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ジローの感謝。

再掲載「取り残された人」

2018.11.21 08:50

そう遠くない未来の日本……。

デジタル化が進んだ世界。

アナログを愛してやまないモノも中にはいるが、世界はもう空を飛ぶ車も

電子マネーも普及し

アンドロイドも街を歩いている。

システムが街を管理していたり

自動運転のバスや

無人の銀行

警察迄もがアンドロイドだ。

そんなデジタルの発達した世界の中で

もう化石のようなアナログな技法で絵を描く少年がいた。

名もなきアナログ画家だ。

あてもなくギターを持ち

デジタルな世界には似合わない折りたたみの自転車を使っている。

だからと言ってデジタルを嫌っている訳では無かった。

ただ、昔からの古い文化の技法のアナログな技法で絵を描いていた。

その画家は名前が無かったから「アナログ画家さん!」と呼ばれていた。

いつも突発的に動く彼は

「何を考えてるかわからない」「いつもノープランでうごいているよ、アイツはなんなんだ!

「気が狂ったみたいだ!」

と予想以上に気味悪がられているのだ。

そうすると彼は皆に気だるそうにペンを持った手で1ヶ月洗っていない髪をかきながらこう言い放つのだった。

「僕はロボットじゃない。感情があるから意思は伝えないで行動で示すだけだよ。

不完全な人間は、ロボットじゃないんだろ?

支持を出さないと動けないお人形さんかい?

僕の邪魔をする暇があるなら、デジタルロボットと遊んでりゃいいさ。」

それを聞いた街の住民達は何も言えなかった。

人間だから感情があるというのも、支持を出さないと動けないのという言葉も胸に刺さってしまったのだった。

それを言い放ってから彼は街の住民がいる中、折りたたみ自転車を自転車カバーから、出し、ギターケースにギターを入れて、自転車の前カゴに画材を入れてギターを背負って、自転車にまたがり

黒い帽子を大切そうに被って

街を後にした。

彼の家は街のそばのさびれた地下街

デジタル化した外界とは違い、酷い場所だ。

地下に潜ると酷い異臭がするし、昔の列車のホームや地下街のほとんどが廃墟化している、それに誰がこんな所に好き好んで住んでるんだ。

という見るにも耐えない場所だった。

そこをあくびをしながら自転車で「アナログ画家さん」はゆっくりとどこかへ向かっている。

こんなさびれた地下街に何があるというのか。

「今日はやってるかな、珈琲屋さん。

自転車をこぎながら眠たそうにしている彼はとりあえずどこかへ向かっているようだった。

しばらくすると彼は自転車を止めた。

地下街の奥に何か小さな建物があった。

LEDでは無い電球で「喫茶店」と点滅するネオンの看板の「free」という名の店だ。

自転車を降りて鍵をしめた事を確認した「アナログ画家さん」は店内に眠たそうに入って行った。

彼が眠たそうにしていた顔をシャキッとした顔にするのはこの店に入ってから決まって店内を見て目を輝かせるのだった。

コイン式のアナログレコードプレーヤーに、直火焼きの豆から焙煎される珈琲の匂い、いつの時代のものかハッキリとわからないアニメのポスターや、電子書籍の今の時代には無い、漫画の本が置いてある。

「おや、来たのかい、アナログ画家さん」

年老いたお爺さんのマスターが、ティーカップを拭きながら、たくわえた白ひげにアンティークな格好で彼を出迎えていた。

「お爺さん!珈琲くださいな!今日も漫画を読んでいいかい?

