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いわぶち動物病院

特殊な僧帽弁閉鎖不全症

2024.04.08 02:35

人間で心臓病と言えば、肥大型心筋症や拡張型心筋症、弁膜症など、様々な物が挙げられますが、ワンちゃんの場合、弁膜症の一種、僧帽弁閉鎖不全症であることがほとんどです。


僧帽弁閉鎖不全症と言うのは、心臓のなかでも左側、全身に血液を送る機能を担う部分で、全身に送るはずの血液が、逆流してしまう病気を言います。


ほとんどの僧帽弁閉鎖不全症は、粘液性と言って、元々張りのあった僧帽弁がグニャグニャしてしまうことで、弁がしっかりと閉まらなくなって血液が逆流するものを言います。


次来るのは疣贅性の物です。

これは結構厄介で、僧帽弁に細菌が感染して弁がデコボコになって起こります。

弁が棍棒の様な形になるので、判断は付きやすいのですが、細菌感染が起こっているのだから、抗生物質使用してみるとしても、コブ状になった弁を治すことができないことがほとんどです。


最後に、非常に珍しい僧帽弁閉鎖不全症。

ついさっきまで健康体だったのに、いきなり呼吸困難、へたり込んでしまう。

どういうことかというと、通常、弁を吊っている糸の様な組織が切れてしまうことがあるんです。

そうすると、弁は問題無いのに、いきなり心不全に。

今までに2回だけ見たことがあります。

特徴としては、心不全なのに、心臓が大きくなっていないことです。

まあ、かなり珍しい現象なので、気にしていても仕様が無いでしょう。


珍しい僧帽弁閉鎖不全症と言うより、奇跡の僧帽弁閉鎖不全症というのがあるのですが、変形していた弁、3つの弁で出来ているのですが、この3つがうまく変形して、隙間が開いていたせいで心不全になっていた状況が、隙間が無くなって、健康体に戻る!という奇跡が起こることがあるんです。


これも今までに2回ほどだけ見たことがあるでしょうか?

心不全になっていたのに、急に聴診器を当てても、心雑音が全く聞こえなくなっている。

え?あんなにザーザーと雑音が聞こえていたのに?

エコー検査で確認しても、血液の逆流が無くなっている。


なんと、病気が治ってしまったパターンです。

奇跡以外の何者でもないでしょう。


ワンちゃんでも人間でも、時々こんなことが起こり得るんです。


どんな病気でも治せてしまう方法が有れば良いんですけどね。