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仲介会社における管理職へのステップアップについて

2018.11.21 22:59

 世の中には、本当に営業が上手い人間がいて、そういったかたを見るとまるで魔法使いのように感じてしまう。

 賃貸仲介業においても同様で、過去ごく僅かだが、突出して素晴らしい営業能力を持っていたかたがいた。企業の平均値より倍の数字を叩き出し、トップを独占する優秀な営業メンバー。これはある種の才能だろう。


 また店長に関しても、素晴らしい店長が存在していて、こういった人のいるお店は、本当に強い。売上のみならず、離職率は低下し、モチベーションは向上する。しかしながら、この店長資質を見極めるのは、かなり困難だということも忘れてはならない。


 営業職を極めていくと、当然キャリアステップとして、管理職になっていくのだが、実際のところ、上記のような優秀な営業マンが、優秀な管理職になるのかは、確実にそうとは言い切れない。

 悲しいかな、管理職になった途端に、店舗や組織の数字が落ちてしまうことがある。まただらしのない勤務態度になり、部下が離れていくことも多い。

 

 名選手は、名監督にあらずという言葉、そっくりそのままである。しかしながら、不動産業において、名選手は、重要な管理職の要件のひとつだ。

 名選手は名監督になるためのひとつの要素であるが、それが全てではない、という表現が正しいのかもしれない。


 では、どのような優秀な営業メンバーが、名監督になっているのか、また逆にどのような優秀な営業メンバーが名監督にならないのかを考えてみた。

 簡単に言えばマネジメント能力の問題なのだが、実際のところ、上記に述べたように一定の営業能力を持たなければ、どんなにマネジメント能力が高くても、まず組織の数字が上がらないだろう。このあたりを勘違いすると、組織は崩れていってしまう。あくまで、営業成績はマネジメントには必要だ。モウリーニョのような選手経験のない一流の監督は、不動産業界ではありえない。(中間管理職では)


以上のことを前提にしたうえで、この分かれ目はなんなのかを考えたとき、ひとつ気づいたことがある。

 それは、「承認力」だ。優秀なマネージャーは、ほかのメンバーを承認する力が高い。優秀ではないマネージャーは、承認力が弱いためチームを纏めることができない。

 優秀な成績を残している管理職は、どうしても基準が自分になってしまう。そうするとメンバーの気持ちを汲み取ることができなかったり、メンバーに対し強い要求してしまう。

 メンバーの現在の成長の進捗をきちんと、個々に合わせ承認できるかが鍵のような気がする。

 仮に新卒で年齢が一緒でも、全員の能力はバラバラである。結果に対して評価するのは良いとしても、成長過程のトラッキングは別のものであると考えなければいけない。

 しかしながら、どうしても現場で結果を出し続けていると、このあたりの歩調を合わせたり、メンバーの成長に対し長い目で見守ることができないことが多い。


 もし、仮に優秀な営業メンバーを管理職にする際に、まず承認力を上げるような取組をしても面白いかもしれない。たとえば、いきなり複数人のメンバーを従えさせるよりも、まず師弟制度で、ひとりのメンバーを承認させ、成長させることに主眼を置いても良いのかもしれない。


 いずれにしても、企業は管理職と営業職の職位の見極めを進めていかなければいけない。

 本当に管理職に必要なものは何なのか、そしてどのように成長を促すための施策を考えるべきなのかを検討する機会は必要なのかもしれない。


 


不動産会社の店長の資質