抽象
学力を上げるために大切な力として、
を紹介してきました。
最近は、それを意識して指導をしてきましたが、
この3つの力には、「抽象化」することが大切なのではないかということに行きつきました。
「抽象」とは、
個個の事実や事象から、それらの範囲の全部のものに共通な要素を抜き出し、
「およそ、…と言われるものは、このようなものである」
と頭の中でまとめあげること。【新明解 国語辞典より】
ちょっとわかりにくいですね。
「抽象」の対義語が「具体」や「具象」であることのほうがわかりやすいかもしれません。
すごくざっくり言うと、
「ざっくり言う」
ということでしょうか(^^;)
例えば小学5年生で学習する「割合」。
みなさんは、どのように習いましたか?
塾生に聞いてみたところ、
ほとんどの塾生が、『「左側」で習った』、とのこと。
小学校の算数は高学年から「抽象的」に考える学習が始まります。
はっきり言えば、
左側は「抽象」ではありません。
「こうすると式が立てやすいね!」
であって、「割合」の説明ではありません。
本当は、「右側」でも学習したけど、覚えてないだけかもしれません。
しかし、左側で覚えている人は、
「割合とは何か」を説明できないでしょう。
意味もわからず問題を解いても決して記憶に残りません。
言語化できないからです。
高校生の数学でも言えます。
「三角比」という学習内容があります。
うわぁ…、というお家の方もいらっしゃるかもしれません(^^;)
僕も「うわぁ」でした(^^;)
これも、小学生の割合のように、「抽象化」してみる。
これは、抽象でしょうか?
抽象のように見えますが、因果関係や意味がよくわかりません。
三角比とは何かを考えてみると、
斜辺を「1」としたときの他の2辺の長さのことです。
そう、本当に「比」のことです。
だから、三角比の公式って、
こういう意味なんです。
意味がわからない=言語化できない。
それは、記憶に残らない。
意味を考えるための「抽象化」。
子どもたちが、「抽象化」できる手法はまだはっきりと確立できていません。
しかし、この「抽象化」が学力アップのために重要なものであることは間違いありません。