過敏性腸症候群と脳腸相関:事務局便り#6
- 脳腸相関の悪循環
- 脳腸相関から考える治療
*動画とブログの中身は同じです。
本日の内容は、過敏性腸症候群と脳腸相関についてです。最初に脳腸相関の悪循環について説明します。
それから、脳腸相関から考える、過敏性腸症候群の治療についても少し触れたいと思います。
過敏性腸症候群の原因ははっきりとは分かっていませんが、ストレスが症状を悪化させることは、複数の研究で報告されています。
過敏性腸症候群では、腸の知覚過敏や腸管の運動異常があることで、お腹の痛みや便秘、下痢といったさまざまな症状が起きています。これらの症状が長く続くと、特定の考えが出てきやすくなります。
例えば、ある食べ物を食べると、お腹が痛くなるかもしれないから食べるのをやめようとか、トイレがないかもしれないから外出を避けよう、といった考えです。
こうした考えがあると、不安や焦り、悲しみなどの感情を感じやすくなります。
その結果、お腹のことばかりを気にするようになり、常にお腹に意識が向いてしまいます。
お腹のことばかりを気にすると、症状が改善するどころか、ますますストレスを感じてしまい、ストレスで出るホルモンなどによって感覚が敏感になったり、腸管の運動異常が起こる可能性があります。
その結果、過敏性腸症候群の症状が悪化します。まさに、悪循環が生じている状態です。
図からもわかるように、この状態では、脳と腸の相互作用が起きていることから、脳腸相関と呼ばれます。
脳腸相関からみて、過敏性腸症候群を治療する方法は、いくつかあります。
まず、薬を使って腸の感じ方や動きを整える方法があります(※①)。これは、症状の原因である知覚過敏や、腸管の動きを正常に戻すためのものです。
次に、不安や焦りなどの感情を管理するための薬があります(※②)。これは、気持ちのコントロールを助け、ストレスを和らげるためのものです。
それから、考え方や感情、注意を変える、心理療法もあります(※③)。これは、自分の物事の受け止め方や行動を少し変えることで、症状を改善する手助けになります。
過敏性腸症候群の治療では、段階的にこれらの方法を試していくことがおすすめされています。
治療については、後日もう少し詳しく説明します。
次回は、腸の知覚過敏と、注意が向くことが、過敏性腸症候群の症状にどう関係しているかについて、脳腸相関を交えて説明したいと思います。
イラスト:イラストAC-カフェラテさんのイラストを使って菊池が作成
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