猫背は「治る」のか
当院でもよく相談されるもので「猫背」があります。
「猫背」は胸椎(背骨の背中部分、肋骨がここにくっつく)の後弯(後ろに曲がる)が生理的角度(15〜40°)以上の状態を指します。
「猫背」は「円背」ともいい、原因として「先天性」「筋肉の機能不全」「加齢」などがあります。
正直な話、胸椎の生理的後弯を超える「猫背」の相談は受けたことがありません。
相談があるのは、「パソコンやスマホ・ゲームをよくするから背中が丸くなってきた気がする」というものがほとんどです。
このような「体の使い方」による見た目の変化であれば、さほど苦労せずにいわゆる「いい姿勢」にはできます。
ただ、「体の使い方」で背中が丸く見えるようになった人は、生活習慣などを変えない限りまた同じ形にはなっていくため、一時的な「いい姿勢」で終わります。
そういった意味では「治す」というのは困難でしょう。
そして、先天的なものや加齢による「変形」はある程度背中を伸ばすことは可能でしょうが、完全に正常な状態にするのは困難でしょう。
そもそも骨の形状が正常ではなくなっているのであれば、それを手術を伴わずにどうにかするのは困難です。
接骨院や整体で対応できる「猫背」は「医療の必要のない程度のもの」であり、「医療の必要のない程度のもの」であるからこそ一時的にでも見た目の変化があるのです。
「体の使い方」で背中が丸くなっているように見える場合、一番変えなければいけないのは生活習慣や体の使い方であり、施術はその補助という立ち位置に過ぎません。
当院の場合「猫背」の施術は、背骨が動きやすいように刺激を加えることと、体の使い方や生活習慣に関してのアドバイスです。
単純な話、今まで何日も何週間も何ヶ月も何年も続いた生活習慣や体の使い方で変わってきた姿勢が、たかだか数分〜1時間程度施術を受けただけで、その後も何の問題も感じないように「治る」なんてことは物理的にあり得ません。
生活習慣や体の使い方を自身で見直さないのであれば、定期的にケア・メンテナンスをする必要は当然出てきます。
これは「猫背」に限った話ではありませんが、体を変えるというのは相応・相当の時間がかかるものです。
簡単には変わりません。
他所は簡単に「治ります。大丈夫です」というでしょうが、ヒトはそんなに単純なものではありません。
「変わるためには〇〇をしてください。〇〇をしないようにしてください」というアドバイスを無視して生活習慣や体の使い方を変えないのであれば、施術だけで変えられる範囲なんてものはごくわずかなものです。
1+1=2です。
2を3や4にしたければ、1+1の部分を変えるしかありません。
1+1は何度計算しても2です。
これを読んでいる皆さんは、ぜひ「1+1」を変えるように考えてみてください。