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柳津町「甘味処 赤べこ堂」/「会津柳津駅リノベーション」オープン 2024年 春

2024.04.13 14:10

柳津町にJR東日本から無償譲渡された只見線・会津柳津駅が、「柳津町会津柳津駅舎情報発信交流施設」としてリノベーションされ、今日オープンを迎えた。「日向倉山」登山を終えた後、「甘味処 赤べこ堂」に立ち寄り、記念イベントが行わている会津柳津駅に向かった

*参考:

・福島県:只見線ポータルサイト

・福島県・東日本旅客鉄道株式会社 仙台支社:「只見線全線運転再開について」(PDF)(2022年5月18日)

・福島県:平成31年度 包括外部監査報告書(PDF)(令和2年3月) 「復興事業に係る事務の執行について」 p140 生活環境部 生活交通課 只見線利活用プロジェクト推進事業

 

 


 

 

今朝、郡山から磐越西線の始発列車に乗って、会津若松で只見線の列車に乗り換えて会津西方で下車した。

 

その後、輪行してきた自転車で国道400号線と県道343号(飯谷大巻)線の交差点付近に移動し、そこを取付き点にして「日向倉山」(605.4m)を開始し、1時間20分ほどで登頂し、無事に三等三角点に触れることができた。


登頂後は下山途中で、誰かが拓いたビューポイント(標高559m)から、会津総鎮守・伊佐須美神社の遷座第二峰「博士山」(1,481.9m、会津百名山33座)の雄大な残雪の山塊を背景に「第一只見川橋梁」を渡る列車を撮影した。


 

列車撮影後は、30分ほどで取付き点に戻り、輪行してきた自転車に乗って柳津町の中心部に向かった。目指すは、日帰り入浴ができる「つきみが丘町民センター」で、約8.5km先だ。


スギ木立の間に延びる、県道343号(飯谷大巻)線を進んだ。

途中、上空に送電線が見えると、道路から山の方に延びる踏み跡があった。送電鉄塔の巡視路のようだった。


下り基調の県道をしばらく進むと、前方が大きく開け麻生集落が見えた。

麻生集落を通り抜けると、県道は只見川沿いに延びた。


上り基調に変わった県道を進むと、「第一只見川橋梁」と「第二只見川橋梁」の景観美を創っている柳津ダムが見えてきた。両河岸の桜は満開だった。

ダムの下流側に行くと、ダムと一体化した東北電力㈱柳津発電所が、見事な満開の桜に包まれていた。


野老沢地区の2つの集落を通り抜け、只見川に架かる飯谷大橋を渡った。下流側の市街地の方に目を向けると、国道252号線の赤い瑞光寺橋と柳津橋が見えた。

 

渡河後に国道252号線に入り会津若松方面にしばらく進み、瑞光寺橋の手前を右折した。周辺の桜は9分咲きで、温泉から見える景色に期待が持てた。

 

緩やかな坂を上り、「つきみが丘町民センター」に到着。敷地の桜も9分咲きで、陽光を受け綺麗だった。

玄関前に自転車を置いて、受付で入湯料400円を支払い浴室に向かった。

先客は4人で、ガラス張りの浴室からは真っ赤な瑞光寺橋と桜の競演が見られ、気分良くゆったりと湯につかることができた。

「つきみが丘町民センター」の温泉は、立地や眺望がすばらしく、只見線沿線で最もコスパが高いと、改めて思った。

柳津町「つきみが丘町民センター」温泉の主な特徴
・源泉名:新柳の湯
・泉質:ナトリウム・カルシウムー塩化物温泉(等張性弱アルカリ性高温泉)
・泉温:56.3℃ (pH7.8)

 

「つきみが丘町民センター」を出て、玄関を背に柵までまっすぐ進み、桜越しに月光寺の境内を貫く只見線の橋梁を眺めた。桜は満開に近づき、晴れているということで眺めは良く、列車が走行する時間に合わせて“撮る人”が訪れただろうと思った。

  

「つきみが丘町民センター」の敷地から北側の階段を下り、只見川を見下ろす位置にある東屋から福満虚空蔵尊 圓蔵寺を眺めた。

 

 

階段に戻り、県道225号(会津柳津停車場)線まで下って、銀山川に架かる中の橋を渡ると、次の目的地の建物の側面が見えた。

「甘味処 赤べこ堂」に到着。会津川口駅構内の売店で名物「杵つき団子」や「あわ大福」を買って食べ、そのおいしさに『次に柳津町に行くことがあったら立ち寄りたい』と思っていた店だ。

