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広報「土壌汚染情報局~中小企業・個人事業者が向き合う土壌汚染」~Presented by ECO SEED

【2024年春特集3】地下環境で異なるPFOS、PFOAの挙動を確認~国際航業株式会社

2024.04.10 02:00

PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)はそれぞれ化学構造の違いから地下環境中で挙動も大きく異なる特徴があるため、それぞれの特徴に合わせた対策が必要になってくると考えています――。PFOS等の対策技術の検討を進めている国際航業株式会社(東京都新宿区北新宿2-21-1)はこのほど、PFOS、PFOAの挙動特性の試験等を行い、PFOS、PFASが土壌・地下水中でどのような挙動をするのかを明らかにし、注目されています。(エコビジネスライター・名古屋悟)

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◆PFOS、PFASの地下環境中での挙動特性の違いを明確に◆

PFOSなど人工的に作られたPFAS(有機フッ素化合物)類は、不活性結合の1つであり炭素-フッ素結合(C-F結合)で合成されています。この結合は非常に強固なもので、安定性が高い性質になります。このためこのC-F結合を分解することは非常に難しく、永遠の化学物資と言われるゆえんになっています。C-F結合の数は、PFOSでは8つ、PFOAでは7つ、PFHxSでは6つなど異なっています。また、PFOAとPFOSまたはPFHxSでは官能基が異なります。

さらに、PFOS及びPFOAは、炭素鎖が直鎖状に結合した構造(直鎖体)の他に、炭素鎖が分岐した構造異性体(分岐鎖体)が存在しています。直鎖体と分岐鎖体では物理化学特性が異なります。

このC-F結合の数の差、官能基の違い、直鎖体と分岐鎖体の違いなどによって地下環境における挙動が異なる可能性があり、同社はこのPFOS、PFOA等の効果的な対策手法を選定するためにも、地下環境中での各物質の挙動特性を把握する必要があると判断し、模擬汚染水を用いたカラム試験を実施。


◆有機物の少ない豊浦砂と有機物含む黒土で挙動の違いを検証◆


カラム試験は、PFOA、PFHxA、PFOS、PFHxSを1L当たり100μgの溶液を1分あたり約10mLの速度で豊浦砂(約1,000g)を充填したものと黒土(約650g)を充填したものにそれぞれ通水して実施。

その結果、豊浦砂の場合、直鎖のPFOS以外は通水量500mLの時点で注水液の濃度と同程度となり、比較的前半にはカラム全体の土壌の吸着容量を超えていました。

一方、黒土の場合、回収液中からPFOSは検出されず、その他の物質についても注水液中の濃度にはなっておらず、カラム全体の土壌の吸着容量を超えていませんでした。

土壌の吸着量を計算すると、有機物含有率から計算すると黒土は豊浦砂に比べて1,160倍となるが、カラム試験でも同等の結果が得られたとしています。

黒土への吸着量を多い順に見ると、PFOS(直鎖)、PFOS(分岐鎖)、PFOA(直鎖)、PFHxS(直鎖)、PFHxS(分岐鎖)、PFHxA(直鎖)となったとしています。

この結果から、移動性は同じPFASでは分岐鎖の方が直鎖よりも大きく、その傾向はPFOSの方が強いことが示されたとしています。これらの結果は、地下水中における分岐鎖体の占める割合の変化が汚染源推定に有効な情報になるということになります。


◆PFOSは表層土に吸着、PFOAは帯水層まで浸透◆


具体的にいうと、PFOS(特に直鎖体)は比較的浅い深度の有機質土に高い濃度の土壌汚染を発生させる可能性が高い一方、PFOAは容易に土壌を通過して帯水層まで浸透し、地下水汚染を発生させる可能性が高いほか、地下水流動の過程で土壌に再吸着し帯水層中に広域の土壌汚染を発生させる可能性があることが分かったことになります。さらに、PFHxS、PFHxAはさらに広域の地下水汚染を発生させる懸念があるとしています。

つまり、簡単に言えば、有機質土が豊富な地域では表層土にPFOSが蓄積し表層土壌汚染を発生させ、PFOA等ほかのPFASは帯水層にまで浸透して地下水汚染を発生させる性質があるということになります。

この試験結果は、有機物の少ない琉球石灰岩の地層がある沖縄では地下水中からも暫定指針値を超えるPFOS、PFOAが検出されている一方、有機物を多く含む地層の地下水中からPFOSが暫定指針値を超えて検出されるケースが比較的少ないという傾向に整合するものとなります。


◆PFOS、PFOAの挙動の違いで異なる対策方法◆


現在、国の暫定指針値はPFOS、PFOAの合算値50ng/lとされており、両物質を分けずに捉える風潮がありますが、この結果から地質によって対策が異なってくることを示唆しているとし、同社では地下水汚染が懸念されるPFOAの原位置浄化技術の確立を進めているとしています。


※記事中の図は、すべて国際航業株式会社提供資料。

※国際航業の土壌・地下水汚染調査・対策については同社ホームページの以下URLを参照してください。問い合わせも同URLから可能です。

https://www.kkc.co.jp/service/issues/soil-and-groundwater-contamination/

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