旅

　　　　　なにかを捨てにいく

　　　　　なにかを拾いにいく

　　　　　忘れていたものが

先回りをして　目の前に立ち現れる

　　　　　大切にしていたものが

　いつのまにか　泡となって消える

内が外に　外が内に　混じり合い逆転する

　私以前の歴史と　私を含まない一瞬に

　　　　　拉致されながら

　　　　　風に願いを託し

　　　　　地に許しを乞う

　　　　　　　しかし

確かなものと不確かなものの狭間に浮いた脳髄が

　ぐわんぐわんと揺さぶられ　狂いそうになる

　　　こんなにも　私が定まらないのは

　　　　私だけがとどまろうとするから

                                                             Minoru Takahashi