暖簾をくぐり店内に入ると、正面には13種の味が選べるジェラートの冷凍庫が置かれていた。

そして、右側には柳津町発祥の「赤べこ」関連のキャラクターグッズ、左側には会津川口駅構内でも一部種類が販売されている「杵つき団子」や、ここでしか食べられない「玄米団子」が並んでいた。

ただ、今年2月に初めて食べて感動した「あわ大福」などの大福類は売り切れてしまっていた。地元紙の別紙で紹介され、「杵つき団子」とともに会津川口駅構内の売店に並んでいたため買って食べたところ、その柔らかさと風味、食感の良さに驚き『これは「赤べこ堂」に行き、他の品々も食べてみたい』と今回の訪問の契機となった菓子だ。*下掲記事:福島民報 別紙「情報ナビ Time」2024年1月11日付け表紙

 

一通り店内を見た後、まずはジェラートを2種注文し、「玄米団子」も全3種頼む事にした。スタッフは「情報ナビ Time」紙の表紙に登場した目黒氏1人で、注文を受け会計を済ませた後、通りに面した焼き場で「玄米団子」に焦げ目を付ける作業をされた。

目黒氏と少し話をすると、菓子の製造は目黒氏1人が担い、他スタッフが居る場合は会計などの接客を任せられるが、今のように“ワンオペ”でせざるを得ない時もあるという。

 


「玄米団子」が焼き上がり、味付けと盛り付けが終わると、外のテラス席で頂く事にした。

 

まず、ジェラートを食べた。ダブルで注文し、リッチミルクとリンゴを選んだ。

リッチミルクは濃厚で、リンゴはフレッシュな香りで味は林檎をしっかり感じられるものだった。 

 


「玄米団子」は、特製くるみ味噌とみたらし、

そして、海苔しょうゆの3種。

「玄米団子」は焦げ目が入っているため芳ばしく食感も固めで、くるみ味噌とみたらしの濃厚ダレに負けず、互いの良さが出て旨かった。海苔しょうゆはシンプルな旨さで、この焼餅と醤油の鉄板コンビを〆にした。



「甘味処 赤べこ堂」を後にして、会津柳津駅に向かった。途中、桜に包まれた「福満虚空蔵尊 圓蔵寺」を見上げた。

 

名物「あわまんじゅう」の長谷川屋菓子店、いなばや菓子店、小池菓子舗の前を通り過ぎると、駅周辺の交通規制に関する看板が立てられていた。

 

「甘味処 赤べこ堂」から自転車を押して進み、10分ほどで会津柳津駅に到着。

会津柳津駅のリニューアルオープンに合わせて「第6回あいづやないづ モダン駅フェス」が行われていることもあり、客やスタッフで賑わっていた。


リノベーションされた会津柳津駅は旧駅舎をほぼそのままに、駅頭やホームのベンチなどが一新され、屋根は(会津)鶴ヶ城の赤瓦と同じような鮮やかな臙脂色が際立つようになり、外壁など全体は基調色である白に綺麗に塗り直されていた。

外観上の大きな違いは、駅事務室だった北半分が山吹色に塗られた板材の鎧張りだった。

 

駅舎の入口脇に掲げられていた一枚板の駅名標は、下地が塗り直され、文字も似た形状で書き直されていた。

改修前の駅名標を比べると、文字位置が少し違うだけで、同じ一枚板を使っている事が分かった。

 

昭和2年に建てられた会津柳津駅は、昨年の4月12日に柳津駅とJR東日本との間で契約書の調印式が行われ、町に無償譲渡された。*下掲:(左)福島民報 2023年4月13日付け紙面 / (右)柳津町・東日本旅客鉄道㈱「只見線会津柳津駅駅舎譲渡に伴う調印式の実施について」(2023年4月5日)URL: https://www.jreast.co.jp/press/2023/sendai/20230405_s03.pdf

柳津町は、次の3つの利用計画を立て、“駅舎の保存・継承と地域の活性化をコンセプト”にリノベーションを進め、今日のオープンを迎えた。

①越後三山只見国定公園や只見線沿線地域等の情報発信機能の設置
②柳津町が発祥の地とされる会津地方の民芸品「赤べこ」の張子工房の設置
③只見線利用者や地域の方々の交流スペースの設置

①の“越後三山只見国定公園の情報発信機能”については、2019年4月に県により策定された「ふくしまグリーン復興構想」内で会津柳津駅に触れていて、今回の改修はそれに沿っている。さらに、会津柳津駅から1.7km離れた国道252号沿いに建つ道の駅「会津柳津」では「越後三山只見国定公園奥会津ビジターセンター」の建設が進められていて、リニューアルした会津柳津駅との相乗効果が期待されている。*参考:拙著「「只見柳津県立自然公園」国定公園に編入へ」(2021年6月29日)

