公開商談で見えた!伊勢丹バイヤーが農家さんに求めること
ポケマルの諸々担当、本間です。
さて2C(対一般のお客様)の売場という印象が強いポケマルですが、2B(飲食店や小売などのビジネスのお客様)での活用も少しずつ広がっています。生産者の皆さんにとっても、まとまった量が見込める2B取引は魅力的ですよね。
参考記事:白金の名店が選ぶお米とは?<ポケマル飲食店ユーザーインタビュー>
では、Bのお客さんはどのようなことを生産者に求めているのでしょうか?
それを知るには、バイヤーと呼ばれる方々にお話を聞くのが一番でしょう。今回は、小売業界のトップとも言える伊勢丹新宿店の生鮮売場のバイヤー林さんのお話をお伝えしたいと思います。
▼公開商談!
伊勢丹の林さんとの出会いは、福島でした。47キャラバン*でもご一緒させて頂いた、福島県の生産者をサポートしている「東の食の会」さん主催のイベント『ふくしまファーマーズキャンプ』に講師としてお邪魔した際に、同じく講師としてご登壇されていました。
林さんの講義では、もう一人の講師である株式会社食文化の井上さん(築地市場ドットコム、うまいもんドットコムやdancyuドットコムなどを運営する、食のECの重鎮バイヤーです)とともに、2B取引を実現するため様々なアドバイスや、実際の商談の場である商談会の進め方についての説明が。そして後半には、実際に生産者の皆さんが、お2人に対して自身の生産物をアピールする「公開商談」のセッションが行われました。結構厳しめの「ダメ出し」があったりで生々しいやりとりが繰り広げられました。
名刺交換から実際にやる徹底っぷり。とはいえ他生産者の前で皆さんとても緊張されてました
伊勢丹の林さん、食文化の井上さんから生産者には、様々なアドバイス・フィードバックがありましたが、ここでは印象的だったことを2つほどご紹介します。
まずは「話すより聞く」というアドバイス。商談時間が10分あるとして、半分以上は(できれば8割と!)Q&Aの時間にしましょうと。そしてそのためにに名刺交換から最初に行う「アイスブレーク(緊張をほぐし話しやすい雰囲気をつくるための工夫)」の大切さが繰り返し説かれました。また「耳で聞くだけでなく、目で聞く(相手の目を見る)、手で聞く(メモをとる)、口で聞く(適切な相槌)、など全身を使って聞きましょう」というお話も、聞くことの意味を強く印象づけるものでした。
アイスブレークでいい雰囲気になり(人に興味を持ち)、説明を聞いて商品に興味を持ち、質問したらとてもいい感じに答えてくれる。確かにずーっと商品アピールを聞かされ続けるよりもよい関係が築けそうです。ポケマルのようなECにおいて当てはめるなら、「話しかけやすい、質問しやすい雰囲気をつくる」ということと言えるかもしれません。
▼他との違いをシンプルに伝えて
そしてもう一つは、「何が違うのかを教えて」ということ。当たり前に聞こえますが、実際に商談をしているとちゃんとできている人はとても少なかったです。ついつい「言いたいこと」を言ってしまうんですよね。。わかります。
伊勢丹のバイヤー林さん(右)と食文化の井上取締役(中央)。模擬商談とはいえ真剣な表情で聞き、メモをとり、質問されていました。
たとえば、福島の桃についての商談。商談が終わった後のフィードバックはこんな感じでした。「まず全国の中で福島はどういう特徴があるのか。福島の中であなたの◯◯市にはどんな特徴があるのか。◯◯市の中であなたの栽培方法は何が違うのか。結果できる桃の味はどうなのか。他に何かアピールポイントはないのか(GAP取得など)。僕たちは何十何百という生産者の方と毎日のように会っているので、例えばこうした順番や軸で他との違いを伝えてもらえると、興味が出てくるんです」。
生産者の「思い」は大切ですが、いきなり思いから入ってしまうのは注意が必要です(もちろん、それがうまくいく人やケースもあると思います)。店頭に並ぶのは生産者さんではなくて商品ですからね。まず商品としての特徴や違いに興味が出た上で、さらにつくっている人の魅力として「思い」に共感すると、取引につながっていくということなのでしょう。
▼伊勢丹x福島ファーマー
福島で行われたイベントから約1ヶ月。イベントの参加者からのSNSに嬉しい投稿がありました。「新宿伊勢丹で出張販売中!」
伊勢丹新宿店で開催されていた生産者直売の企画「SALON de AGRI JAPON」にて、福島の農家さんたちのブースが設置されていました。中にはポケマル農家さんも多く(加藤さん、菊地さん、佐藤さん)ほんまも現場に思わず駆けつけました。
これに際して、企画者でもあるバイヤーの林さんがご自身のSNSに投稿した言葉が印象的だったのでご紹介します。
チームふくしまプライド。
皆のプライドが結集して、
皆の『プライド』に。
僕は最初、3年前に福島との取り組みを
やろうと言われたときに、
福島は無理だと思いました。
福島はいくら美味しくても、
商売ベースにならないと。
福島はあの日から大きく変わりました。
原発事故、風評被害。
でもなぜ、今やるのか?
それは福島がどこよりも早く、
日本の農業の本質的な問題に、
原発事故があったことで、
気づいたからです。
安心安全とは?
美味しさとは?
ブランドとは?
後継者とは?
今、なぜ?自分がこんなに
福島を愛するかとは…
こんなに素敵な友達がたくさんいて、
こんなに農業を好きで突き詰めて、
こんなに美味しいもの作れるから、なのです。
だから、福島なんです。
バイヤーとして、
美味しさは保証します。
安全性は、僕の信頼する友達なので、
それは信じて下さい。
明日明後日、
彼ら彼女らと是非店頭に、
友達になりにきてください!
この言葉の意味が必ずわかると思います!
お待ちしております!!!
一人のバイヤーの思いが、天下の伊勢丹でこうした企画を実現させました。その林さんによる、思いあふれる、アツい熱いメッセージでした。本稿では商談会のノウハウや「違いを伝える」といったことを書いてきましたが、やはり根底に絶対的に大切なのは、人と人のつながりそして共感にあるのだと思います。
今回は、「東の食の会」さんのつむいだご縁に乗らせていただきました(感謝です)。ポケットマルシェも、生産者さんの思いが、全国の消費者そしてビジネスのバイヤーのみなさんにつながり、共感と結果につながるその手助けをしていきたいと思います。
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