いやー、やはりここは最後だなぁ!あはぁ!」

ご満悦な顔の彼がニヤニヤしながら帽子を脱いで何やら画材を出している。そしてお爺さんに決まってる注文をする。

「お爺さん!珈琲はミルクと砂糖お願いね!」

マスターは少し微笑みながら彼に話すのだった。

「今日は何を描くんだい?アナログ画家さん」

すると決まって彼はこういうのだ。

「お爺さんなら見ていたら何を描くか分かるさ!5分で描き終わるから珈琲をよろしくね!」

するとHBの良くけづられてある鉛筆と、消しゴムを出して素早く絵を描いていた、すると「よしっ!」と言ってドローインペンを出して本線を描き始め、消しゴムをかけて、素早く色を塗って5分かからない間に絵を描きあげていた。

「今日はキカイダーのジローですか、懐かしいですなぁ、石ノ森章太郎先生の漫画がありますよ、アナログ画家さん」

そうお爺さんが言うときっかりと珈琲を用意していたのだった。

「砂糖とミルクは好きな量をお入れください。」

彼は待ってましたと言わんばかりに珈琲に砂糖2杯、ミルクを少なめに笑顔満々で入れて

暖かいホットコーヒーを飲むのだった。

「いやー、美味しい。お爺さん、ありがとうね!じゃあ漫画を読ませて貰うよ!」

そういうと彼は珈琲を飲み終わると石ノ森章太郎先生の漫画に食いつくように見入っていた。

目を輝がやかせながら

ずっと夢中で漫画を読んでいた。

喫茶店のお爺さんはレコードを流しながらたくわえた白ひげの顔でニコニコ笑っていた。

するとアナログ画家さんが「ハッ!そうだ!」

「これだ!これだ!」

と言っていたが、街の連中なら気味悪がられるこの彼の突発的な言葉だが、お爺さんはニコニコ笑っていただけだった。

「お爺さん!僕は名前が無いんだ!何処で生まれたかもわからない、名前が無いのも変じゃないかな?」

お爺さんは先が読めていた。「キカイダーの、彼ですか?」

彼はニヤッと笑っていた。

「そう!ジローだ!

僕はジロー!ジローと名乗るよお爺さん!」

「アナログ画家さん、いや、ではジローさん、よろしくお願いしますねぇ。……」

お爺さんはニコニコ笑ってジローと

名乗ったアナログ画家さんをジローと呼んだ最初の人間だった。

「僕はジローだ!あはぁ!」

今の時代には全く価値の無い筈の小銭できっかり500円を支払い、「お爺さんありがとう!」

というとジローは帽子を被ってギターを背負い、

喫茶店を後にして、自転車でニコニコと笑いながら喫茶店よりも奥の地下街に入って行った。

喫茶店の先に何があるといいのだろうか

廃墟とかした地下街にまた電球の建物があった。

喫茶店より小さな建物だ。そこにジローはニコニコと笑って止まった。

どうやら自宅のようだ。

自転車を降りて、この時代には全く価値の無い鍵を出して、家の鍵を空けて家の中に入って行ったのだ。

「ただいま!」

誰もいないうちだが何かご満悦なジローだった。

かついでいた、ギターをケースから出してソファに座り、ギターを鳴らしていた。

「そろそろ弦を変えなきゃな……。」

ニコニコ笑ってギターを弾いているジローだった。

ジローがギターを弾き終わるとソファで眠たくなったから寝たようだった。

だがジローは夢を見ていた自分の夢を

「ココは何処だ?」

夢の中でジローは知らない施設に入っていた。

デジタルの進んだ施設。

何体ものアンドロイドがいた。

周りを見渡すと製造工場のようだった。

アンドロイドの。

ジローはそこの実験室で寝かされていたのだった。

「僕は一体……。ここはなんなんだ?」

するとジローの傍に白衣を着た老人が現れた。

老人は薄気味悪く笑っていた。

「君を作ったんだ。君をユニークなシステムにした。

下界を楽しむがいい。ここの記憶は消しておく。

ではな。」

ジローが信じられない状態でパニックだった。

自分が造られたアンドロイド?

ココは一体……!

