「THE LORD'S PRAYER(1934 First Edition)」Ingri & Edgar Parin D'Aulaire
ドーレア夫妻の絵本は日本語にも幾つか翻訳されているのでご存知の方も多いかと思います。
(「ひよこのかずはかぞえるな」「トロールものがたり」など)
エドガー・ポーリン・ドーレアは1898年スイス生まれ、ハンス・ホフマン美術学校(ミュンヘン)では、マティスに指導を受けていたようです。
イングリ・ポーリン・ドーレアは1904年ノルウェー生まれ、イングリも同様にミュンヘンのハンス・ホフマン美術学校に通っていたようですね。
その後二人は1925年に結婚、ドイツやフランスなどで美術学校に通ったり、絵の仕事をしつつ、1930年代前半頃からアメリカ、ニューヨーク拠点を移し、39年に子どもが生まれた後はコネチカットに移りそこで農場を構え、創作活動を続けました。
ドーレア夫妻の初期の刷りの絵本はどれもリトグラフで刷られているので、オフセットで刷られた後の復刻版や日本語翻訳版とはやはり全く違いますね。
特に、先日オンラインストアに更新したドーレア夫妻の「THE LORD’S PRAYER」(1934年初版)は印刷がとても美しい1冊です。
この絵本では金のインキがふんだんに使われているのですが、その金は装飾枠などの金のみで描かれた部分だけで使われているのではなく、絵の全体に、他の色の中にも金をまぶすようにして使われていて、そのため絵全体が輝いているように見えるのです。
(光を当ててルーペで絵を見ると、他のインキの中でまぶされた金が、まるで色の宇宙で星が輝くように見えるので、ぜひルーペでも見て欲しいです)
『THE LORD’S PRAYER』と言ってもキリスト教に馴染みのない方には何の絵本?かと思うかもしれませんが、いわゆる『主の祈り』とよばれるお祈りの言葉に、絵を付けたものです。
『天にまします我らの父よ〜』で始まり、『アーメン』で終わる、あの言葉ですね。
こうした宗教的な題材の絵本を、こうした印刷の金が見事に表現しているのです。
作品の内容、表現方法、印刷技術が見事に響き合った(まさに三位一体)とてもとても美しい絵本なのです。
どうぞ御覧下さい。
「THE LORD'S PRAYER(1934 First Edition)」Ingri & Edgar Parin D'Aulaire