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治療院アジアート

身体の声をちゃんと聴く その2

2011.08.12 19:59

ある患者さんは、自分で興した仕事と外の仕事を掛け持ちし、どちらも順調なため超多忙。子育てもしているのでぜんぜん時間が足りません。 

そこで、仕事の時間を工面するため、今後は寝る時間を削り毎日3時に起きしようと自分で決めたそうです。

ところが、あまりにも疲れていて起きられない。自分で起きると決めたのにそれが出来ない自分に、毎朝失望していると言うのです。 

超多忙の合間を縫ってまで私の治療院に来たのは、身体は痛いし疲れが抜けない。それだけならまだしも、最近は手が震えてきて、仕事にも支障をきたしている。さすがにこのままではまずいと思ったとのこと。 

ちなみに、普段から5時半に起きて子供のお弁当を作っているのだそうです。 

私は呆れるを通り越して、笑ってしまいました。 

私と患者さんとの会話はこんな風です。 

患者さん「それほど時間がないのに、時々お酒を飲んじゃうんです。その時間に仕事しろってことですよね」 

私「その時間は、仕事をするより、お酒を飲むべきですよ。自分のしていることを冷静に見てください。めちゃめちゃ忙しくて疲れてるのに、三時に起きられない自分に絶望するっておかしいでしょう。普通に考えて、毎朝起きられる方が変ですよ。今でもその忙しさと体調で五時半に起きているなんて凄すぎます。」 

この患者さんは結婚していて、ご主人にも充分な稼ぎがありますから、生活のために働いているわけではありません。

仕事は辛くても楽しいから続けている。(はずだった)ここが難しいところです。 

この方に限らず、女性の仕事は男性に比べ、義務というより自己実現的な要素が強いように思います。 

成功する男性は、時流に乗った、今儲かりそうなことを人よりも先にやる。成功すること、事業を拡大していくことが目的になることが多いように思います。 

しかし女性の場合は、自分の好きなこと、自分が求めているものを追求することに目的がある人の方が成功出来るように思います。 

男性は失敗が怖くて無理をする。女性は好きなことだから無理をしていることに気付かない。そんな感じでしょうか。

少し話が逸れてしまいましたが、身体の声をまともに聴けなくなる原因を考えると、 

「これをやらなきゃいけない。」「こうでなきゃいけない。」真面目な人が嵌ってしまいがちな罠です。

「今何をすべきか」にばかり目がいってしまい、「今何が問題だったか」を忘れてしまうんです。 

この方の問題は、身体が言うことを聞かなくなっていることに加え、仕事も家庭も限界に来ていることでした。 

何かを変えなければ、この問題は解決できません。 

仕事は無責任には出来ません。ときには無理をすることも必要です。

でもほとんどの場合、身体を壊すほど無茶な働き方をするのは正しくありません。 

確かに、努力すれば何とかなることが多いですよね。大抵のことは頑張れば克服できます。

でも、出来ないこともあるし、そうすべきじゃないこともあります。 

身体は本当に賢い。私はそう思います。身体が文句を言わないうちは、無茶しても良いんです。 

身体が悲鳴を上げるほどの無理をすれば、楽しかったはずの仕事も楽しめなくなります。 

身体が追い詰められれば、精神的にも余裕がなくなります。自分が凄く頑張っているだけに、他人にもそれを求めてしまうかも知れません。 

自分が勝手に無理をしているだけなのに、他人にまで無理を押しつけるのです。身体も心もすさんでしまいます。これでは、一体何のために働いているのかわかりません。 

そんな人を説得するとき、「無理したらダメですよ」なんて言っても意味がありません。日常的に無理をしている人は、無理しないと自分がもの凄くサボってしまっているような気がして落ち着かないんです。 

どうすべきかを話していると、大抵の患者さんは仕事のことに焦点を当てて話をします。 

私は、身体の問題に焦点を当てて話をします。身体を壊してまでやらなきゃならない仕事などまずないと考えるからです。 

まずは、身体を壊さずに今の仕事を続けていく方法を一緒に考える。そしてそれが無理なら、仕事を変えることについて考える。 

ときには何かを手放すことが必要です。手放すだけで捨てるわけではありません。どうしても必要ならまた掴めばいい。 

私のようなええ加減な人間でさえ、どんな経験も無駄ではなく自分の身になっています。 

こんな真面目な頑張り屋さんなら特に、今までしてきたことを無駄にせずに、無理をしないで働く場が他にも必ずるし、人生で価値のあることは働くことだけではありません。 

身体が文句を言っているときは、自分の人生について、立ち止まって考え直す最高のチャンスです。