特殊な僧帽弁閉鎖不全症
人間で心臓病と言えば、肥大型心筋症や拡張型心筋症、弁膜症など、様々な物が挙げられますが、ワンちゃんの場合、弁膜症の一種、僧帽弁閉鎖不全症であることがほとんどです。
僧帽弁閉鎖不全症と言うのは、心臓のなかでも左側、全身に血液を送る機能を担う部分で、全身に送るはずの血液が、逆流してしまう病気を言います。
ほとんどの僧帽弁閉鎖不全症は、粘液性と言って、元々張りのあった僧帽弁がグニャグニャしてしまうことで、弁がしっかりと閉まらなくなって血液が逆流するものを言います。
次来るのは疣贅性の物です。
これは結構厄介で、僧帽弁に細菌が感染して弁がデコボコになって起こります。
弁が棍棒の様な形になるので、判断は付きやすいのですが、細菌感染が起こっているのだから、抗生物質使用してみるとしても、コブ状になった弁を治すことができないことがほとんどです。
最後に、非常に珍しい僧帽弁閉鎖不全症。
ついさっきまで健康体だったのに、いきなり呼吸困難、へたり込んでしまう。
どういうことかというと、通常、弁を吊っている糸の様な組織が切れてしまうことがあるんです。
そうすると、弁は問題無いのに、いきなり心不全に。
今までに2回だけ見たことがあります。
特徴としては、心不全なのに、心臓が大きくなっていないことです。
まあ、かなり珍しい現象なので、気にしていても仕様が無いでしょう。
珍しい僧帽弁閉鎖不全症と言うより、奇跡の僧帽弁閉鎖不全症というのがあるのですが、変形していた弁、3つの弁で出来ているのですが、この3つがうまく変形して、隙間が開いていたせいで心不全になっていた状況が、隙間が無くなって、健康体に戻る!という奇跡が起こることがあるんです。
これも今までに2回ほどだけ見たことがあるでしょうか?
心不全になっていたのに、急に聴診器を当てても、心雑音が全く聞こえなくなっている。
え?あんなにザーザーと雑音が聞こえていたのに?
エコー検査で確認しても、血液の逆流が無くなっている。
なんと、病気が治ってしまったパターンです。
奇跡以外の何者でもないでしょう。
ワンちゃんでも人間でも、時々こんなことが起こり得るんです。
どんな病気でも治せてしまう方法が有れば良いんですけどね。