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リーダーの教養書

2018.11.24 04:24

 本書は、要するに「教養書のガイドブック」ですが、 この本には、前回紹介した「日本 3.0」の著者、佐々木 紀彦氏が関わっています。私が今回取り上げた理由は、この本の序文「日米エリートの差は教養の差だ」で、著者が自分の体験談を交えて語っている教養習得がこれからの我々にとても参考になると思えたからです。

 以下、佐々木氏の言葉を引用します。「(私は)大学(慶応義塾大学)生時代には 1,000冊の本を読み、社会人になってからも読書家を気取っていた。世界のどこへ行ってもある程度はたたかえるだろうとは思っていた。しかし、それはとんだ勘違いだった。。。」とスタンフォード大学大学院へ留学した時の経験を語っています。

 「スタンフォードの一部のエリートたちの教養レベルは想像をはるかに超えていた。人文科学から、社会科学、自然科学まで、古今東西の知を縦横無尽に操る「知の怪物」が、教授陣にも、学生人にもゴロゴロいたのだ。。。そんな挫折感の中で、日本のビジネス、政治、教育 をより豊かに面白くするためには、「教養」がカギを握ると確信するようになった。」

   そして、「教養」を以下のように定義しています。「歴史の風雪や、科学の洗礼をくぐり抜けた時代や国を超えた知、つまり、普遍的な知恵」で「(それを)有すればクオリティの高いアイデアが次々と生まれやすくなる。」

(要するに、最近、世間でいうところの「地頭の良さ」ということでしょうか。。)

 「日本 3.0」のところでも ビル・ゲイツ氏、マーク・ザッカーバーグ氏、ジェフ・ベゾス氏等をメンションしましたが、「アメリカのトップ企業家は、歴史、科学、文学に精通した教養人であり、ネット検索で彼らが薦める書籍がみつかるが、そのどれも読みごたえがある。我々はビジネスの前に、教養レベルにおいて、すでにアメリカの企業家たちに負けているのだ。。。「教養」とは、短期的に、何か目に見える恩恵をもたらしてくれるものではない。ただし、中期的、長期的には、確実にあなたの人生を豊かにし、成功確率を上げてくれる。また、教養を持てば、異分野をつなげて話すことができ人の交流でも幅が広がる。教養人は話が面白いので人が周りに集まりやすくなる。そして、教養は人生のエンタメにも成り得る。」と論じています。

 みなさんの中には、「教養習得」はビジネスの成果につながる即効性がない、と考える方があるかもしれません。実は私も書店やネットで「教養書」と「ビジネス書」を比べると、どちらかというと仕事に直結性がある(と感じられる)ビジネス書を購入してしまうことが多々あります。

  でも長い目で見れば、我々の関わるビジネスにおいても「教養習得」がライバルと確実に差をつけられるキーかもしれません。

(そして、我々の人生もこれから長くなっていきます。)

  人生100年時代の到来。。。ひと昔前だと40代、50代の世代に「教養習得」というと「時間がかかりすぎる。。」とか、「もう引退だから。。」という声があがってきたことでしょう。

  でも、幸運(残念?)なことに、これからは、人生100年時代。まだまだ時間はあります。 むしろ、これからの「AI時代」を生き抜くために「教養習得」は有意義、というか必須 になるかも知れません。(言い方を変えれば、長期的に高リターンの「自己投資」っていうことでしょうか。)

  ちなみに本書における教養書の選者11人には「ライフネット生命保険」のトップで読書家の出口治明氏等、企業や研究所の知識人が名を連ねています。

 私はまだ、この中からいくつかしか読んでませんが、特にお勧めなのが、「文明崩壊」(ジャレド・ダイアモンド)、「暴力の人類史」(スティーブン・ピンカー)です。