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NPO法人YouToo

強く賢く生きる仲間の輪をつくる

2024.03.20 10:35

「65歳以上の一人暮らしの女性の相対的貧困率が、44・1%にのぼることがわかった」と、今年の国際女性デーの新聞が告げる。
貧困問題を研究する阿部彩・東京都立大教授が、厚生労働省の国民生活基礎調査(2021年分)をもとに集計したそうだ。 

 当事者の私たちは、以前からきっとそんな日が来るのだろうとぼんやり思っていた。
結婚してもしなくても、子どもがいてもいなくても、わたしたち女性は大抵、最後にはひとりになる。子どもは独り立ちするし、夫がいたとしても離婚や死別で、家庭と呼ばれた場所に女ひとりが残ることが多いからだ。
その時に、残りの人生を生きる資産が夫から残されているケースは過去のもの。そんなラッキーな女性は減っていくだろう。それが今見えてきた高齢の女性の貧困だ。

女性は夫の稼ぎに依存しないで自分の人生を生きるために働く必要があったのだ。そもそも、最初から。なのに、子育てをするという理由で様々な形で働く機会を奪うこの国のシステムが女性の貧困を作ってきた。 女性は男性に養ってもらうものだという昭和以降の社会規範は、女性がひとりで生きることを想定しない制度を作り、これまで温存されてきた。

いきなり放り出された女性たちをどう養っていくのだろう。女性の貧困は必ず、今後の日本社会のリスクになる。

女性の貧困は子どもの貧困として注目され、支援は若い女性やシングルマザーが中心に置かれ、高齢の女性たちには向いてこなかった。女性は活躍せよという政策は、不安定な地位で低賃金で働く女性を増やすばかりで、本人を救い、エンパワーするものにはならなかった。 

 わたしたちは、老後の生活を心配し、不安な思いを持つ女性同士で生きていく術を探そうとグループを作り繋がってきた。ただ、シニア女性の生きづらさに焦点をあてるこの活動に光が当たることはなかった。何故か?女の姿はいつも社会から隠されているからだ。女性は男性に養ってもらって、ちゃんと生きてきただろうと、誰もが思っていた。その裏で生きてきた女性たちの本当の姿は見えていないのに。無報酬で家族をケアし支えてきた女性たちの存在に気づこうとしなかった。

内助の功と言いながらも、まるでひとりで成功を勝ち取ったかのように偉ぶる男性たちも社会も、実は困るとすぐに手を差し出す女性たちに甘えてきたのに。

 複数の女性へのインタビューを取りまとめたエスノグラフィーを『シニア女性白書』として刊行した時、多くの女性たちに評価をいただいた。今こそ、こんな社会環境に置かれた女性たちの生きづらさに目を向けて、女性たちをエンパワーする施策を用意しなければ手遅れになる。 

 せめて、当事者の私たちが連帯し、鼓舞し合い、強く賢く生きる道を共に探したい。
そんな仲間の輪に入りたいと思う方はぜひお声がけください。