*下掲:福島民報 2024日4月12日 第10面上部

 

 

 駅舎に入ると、壁に並ぶ華やかな祝いの生花が目立った。

駅事務室は、完全に姿を変えていた。カフェカウンターとそれぞれ4脚の椅子が置かれた3卓のテーブル、そして、角材の囲まれた「赤べこ工房」が配置されていた。

「赤べこ工房」の正式名称は、「やないづ張り子工房 Hitarito」。町の地域おこし協力隊として移住した伊藤さんが開いていた工房が移転されたものだという。今朝、“新会津柳津駅オープン”を伝える地元紙の記事で、この工房と彼女の事が取り上げられていた。*下掲記事:福島民報 2024年4月13日付け一面と三面より

 

旧駅事務室のホーム側はガラス面が多く、開放的だった。

一部、会津柳津駅の歴史を物語る品々も置かれ、壁の上部に掲げられた構内配線図は、かつてこの駅で上下線の交換が行われていたことを示していた。

 

会津柳津駅のリノベーションについて。

ホームに張り出した屋根を解体している段階で、かなり攻めた改修をしていると思っていた。

私は、外観はそのままに内装を改修するのではと考えていた。熊本県と鹿児島県をまたぐJR九州の肥薩線の矢岳駅や嘉例川駅は、内装の改修はしていないが、開業当時の外観をそのままに特急が停車するなどの立ち寄り観光スポットになっている。

嘉例川駅(鹿児島県最古の木造駅舎)にいたっては、国の登録有形文化財になっている。*参考:文化庁「JR肥薩線嘉例川駅駅舎」 *(注)現在、JR肥薩線は「令和2年7月豪雨」被害で八代~吉松間(86.8km)が不通になっている

ただ、会津柳津駅は周辺に一定の人口を抱え、“地域の方々の交流スペース”という改修目的があったため外観維持よりも地元に受け入れられる全体のデザインになったと思った。

新しい会津柳津駅が、観光客と地域の方々双方を惹きつけ交流の場として賑わって欲しいと思った。

 

今日のオープンに合わせて、柳津町発祥の「赤べこ」ファミリーが町内各地から集合していた。「つきみが丘町民センター」の母・満子。

「福満虚空蔵尊 圓蔵寺」の父・福太郎、「ほっと in やないづ」の息子・もうくんなど、家族総出で来場者を歓迎していた。

 

 

列車の到着時刻が近付き、そろそろホームに行こうと思っていたところ、駅前通り(県道225号線)に赤べこが描かれたバンが停車し、そこから「キハちゃん」が現れた。丑年・寅年の守り本尊である「福満虚空蔵尊 圓蔵寺」で行わる「丑寅まつり」のキャラクターである「うとちゃん」は、“成長中”だった。“2人”は、只見線の列車の出迎え・見送りをするようだった。

「キハちゃん」に続いて、しっかり“成長”した「うとちゃん」がスタッフの誘導を受けて駅に向かっていった。

 

 


16:25、列車が会津柳津駅に入線してきた。私は急ぎ、ホームに向かった。

駅舎に入ると、「キハちゃん」が列車を出迎えていた。

ホームは人であふれていて、ワンマン運転で乗降口が先頭車両に限定されているため、乗り込む客はタラコカラーのキハ110の後部扉に移動していた。私は輪行バッグを抱え、最後に乗り込んだ。

 

16:27、「キハちゃん」の見送りを受け、会津若松行きの列車は会津柳津を出発。*参考:会津坂下町「只見線応援キャラクター誕生!!」(2015年3月13日) https://www.town.aizubange.fukushima.jp/soshiki/2/3337.html

ホームにはオープニングイベントなどのスタッフが並び、横断幕を広げ列車を見送っていた。

 

 

車内は、双方とも混雑していた。私は扉付近に立ち、左右両方の車窓から景色を眺めながら過ごした。

しばらく平行する国道252号線の桜並木は、満開だった。

 

会津坂本から会津坂下町に入り、七折峠の上りに入ると“坂本の眺め”から冠雪した飯豊連峰が見えた。*参考:公益財団法人 福島県観光物産交流協会「ふくしま30座」飯豊山  https://tif.ne.jp/yamafuku/mt30/18.html

 

七折峠を登りきり、下り坂の途中の塔寺を出てまもなく、木々の間から会津平野が見通せた。

 

下り坂が終わり、左に大きく曲がると、市街地越しに、「磐梯山」(1,816.2m、会津百名山18座)が見えた。

 

