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刺激の強い施術を避けるべき理由

2024.03.21 09:34

当院では「刺激の強い施術」は基本的には行わないようにしています。


「刺激の強い施術」とは簡単にいうと「痛みを伴う施術」のことを指し、それは「痛気持ちいい」という感覚も含めます。


また、1度の刺激で痛みを伴わなくても、刺激する箇所や手数が多いと刺激量が増えてしまうため「刺激の強い施術」になってしまいます。


そして私は「刺激の強い施術は避けるべき」だと考えています。


ではなぜ「刺激の強い施術は避けるべき」と考えているのかをお話ししましょう。


私が「刺激の強い施術は避けるべき」と考える理由はいくつかありますが、まず1つ目の理由は「組織の損傷リスクが高いから」というものがあります。


そもそも「痛み」とは脳が発する「危険信号」です。


生体が危険にさらされている・危険が及ぶ可能性がある場合、脳は「痛み」という信号を発信します。


施術によって「痛み」を感じるということは、その施術による刺激が生体にとって危険であるということになります。


刺激の強度と神経や筋の興奮性について述べられた法則で「プリューゲル・アルントシュルツの刺激法則」というものがあります。


これは「弱い刺激は神経機能を喚起し、中程度の刺激で神経機能を興奮させ、強い刺激は神経機能を抑制し、最強度の刺激で静止する」とされ、痛みを感じる程度の強い刺激は神経機能を抑制します。


神経機能が抑制されるとどうなるかというと「正常な生体活動が行えなくなる」ため、損傷した組織の回復・修復や「痛み」の抑制がされにくくなります


平たくいうと「治らなくなる」ということです。


ということは「刺激の強い施術」は生体にとって好ましくない刺激ということが言えるのではないでしょうか。


これは私の経験上の話ですが、痛みを伴うほどの強いマッサージ(もみほぐし)を長期間受け続けていた方の筋肉は、そうでない方の筋肉と比較して異常な硬さであるケースが非常に多いです。


これは強いマッサージによって筋線維の破壊と修復を繰り返した結果、筋線維が柔軟性を失ったと思われます。


イメージとしては野球部の手のひらにできるタコが近いかと思いますが、皮膚は繰り返し刺激が加えられる場所は硬く分厚くなっていきます。


一般的には、かかとが硬くなったりひび割れたりするのは、かかとが繰り返し刺激が加わる場所だからです。


筋肉も繰り返し刺激を加えると筋線維が硬く太くなるため、適切にケアしないと柔軟性が失われていき、筋肉の機能が低下していくことになります。


このように筋肉が異常な硬さになった状態でも、刺激量を大幅に減らしてケアすれば徐々に正常な筋組織になるため、異常な硬さもなくなり不快感も変わります。


そして2つ目の理由は「痛みを伴う施術による鎮痛効果はごく短時間であり一過性の変化である」からです。


これは生体に備わっている鎮痛機構である「DNIC(広汎性侵害抑制調整)」というものによる働きで、これは簡単にいうと「痛みで痛みを抑える」というものです。


「痛みを伴う刺激の強い施術」をすると「DNIC」によって一時的に痛みが抑えられるため、施術直後は楽になったように感じますが、「DNIC」による鎮痛作用は長くて数十分程度のため、施術後時間が経つと痛みは戻ってきます。


よくある話で「マッサージを受けると楽になるんだけど、家に帰る頃には元通りになってる」というものがありますが、これは「DNIC」による鎮痛作用が終わったため起こる現象だと考えられます。


3つ目の理由は「施術に依存させないため」です。


「刺激の強い施術」は刺激に対する閾値(ハードル)を上げるため、「刺激の強い施術」を受ければ受けるほど刺激を感じにくくなります。


つまり、施術による刺激をどんどん強くしないと満足できない身体になるということです。


施術による刺激をどんどん強くしなければ満足できないため、施術に対してより強い刺激を求めるようになり、施術に依存していくようになります。


施術に依存すると、施術の間隔があくと不安を感じるようになったり、施術の刺激量が増えるため前述のように生体組織の損傷が発生しやすくなります。


手法はどうであれ「施術に依存させる」ことはビジネスとしては売上を増やすために必要だと言われますが(実際に治療院コンサルに言われたことがある)、「施術に依存させる」ことは患者自身が生活習慣を見直す機会を損失したり自身の身体に不安を感じやすくなるため、「健康」でなくなる可能性があります。


私は主にこれらの理由から「刺激の強い施術は避けるべき」と考えています。


施術による刺激が強くなればなるほど有害な事象が発生する確率は上がります。


施術後の有害な事象として有名なもので言えば「揉み返し」があります。


よく「揉み返し」を「好転反応」として説明しているところもありますが、「揉み返し」はマッサージ等で組織が損傷して起こる炎症による反応であるため、「揉み返し」が起こることでプラスに働くことはありません

(好転反応とは、改善に向かう中で起こる一時的に悪化した身体反応を指す言葉であるが、科学的根拠がなく、標準医療においては用いられない概念)


「揉み返し」が起こるということは、生体にとって施術による刺激が過剰であるということが言えるため、刺激量を減らす必要があると考えています。


私は柔道整復師として医療の一部であるという自覚のもと、施術による有害事象が起こる確率を可能な限り下げることが重要だと考えているので、当院の施術は刺激が弱く刺激量も少ないのです。


この世のあらゆる施術は、何らかの物理的な刺激によって何らかの生体反応を引き起こし、その結果として症状の緩和や損傷組織の治癒を図ります


そしてその生体反応は、刺激が強ければいいというわけではなく、常に「最適」が求められます。


「最適」より強くてもダメ、弱くてもダメなのが施術です。


ただし、有害事象を起こさないということを前提とすると、刺激は強すぎるよりも弱すぎる方が有害事象が起こる確率が低い分安全ということになるので、「刺激の強い施術」を行うよりも「刺激の弱い施術」をした方が良いのです。


ただ結局のところ、どのような施術を受けるかはみなさんの自由なので、「刺激の強い施術」が好きな方はそちらを選ぶのも自由ですし、仮にその施術で有害事象が起こったとしても、それは過去の選択の結果です。


私的には「刺激が強い施術」じゃないと治らないと考えている方には「刺激が強くなくても治る」ということを知ってほしいですし、「刺激の強い施術」にはリスクもあるということを知ってほしいなと思います。