と老人を睨んでいたら、老人はやはり不敵な笑みを浮かべていた。

老人は数体のアンドロイドをあらかじめ呼んでいた。

「このアンドロイドの記憶を消せ。」

ジローが「なんでだ!やめろ!」と叫ぶのも虚しくジローは記憶を消去されたという悪夢。

「ハッ!」とジローが目を覚ますとそこは自宅のソファだった。

「僕は一体……あの夢は……」

ジローはしばらくすると夢の内容を覚えてはいるが気にせずにいようと

洗っていない髪をかきながら眠たそうにしていた。

「まぁ夢だ、夢、ふぁ~」

あくびをしながら大切な帽子を被ってギターをケースに入れて画材を持ち

自宅の鍵を閉めたら眠たそうに画材を止めていた折りたたみ自転車の前カゴにのせて

ギターを背負って自転車にまたがり

ゆっくりと異臭の漂う地下街を自転車で眠たそうにあくびをしながら進んで行った。

街に出るのが嫌だったが、街にも少なからずはジローの友達はいたのだった。

ジローがユニークな「アナログ画家さん」

だから気に入って友達になった大切な友達だった。

街の連中はやはりジローを変な目で見ていたが、友達は違ったのだった。

ユニークな彼に最初は抵抗があったが、

「アナログ画家さん」のジローの話を笑って聞く友達になってくれたのだった。

眠たそうにあくびをしながら自転車で街の入り口迄来ていた。

「よぉし!」

ジローは眠たそうにしていた顔を叩いて街の住民が嫌そうにするのは目に見えていたが自転車で街を走り抜けた。

デジタルな街の一角の集落を目指していた。

その集落に友達はいるのだ。

「僕の名前はジローだ!あはぁ!」

友達に名前を言うのが楽しみで仕方なかったジローだった。

集落に着くとそこは自然の木々も生い茂る集落だ。

アンドロイドもいるが、発達した街の中心よりは自然に溢れた集落だった。

「アナログ画家さん!」

そこの集落の大きな家に住んでいる女の子と、その弟が家の前で手を振りながら待っていた。

女の子は18歳くらい

弟は10歳くらいといったところだ。

「アンナ!ダン!きたよぉ!」

女の子はアンナ

男の子はダンという名前のようだ。

ジローは自転車に乗りながらふざけた顔をしていた。

アンナとダンはそれを見て笑っていた。

「あははっ!なんなの!」

自転車を停めて自転車をおりたジローはにまぁっと笑いながら

「僕の名前は今日からジローだ!」

とアンナとダンに言ったのだった。

「ジロー?アナログ画家さんの名前?」

アンナが不思議な顔で聞いた

ジローがふざけながらアンナの頭を撫でて「ジローだよー!ばぁ!」

とふざけた顔をしていた。

アンナとダンはドッと笑いだして

「あははっ!なんなの!わかったわ、ジローね!よろしくジロー!」

とアンナが

「ジロー兄ちゃん!」

とダンが呼んだ。

ジローは「ジロー兄ちゃんか!

面白いな!名前だ!名前だ!あはぁ!」

とダンにニコッと笑いながらキカイダーのジローの絵を見せたのだった。

「どうだい?このジローから取ったんだよ!」

そのジローの絵はギターを弾いて悲しそうな表情をしていたジローの絵だった。

「この絵のジロー……?」

ダンが不思議そうな顔でジローの絵を見て、ジロー兄ちゃんを見上げていた。

「大丈夫だ!ダン!ジロー兄ちゃんは笑ってるだろ?

心配ない!ばぁ!」

ジローはそういうとまたふざけた顔をしてダンとアンナを笑わせていたのだった。

するとジローは後ろから異様な気配を感じた。

「ハッ!」

と振り返りアンナとダンを後ろにして守り

振り返ったら夢で見た不敵な笑みを浮かべている夢でジローが見た老人がアンドロイドを数体従えて立っていた。

「やはりユニークに設計して設定した通りにうごいたな、ジロー。

研究所に来るがいい。もっと優れた機能をつけてやる。」

ジローは夢で見た老人と自分の夢が本当だった事に驚いた。

自分は人間では無くアンドロイドだったのだ。

ジローはだが自分の事よりアンナとダンを庇おうと、ギターをケースから出して武器のように逆に構えて老人とアンドロイドを睨んだ。

「友達に手を出すな!」

ジローは睨みながら威嚇していた。

老人がアンドロイドを停止させてジローに笑みを浮かべながら話しかけた。

「アンドロイドがユニークになそう言う友達を守るというのも面白い。だがそれもシステムに過ぎないんだよ。ジローよ。キカイダーのジローに目をつけるとは、うすうす自分の存在に気づいていたのかな、ははっ!

