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広報「土壌汚染情報局~中小企業・個人事業者が向き合う土壌汚染」~Presented by ECO SEED

【2024年春特集1】2024年春現在の土壌・地下水PFOS、PFOA基本情報

2024.04.08 04:19

昨今、国の暫定指針値を超えるPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)が各地の地下水や河川から検出されていることが、メディアでも報じられる機会が増えており、聞いたことがある人も少なくないと思います。PFOS及びPFOAは、10,000種類以上あると言われている人工的に作られた有機フッ素化合物(PFAS)の一種であり、健康影響が懸念されることから大きな関心を集めています。さらに最近では、PFOAの代替として使われていたPFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)についても健康影響が懸念されることから注目が集まっています。基地周辺から判明するケースから基地問題として取り上げられることも少なくありませんが、実際のところPFOS、PFOAとはどのようなもので、国ではどのような対応が進められているのでしょうか。2024年春現在の基本的な情報をまとめてみます。


◆多様な用途のPFAS◆


PFASは、非常に広い業種で様々な製品等の加工等で使われています。PFOSとPFOAもまとめて報じられていますが、用途が異なったりもします。

PFOSは、繊維、医療機器、電子基板、自動車、食品包装紙、泡消火剤などが主な用途です。

PFASは、半導体工業、金属メッキ、フォトマスク、写真工業、塗料、泡消火剤などが主な用途です。

PFHxSは、泡消火剤、金属メッキ、織物、革製品及び室内装飾品、半導体工業などが主な用途です。

基地での泡消火剤の使用がクローズアップされることが多いですが、実際には発生源はかなり多岐にわたる可能性が高いことが分かります。


◆国の動向:暫定指針値の設定◆


PFOS、PFOAについては健康影響が懸念されることから世界的に規制する動きが加速しており、日本ではPFOSが2010年、PFOAが2021年にそれぞれ化審法第一種特定化学物質に指定され、PFHxSについても2024年2月に化審法第一種特定化学物質に指定されています。

地下水や河川など自然環境の中からも検出されていることから水を巡る規制においても管理に向けた動きが出ています。

2020年には、水道水の安全を守る水道水質基準(厚生労働省)で水質管理目標設定項目に、公共用水域(河川や地下水など)のあるべき水質を示す水環境基準、地下水環境基準(環境省)で人の健康の保護に関する要監視項目となり、PFOSとPFOAの合算値として暫定指針値「0.00005mg/L以下」(50ng/L以下)が示されました。

PFHxSについても2021年に水道水質基準の要検討項目、水質環境基準及び地下水環境基準の要調査項目になっています。


◆国の動向:「PFOS 及びPFOAに関する対応の手引き」◆


さらに、環境省では暫定指針値を超えるPFOS、PFOAが検出された場合に地方自治体が取るべき対応をまとめた「PFOS 及びPFOAに関する対応の手引き」(https://www.env.go.jp/content/000073850.pdf)を2020年に示しています。


◆国の動向:「PFOS、PFOAに関するQ&A集」◆


手引きでは、環境中から目標値等を超える値でPFOS及びPFOA が検出された際には、地域の実情等に合わせて、(1)ばく露防止の取組の実施(2)継続的な監視調査の実施(3)追加調査を実施することなどを勧めています。

また、2023年には「PFASに対する総合戦略専門家会議」が設けられ、同年7月に「PFOS、PFOAに関するQ&A集」(https://www.env.go.jp/content/000150400.pdf )、「PFASに関する今後の対応の方向性」(https://www.env.go.jp/content/000150418.pdf )をまとめています。


◆国の動向:2024年にはPFASの健康影響を解明する研究等も開始へ◆


さらに、2024年には「PFASに関する総合研究」新規課題として「免疫疾患におけるPFASの免疫抑制及び免疫促進影響の解明に向けた実験的検証」(主任研究者:学校法人兵庫医科大学・医学部・免疫学講座主任教授黒田悦史氏)、「PFASsの規制に関わる優先付け及び合算評価に資する遺伝子発現解析による有害性評価法の開発」(主任研究者:国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター毒性部室長相﨑健一氏)、「毒性影響・毒性発現機序・種差を考慮したPFASの包括的な健康影響解明:環境疫学ー毒性学融合研究」(主任研究者:国立大学法人北海道大学環境健康科学研究教育センター特任准教授アイツバマイゆふ氏)も開始します。

一方、2020年にまとめた手引きでは曝露防止や監視調査の継続等の重要性を指摘しつつ除去等については方針を示していませんが、2023年3月には報道各社は環境省が夏頃をめどに、具体的な除去技術をまとめた指針の策定を目指していることを報じています。指針では汚染水源がある自治体の協力を得て、公募型の事業で研究者の参加を募るといった形を経て示す見通しと報じられており、いよいよ除去技術についても具体的な対策が視野に入ってきたといえそうです。

なお、現時点では積極的な汚染源対策は始まっていませんが、上水道では対処療法的に活性炭による吸着除去等が進められています。

また、都府県の計12県・市町村議会が国会に対策を求める意見書を提出するなどしています。健康影響に関する情報の速やかな提供や発生源特定のための調査や汚染除去等の対策について、具体的な方法を示すこと――などを求めています。

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