そもそも何故、不動産業界なのか?
大学に入学して、お金が全くなかった私は、どうにかしてお金を稼がなければいけなかった。しかし、大学の校舎が田舎にあったため、なかなかバイト口が見つからない。そんななか、大学校舎の近くにあった不動産屋が作成したビラ配りのバイト募集のチラシがマンションのポストに投函されていた。そのチラシを見て、応募したのがキャリアのスタートだった。
しばらくして、その会社の店舗のカウンターで営業活動するようになった。
当然、最初は、お金が目的である。そこには、ユーザーも大家も、物件の質も、サービス精神も、不動産業界のことも全く真剣に考える余地はなかった。何せ、当時、20歳である。目の前のお金が全てであり、そこに道義的な意味はなかった。
しかし、そんななかでも、接客をして、お部屋探しに悩んだお客様に本当に感謝されることが、ごく稀にある。それによって、なんとも言えない感情を覚えていった。
これは、結構それなりに大事な仕事なのではないか。
限りなく曖昧な感情だったが、20歳の自分なりになんとなくそんなことを実感した記憶がある。
思えば、それから数十年が経ち、その時の感情がまだどこかに残っている。
ユーザーの新生活や人生の節目となる場面の後押しを手伝う、という根本的な仕事という概念は、消えてはいない。
昔から、勿論、現在もそうだが、不動産業界には様々な企業、人が参入をしている。
不動産屋さんの中途入社のかたであれば、たとえば美容師のかた、また夜の仕事が出身のかたも多い。また業務支援系のIT会社だと、全く別のIT業界からのかたも多いだろう。
また新卒からこの業界の人も多い。しかし、22.23歳のかたで不動産業界をどうにかしたいという人は、かなり少ないだろう。
どちらかといえば、プリミティブな理由であることが大半だと思う。例えば、住まいのアプリを見るのが好きだったり、わかりやく収入の面だったり。
同じ業界に長くいると、そこの「不」の部分が見えてくる。
業界に入った当時は、当然だと思えることも、こちらもそれなりに他の芝生を見たり、知識をつけたりして、これは遅れてるな、これはおかしいな、と思うことがある。
そのなかでどのように仕事をしていくかがとても大事なことかもしれない。
現在、不動産業界がとてもオシャレで、働きやすく、また最先端で、日本をリードする業界だから、この業界に来ました。という人は1人もいない。