友情もシステムに過ぎないんだよ、ジロー。

ついてこい。」

すると老人はアンドロイド達を使ってジロー達を襲おうとしたが、ジローがアンドロイド達を「壊す」しかない。

と自分もアンドロイドなら、アンドロイドに勝てるとアンドロイドに殴りかかった。

アンナは怖がりながらジローに言った

「ジロー!壊しちゃダメ!あなたがアンドロイドでも人間じゃなくてもあなたはあなたでしょ!アンドロイドも仲間じゃない!家族じゃない!ダメよ!ジローやめて!」

アンドロイドを2体破壊したジローが「ハッ!」我にかえった。

自分と同じく造られたアンドロイドを自分は壊してしまったのだ。

老人は不敵な笑みを浮かべてジローに言った。

「その気の迷いもシステムだ。ジロー。

お前には良心があるからな。自分のシステムに順応だな、ジロー。」

ジローは老人を睨みつけたが、手は出さなかった。

自分がシステムで構築されたアンドロイドでも自分は自分だと信じていた。

「僕を破壊しろ。老人。」

老人は驚いた。システムに無いであろう自らの破壊を申し出たのだから。

老人は不敵な笑みを浮かべてジローに言った

「ふん、人工知能が働いたか。ジロー、覚悟が出来ているようだな。お前を壊しても修復しないぞ。」

ジローは初めて老人に笑みを浮かべた。

ふざけた顔をして老人を馬鹿にしていた。

「ばぁ~!」

ジローはふざけていた。

老人は抵抗しないジローを壊そうと、あらかじめ作っていた、ジローの起爆装置をだした。

ジローはそれで「自分を壊す」とわかったのだった。

ジローがギターを鳴らしはじめてアンナ達に「ありがとう」と笑っていた。

アンナとダンは泣いていた。

「ジロー!壊れちゃダメよ!ジロー!」

アンナが叫ぶも虚しくジローはギターを置いて老人に近づいて笑って起爆装置を奪って走り出した。


「僕の名前はジローだ!ばぁ~!」

最後迄ふざけて笑っていた。ジローは起爆装置のスイッチを押して自分を爆破した。

ジローの残骸が当たりに飛び散った。

アンナとダンは泣いていた。

「ジロー!」

「ジロー兄ちゃん!」

ジローのギターがアンナの傍に置いてあった。

ジローがアンナ達に残したかたみだった。

老人達はアンナ達に危害を加えるでもなく去っていった。


アンナとダンはジローのギターを抱きしめた

「ジロー……」

呆気なく散ったアンドロイドのジローの生涯は終わったのだった。

老人がジローの残骸からチップを回収していた。

「面白いデータが取れた。戻るぞ。」

老人達は研究所にジローのチップを持ち帰ったのだった。

アンドロイドの少年ジローの一生が終わりを告げて

アンナ達はジローのギターをかたみにしていた。

ジローとは何故造られたのだろうか。

真相が分からぬままジローの生涯は幕を閉じた。



あとがき


この作品は石ノ森章太郎先生の人造人間キカイダーにかなり影響を受けた作品です。

石ノ森章太郎先生には申し訳ない作品かも知れません。

近代の未来の日本にデジタルの世界が進み、いつかはロボットがそこら中に歩いていて、バック・トゥ・ザ・フューチャーや、iRobotのように、車が飛んだり、ロボットが人工知能を持つようになる時代がくるでしょう。

僕の描いている我が子、ジャックナイフもピノキオなのかも知れません。

我が子を大切に想い、ジャックナイフは誰にあてたかは定かには致しませんが、読み手の方にお任せします。

この「取り残された人」は

とあるアーティストさんととある曲名をタイトルにしようかと考えましたが、それはふせておきます。

まだまだ半人前の僕、ジローが、この小説を書いて良かったのかは分かりませんが

この「取り残された人」ももっと進化させたい我が子です。


読み手の方に伝わる物語も、絵も描いて参ります。


読んで下さった方、いつもお世話になっている方々、家族、そして友達にありがとうを込めまして


感謝です。

ジローより。