未知との遭遇
私の特技は
会った人の人柄や人となりが、
かなり短い時間でほぼわかることである。
なんなら初見の第一印象でだいたいわかる。
そしてだいたい当たっている。
もちろん例外はごくまれにあるが。
「え!あの人ってそんなとこあるの?」
と後で驚くことはほとんどない。
「まあそうだろうね」
と思うだけだ。
だけどこれは特殊な話ではないと思っている。
経営者や管理職
面接官や人事のベテラン
教育機関で従事している先生や監督
医療機関に従事している先生やスタッフ
といった立場の人には似通った感覚が多いと思う。
「人を視る」という経験が多いからだ。
しかし私の場合はどっちかというと
そういう環境で経験を積み重ねたというより、
プロファイリングに近いような気がする。
その人の服装・持ち物・立ち振る舞いから感じ取るからだ。
メイクや髪形はもちろん、
服・靴・カバンのチョイス
スマホ・時計・アクセサリー類のチョイス
そしてそれらの使用感などの情報を自然に取得してしまい、
何を重視して生きてきたかを瞬時に分析してしまうクセがある。
「そんなぱっと見じゃわからないでしょ」
と言われるときも多々あるが、
わかるんだから仕方ない。
わかるわけないって人はたぶん、
「人は見た目が9割」みたいな感じで
全体イメージで直感的にカテゴライズしてて、
「え!そんなとこあるの?意外~」
とかって勝手にびっくりしてるよね。
外見っていうか、
身に着けてるモノって
その人のことがめちゃくちゃわかりますよ。
だって選んでるんですもん。
なぜその人がそれを選んだのか、
それを選ぶに至った思考はどういうものか、
そこに人柄が反映されるはず、と考えるので
ふんわりしたイメージからの受取とは違う。
おしゃれだとかダサいだとかの表層でごまかされないのである。
そして一度でも食事すれば、
ほぼ理解は完全に近くなる。
食事はその人のポリシーや生育環境が如実に表れるからだ。
だがそんな私でも、
第一印象でも食事してもわからなかった人が一人だけいた。
Tさんという、一流企業を卒業した年配の方である。
その人には完全に騙されたと言っていい。
もちろんはじめのうちだけであって、
数回過ごせば把握できたが、
当時は悔しい思いをした。
なぜならその人のわが社への入社を、
騙された私が後押ししてしまったためである。
のちにその人のせいで私も仲間もさんざん苦労することになったのだ。
しかしTさんは騙そうとしたわけでも隠そうとしたわけでもなく、
彼なりにごく普通に振舞っており
単純に私にとってTさんが未知のタイプだというだけだった。
出会ったこともないどころか、
まったく想像すらできない人種の類だったと言わざるを得ない。
一流企業に勤めたことがない、
私の修行不足であり
世間知らずなのである。
そして「信じるものが違う」ってことが、
これほど互いに相容れないことなのかと
戦慄を覚えた記憶がある。
どうりで戦争がなくならないわけである。
この先の人生で
そういう人に出会わないことを祈るばかりである。