にナインちゃんの拘束魔法を上手に扱えるみたいな言い方どうかと思いますよ」
「実際そうだもん、仕方ないでしょう。俺はレイス先生みたいに転移魔法上手に扱えませんもん」
「まあ、広瀬先生が課しているその代の生徒の魔法で完封出来ないなら自分が行く。完封できてしまうなら、それ以外の教師陣で戦闘するで大丈夫やと思うで」
「どちらにしても、広瀬先生の目に適う戦闘をしないといけない。これは相当な難易度だからな」
「それで、具体的な配置について話しましょう」
その言葉によって、教師陣は作戦会議をするのだった。