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じゅんじゅんホームページ

ほかに好きなひとができた。

2024.03.25 22:58

職場のさあやちゃんは、

「わたし、偏食なんです。」

と言う。


恐らく度数は入っているのであろう、おしゃれで大きめな丸メガネ。

背も頭もちいさい上に、前髪から下の露呈している、いわゆる顔部分が上下コンパクトなので、いくつになっても幼い印象をうけるのだろうな、という風貌。

コミケのTシャツにオーバーサイズのジャージを着こなすあたり、生粋のサブカル女子であることは明白である。

相対して言葉を交わすときでも、視点はいつも、正面から観測して、斜め下を向いている。


彼女は、好きだとおもったものを、1日3食、延々と食べるのだという。

去年はアメリカンドッグブームがきて、数週間、アメリカンドッグだけを食べ続けていたらしい。

ノーマルのカップ焼きそばひとつ食べきれないという少食で、今年に入ってから5キロも体重が落ち、気圧に過敏な体質のせいで、つねに頭痛に苦しんでいる。

長年の主治医に、

「きみ、よく生きているね。」

と、匙を投げるではなく、純粋な感想と感嘆をもって呟かれたのだという。


偏食ブームは、ずうっと続く、ということではないらしい。

「飽きがきて、次にいくの?」

と私が問うと、

「ううん、次にもっと興味があるものができるの。」

と、さあやちゃんは答えた。

「なるほど!男と一緒だね。」

と私が言い放つと、いつも気怠そうなさあやちゃんは、春風みたいに、ふふっと笑った。


わたしはそれが、とてもかわいくて、愛おしい、とおもった。

その瞬間のためなら、バキバキにでも心をくだきたいよなあ、と思った。

本望だなあ、と、感じた。


ほかに好きなひとができた

きみを好きじゃなくなった

きらいになったわけじゃない

でもほかにすきなひとができた