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先駆の才 トーマス・ワトソン・ジュニア -IBMを再設計した男-

2018.11.20 00:49

 トマスワトソンシニアの後継者としてIBMを引き継いだのが息子でこの本の著者、ジュニアです。ただし、IBM経営者の後継者になるまでの過程には紆余曲折がありました。

 子供の頃から父が偉大な経営者として有名だったため、そのプレッシャーからうつ病になったり、学校でも先生達に反抗を繰り返しました。

 特にすごいのが、スカンクのガスを学校中にばらまいたことです。

 そんなこんなのジュニアを救ったのが飛行機に対する情熱でした。

 免許を取得し、空軍に入りそこで、人生の師となるフォレット・ブラッドリー少将に出会いました。 ジュニアは、彼と航空路を開拓する、というミッションを通して部下との付き合い方、仕事のやり方、上司とのコミュニケーション能力を磨いていきます。

 この任務遂行におけるプロセス向上能力が後年の、IBMの経営者になるための礎となったのです。

 IBM経営者としての彼の業績は、父シニアの創り上げたIBMの独特な社風の大切なところを残し、些末なことは捨て、それを組織全体に汎用化させて行ったこと。

 そして、特に、コンピュータ産業の成長期に産業界と科学分野のあらゆるニーズを満たすべく、社運を賭けた汎用コンピュータ、System/360プロジェクトを遂行し、成功に導いたことが挙げられます。

 (実は、そのシステム360プロジェクトの遂行過程で実弟のディックがIBMの次期トップを巡る権力闘争から脱落してしまった、という悲劇があったのですが。。)

 ジュニアがすごいのは、IBMの経営者として立派な成績を残しただけでなく、1977年 J. カーター政権下でGAC(軍縮総合諮問委員会)の委員長になったり、駐ソ連大使をやったり、ヨットでプロ顔負けの北極圏航海に挑戦したりしたことです。

  うーん。。うむうむ。。アメリカ代表産業のトップ企業の経営者跡取りの人生ってこんな感じなんですねえ。。。(ちょっと羨望の入り混じった納得感)。。

 シニア(父親)との思い出も書いてあります。シニアから学んだこととか愛情、親しみを持って書かれてあり共感が持てました。 

IBMを知りたい方にはお勧めです。

(実は本内容は「IBMの息子」(上下巻)(新潮社刊)と同内容らしいです。知っている方はお知らせください!)