映画「ヴェノム」
ヴェノムは、スパイダーマン3に出てきてましたね。かなり人気のあるヴィランのようです。
予告編の印象では「残虐非道な最凶のヴィラン誕生」という感じでしたが、コメディ要素多めのダークヒーロー誕生の話でしたね。
ジャーナリストとしての正義感はあるが、仕事っぷりは独りよがりで、結果的に周囲に迷惑をかけ、身近な人を傷つけてきた主人公エディが、地球外生命体に寄生されることで、お互いに折り合いをつけ、共生しなければ生きていけなくなる。「排他と共生」という、トランプ政権誕生以降、語られることが多くなったテーマが織り込まれていることは分かるのですが、それにしても、作りは雑だなぁ、という印象。
そのテーマを大切にするのであれば、「善人は食べちゃダメだけど、悪人は食べちゃっていいよ」ってのは、ちょっと相反するのではないかと思います。
そのほかにも、ツッコミどころは、満載です。
「シンビオートの力で、あのしょぼい実験室なら破壊できるでしょ」
「アンさん、彼氏を乗り換えるの早いね」
「ヴェノムくん、地球人の恋愛という概念に理解あり過ぎ」
「ダンくん、彼女の元カレに、優しすぎ」
「ヴェノムくん、自分の弱点を細かく把握してるし、自分から喋り過ぎ」
「エディの自宅で起こった事件は、警察的にはどう始末をつけたの?」
「サンフランシスコの街は、そんなに長々とカーアクションができるほど広くはないよね」
「ライフ財団、攻撃能力のあるドローンは何のための準備?」
「ヴェノムくん、結局、誰にでも寄生できるの?」
(↑これは、シンビオートが食欲を抑えれば、とりあえず共生は可能ってことなのかな?)
いや、もう、キリがない。
一方、良かったところは、トム・ハーディによる、「ひとりバディ感」ですね。
これに、負け犬達の逆転劇が加わるのですが、ここはもっと盛り上げられたんじゃないかと思います。
早々に、ヴェノムがエディを気に入った理由として、同じ負け犬の境遇であると語られます。でも、エディが負け犬なのは分かりますが、ヴェノムがどう負け犬なのかは、よく分かりません。ここは、モヤモヤします。
バディムービーとしてのイチャイチャ感を増幅させるならば、同じ境遇であるところは伏せておいて、ヴェノムを少しスカしたキャラクターにしておいても良かったのではないかと思います(実際、ヘタレのエディを、「カッコ悪い」とも言っていますし)。
そして、クライマックスのバトルになって、初めてヴェノムの負け犬感が明かされてもよかったのではないでしょうか。例えば、誰がエディに寄生しているのかは敵側は把握できておらず、それがヴェノムだと明かされても、「え? ヴェノム? そんな奴いたっけ?」みたいな感じで、歯牙にもかけていなかったとか。
そこで初めてエディもヴェノムが置かれていた境遇を理解して共感するような展開ならば、もっとグッときていたのではないでしょうか。
お約束のエンドロールのオマケでは、次の展開も示唆されました。そうなると、スパイダーマンとの絡みがどうなるのか、まあ、気にはなりますよね。