第28話 9期生最終試験4
「アクモシス、マルクス!」
「アルバン君!」
「お、やっと来たか弟子よ」
「先生の相手は俺だ!」
俺はそう宣言すると、攻撃を先生に向ける。水の魔法を付与した剣が先生の顔に傷をつけるはずだった。
「惜しい」
「本当に何でも付与出来るのずるいですよ」
風の魔法で相殺された自分の魔法を残念に思いつつ、俺は次の手に出る。
「お、沢山攻撃すればいずれ当たるかもってか」
「余裕そうに!」
沢山の剣技をぶつけてみるが、そのすべてにエボルド先生は対応してくる。
「どうした、このままじゃあじり貧だぞ?」
「それはどうですかね⁉」
そう言うと、俺は剣を下に滑らせて次に大きく上に向かって弾いた。そして、相手の剣を飛ばすことに成功する。
「やるな」
「やっと、武器落としましたね!」
そう言うと、俺はエボルド先生を掴んで空高く飛んだ。
「アクモシスとマルクスは早く先に進んでくれ。俺もすぐに行く」
「分かった」
そう言うと、二人と別れて俺は少し後方に向かった。
「何だよ! こんな場所で一体何させるんだ!」
「すみません先生! 落ちてください!」
「おい! この下沼地じゃねえか!」
俺は沼地に先生を落とした。
「後は向こう」
「ははは! いくら鎖で封じようとしても今度は封じられる前に全て切ればよいだけ!」
「本当にどうして、私の魔剣の魔法を封じながらそんなことが出来るのですか⁉」
『もう少しで止まってくれそうなのに』
最初に動きを封じたはずの鎖はあの後、強引に前進した時の勢いで引きちぎられてしまいどうにもならなくなった。結果、鎖で封じようとしても召喚魔法が出るたびに鎖を切られ続けるようになってしまった。さらに、魔剣の魔法も魔装で封じられる。万事休すだった。
「どうした、止まればいいのか?」
その一瞬を、二人は逃さなかった。
『地形変更!』
「土の魔剣よ!」
魔剣が上空に巨大な岩を、ナインの魔法が足元に沼に変えた。
「む? 今度も動けない、が」
そして、岩が切り刻まれる。沼から足が出ないはずだった。なのに、一歩も動かずに巨大な岩を切り刻んでしまった。
「さて、次は何を……」
二人は逃げた。
「おい、何処まで行く? と言うか、沼はどこまであるんだ?」
切り刻まれた岩が沼に沈む光景を見ながら、エラ先生はようやく二人の策略にはまったことに気が付いた。
「これで良いんですよね」
「うん、他の三人がそのうち追いつくから、僕たちは少しでも先に行かないと」
マルクスとアクモシスが二人で走っていた時だ。
「! 危ない!」
「え」
巨大な光線が二人を包んだ。