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一号館一○一教室

だって、先生に怒られるから。

2018.12.01 12:48

私は、聴覚障害のある子どもたちが通う学校で、教員をしている。

耳に補聴器をかけて、手話と音声を交えて、普通の子どもたちと同じように、勉強をしている。



先日、クラスの子どもが『家に補聴器を忘れました!』と、報告をしてきた。

補聴器は、聞こえない子どもたちにとって、少しでも音が聞こえるように、音を補うものだ。

そんな大切なものだが、うっかり忘れることもあるだろうと、『明日は必ず補聴器してね』と本人には伝えた。


しかし…その夜、お母さんから電話が。

実は『息子が学校で、補聴器をなくしたっていうんです!』と。

学校を大捜索してみたが、一向に見つからず。


補聴器は、両耳で何十万もする高い機械だ。

なくしたら、また何十万円もかけて、新しいものを買わなくてはいけない。

かるく1ヶ月の給料は吹っ飛ぶはず。


次の日の朝、本人を呼び出した。

『学校でなくしたって聞いたけど、昨日は家に忘れたって、話してたよね?どうゆうことか、話してくれる?』と、聞いてみた。

すると、『昨日は嘘をついた。本当は朝、学校に来た時、玄関でないことに気づいていた。でもなくしたって言うと、先生に怒られるから。』と、大号泣。

『そのせいで、昨日学校でも、家でも大捜索したんだよ。朝、正直に話してくれたら、すぐに見つかったかもしれないんだよ?今、ごまかしたことで、余計に怒られてるんだよ?』と、伝えてた。

すると、もっと泣き始めた。



今でも、その大切な補聴器は見つかっていない。



子どもたちは、自分の都合の悪いことは、ごまかすしウソもつく。

では、大人は?

大人だって、自分の都合の悪いことはごまかすし、知らないふりをするじゃないか。

正直な気持ちで素直に過ごしてくれたら、いいのに。

でも、そんな単純じゃないのが、人間である。