会津坂下を出た後、右にほぼ直角に曲がり南に進むと、若宮手前で「磐梯山」を中心に田園の風景が見えた。まもなく田植えの時期となり、代掻きを終えたが田が広大な“鏡”となる風景を思い描いた。

 

会津美里町に入った列車が新鶴に停車すると、駅舎脇の桜は満開になっていた。今日の高温で一気に咲いたようだった。

 

根岸を出てしばらくすると、西部山地の最高峰で、会津鎮守・伊佐須美神社の最終山岳地である「明神ヶ岳」(1,074m、同61座)の稜線が見えた。*参考:伊佐須美神社「御由緒・歴史」URL: https://isasumi.or.jp/outline.html

 

列車は“高田 大カーブ”で大きく右に曲がり、進路を南から東に変えた。車窓から振り返ると、「飯豊連峰」の稜線がうっすらと見えた。

 

会津高田を出て宮川を渡ると、満開の桜並木が綺麗に見えた。

 

会津本郷直前で会津若松市に入った列車は、阿賀川(大川)を渡った。上流側の正面には「大戸岳」(1,415.9m、同36座)の山塊に、西陽を浴びて山襞が浮かんでいた。

 

17:11、鶴ヶ城最寄りの西若松に到着。

ここでは、小出行きの最終列車と交換が行われ、その姿を見送った。

この後、輪行バッグを抱え駅頭に出て、自転車を組み立て。そして、駅前のスーパーで花見用の食材などを購入してから鶴ヶ城に向かった。

 

17:46、鶴ヶ城の西出丸が見えた。濠を囲む八重桜も満開だった。

 

濠に沿って北出丸に向かい、自転車を停めて本丸に向かった。椿坂の桜並木も見事な咲きっぷりだった。

 

太鼓門跡を通過してまもなく前方が大きく開け、天守閣が現れた。真っ白な城壁が西陽を浴び、いつもとは違った風に見えた。

 

本丸では、多くの人が行き交っていた。「會津十楽」が開かれていて出店が賑わっていた。

 

満開の桜を眺めながら、本丸をぐるっと回って、高石垣に登り天守閣を眺めた。桜の上に浮いているように見える鶴ヶ城は、改めて素晴らしいと思った。

 

高石垣を西に向かい、五軒丁濠を覘くと、西部山地に落ちてゆく太陽が見えた。

そして左に目を移すと、只見線の列車の中から見えた「明神ヶ岳」と伊佐須美神社の遷座第二峰「博士山」(1,481.9m、同33座)が、うっすらと茜色に色付く空に、くっきりと稜線を浮かべていた。

 

高石垣から本丸に下りると、大広間跡の芝生には行燈が並べられ、人々がくつろいでいた。

 

花見をしようと、鉄門を抜け帯郭に向かった。途中、桜の木の下で記念撮影をする家族連れとすれ違った。

 

帯郭の芝生広場はシートを敷いた花見客で混んでいた。

私は、笠間稲荷神社に近い桜の木の下に椅子を置いて、花見の準備をした。

  

準備を終え、遅くなったが「日向倉山」登頂の祝杯を上げた。

そして、城郭を覆う桜と目の前の桜を観ながら、つまみを食べながら、缶ビールを2本空けた。

 

陽が落ち、酒が無くなったところで椅子を畳み、西南角櫓のある石垣に登り、天守閣を眺めた。桜色にライトアップされた外壁の下に広がる“桜の海”が、素晴らしく綺麗に見えた。

 

石垣を降りて、帯郭の桜を観ながら北出丸に向かった。

今まで、鶴ヶ城の夜桜を観る機会が無かったが、好天の下の桜に劣らず、美しいと思った。

そして、桜色に照らされた鶴ヶ城が、夜桜の色を補い、共に美しさを高めているとも感じた。

 

 

 

鶴ヶ城を後にし、自転車を押し40分ほどで会津若松駅に到着した。

自転車を折り畳み輪行バッグに入れて、改札を通り1番線に停車中の郡山行きの列車に乗り込んだ。

 

車内では、呑み足りなかったので、「名倉山」のワンカップを頂くことにした。

鶴ヶ城の桜の余韻に浸りながら、チビチビと酒を呑み、今日の只見線の旅を締めくくった。

 

 

(了)

 

 

・  ・  ・  ・  ・

*参考:

・NHK:新日本風土記「動画で見るニッポンみちしる~JR只見線」 *2008年放送

・産経新聞:「【美しきにっぽん】幾山河 川霧を越えてゆく JR只見線」(2019年7月3日)

・福島県 :只見線管理事務所(会津若松駅構内)

 ・拙著:「次はいつ乗る?只見線」カテゴリ -只見線の春-

 

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