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テレワークの今:先進企業1200人のクチコミレポート (vol.39)

2017.07.20 05:00

7割以上はポジティブ評価。働き方改革で注目されるテレワークの利点と課題


要旨:


「働き方改革」が叫ばれ、「一億総活躍」実現のために政府は様々な取り組みを始めています。その内の一つとして、総務省を中心に「テレワーク推進フォーラム」が設立されました。テレワークとは、情報通信技術を活用して、時間や場所にとらわれずに働ける柔軟な働き方のこと。少子高齢化による労働人口減少が避けられない今、テレワークの普及による業務効率とワークライフバランスの向上、ライフイベントによる離職抑制などが期待されています。


今回の調査レポートでは、Vorkers(現:OpenWork)だからこそわかる、テレワーク導入企業の社員クチコミを抽出しました。現場の声から見える、テレワークの利点と運用の課題とは?


テレワークの社員クチコミは4割以上がIT系企業

今回の調査レポートでは、Vorkers(現:OpenWork)の「ワーク・ライフ・バランス」項目へのレポート回答からテレワーク(モバイルワーク、リモートワーク、在宅勤務含む)に関連する社員クチコミ1,212件を抽出し分析を行いました。業種別に割合を見るとIT・通信・インターネット企業が43.5%となりました。テレワークを行うにあたっては情報通信技術が必要不可欠であり、それを提供する企業が自ら率先して取り入れていることがうかがえます。


テレワークについての声は7割以上がポジティブ評価


テレワークに関する社員クチコミでは、7割以上に制度や活用に対してポジティブな内容が見られました。一方で運用についての課題を挙げる声もあり、テレワーク活用にあたってどのような利点と課題があるのか、導入企業の例と併せて以下にまとめました。


導入企業例に見る、テレワーク活用法

※評価点・クチコミ件数などは集計時点の数値となるため、「Vorkers(現:OpenWork)」各企業ページで掲載している数値と異なる場合があります。


IT系企業を中心に、様々な企業からテレワークに関するクチコミが集まっています。テレワークを導入している先進企業ではどのように活用しているのか、クチコミから一部を紹介します。


「在宅勤務制度が幅広い部門で導入され、無駄な通勤時間を省き、その分プライベートな時間に充てることができます。 この制度は、ほとんどの社員が使うことが出来るので良いと思います。(開発、日産自動車)」


「週に2度の在宅勤務制度もあり、子育て世代など、大変有意義に時間を利用していると思います。ITの環境的に、リスクなく、事務所以外から仕事ができるのは、大変良いです。(管理統括マネージャー、日本ヒューレット・パッカード)」


「家族の体調不良の際などには、自宅からミーティングに参加することもできるので、フレキシブルな働き方ができます。(SE、シスコシステムズ)」


「在宅勤務があり、制限日数は無い。海外との電話会議も自宅で自由に行う事が可能。自分の生活に合わせて勤務時間を構成することが可能。(研究開発、武田薬品工業)」


社員クチコミから見える、テレワークの利点と課題

利点1:時間を有効活用して生産性向上

テレワークの最大のメリットとして、時間の有効活用が挙げられます。海外との会議を夜に自宅から対応する、ラッシュアワーや長時間の通勤を避け、時間を有効活用し生産性を高めるといった、制度の有効活用の声が見られました。


「基本的に社員はみなPCを持ち帰っているため、就業時間後すぐに仕事を切り上げ、夜に残った仕事を在宅で行うことも可能。海外の拠点とのミーティングなどもあるため夜中にテレカンを行わなければならない場合もあるが働く時間は自分の裁量で調節がある程度できる環境なので、プライベートとのバランスは取りやすい。(管理系 / 半導体、電子、精密機器)」


「在宅勤務が許可されてからは、通勤の負担が減ったため、プライベートの時間を充実させる事ができている。(サポート / SIer、ソフト開発、システム運用)」


「働き方改革を進めているのもあり、独身男性社員でもフレックス勤務、テレワーク勤務、時間休を積極的に利用している。利用するのに特に理由は要らない。通勤時間で疲れて生産性が落ちるためテレワーク勤務します、という方もいる。(内部監査 / 食品、飲料)」


「部署や業務内容で適用に制限はあるものの、週に数回は在宅勤務できる制度がある。通勤時間が短縮されるだけでもずいぶん時間が有効活用できる。(バックオフィス / コンピュータ、通信機器、OA機器関連)」


利点2:場所に縛られずストレス無く働ける

自分でフレキシブルに就業スタイルを選べることから、ずっとオフィスに縛られることなく、予定に合わせて柔軟な対応が可能になります。また、企業によっては週や月でテレワークを利用できる回数を決め、社員それぞれが利用しやすいよう工夫をしているようです。


「在宅から会社にアクセスできる環境があるため、無理やり会社に残っての長時間残業や休日出勤をしなくて済む。(シニアエキスパート / 総合電機、家電、AV機器)」


「リモート環境での仕事環境を推進しているため、お客様への訪問後に会社に戻ってくることを義務付けるといったことは無く、お客様や自宅近くの喫茶店等でメール等の作業を行えばよい。(営業 / SIer、ソフト開発、システム運用)」


「月4回の在宅勤務の権利を社員に与えるなど、多様な働き方を取り入れており、ワーク・ライフ・バランスにおいて調整しやすい会社だと思います。(研究開発 / 医薬品、医療機器)」


利点3:子育て中、家族の介護中でも働き続けられる

自宅から業務ができるようになることで、家族の看病など急な対応が必要な際にも休暇を取ることなく就業でき、子育て中や家族の介護中であっても働き続けやすい環境を作ることができます。


「自宅でのテレワーク制度も導入されており、職種に限らず事前申請で利用することが出来るため重宝している。子供の発熱時などに在宅で作業させてもらえるのはありがたい。(エリア総合職 / 生命保険、損害保険)」


「家族をサポートする制度が充実しており、例えば、家族に要介護者がいた場合でも、在宅勤務や、有給休暇取得制度があり、そのような状況でも仕事を辞めずに両立することが可能な環境である。周囲への制度利用推奨も促され、雰囲気としても制度を利用しやすい。とても働きやすい環境だと思う。(研究開発 / 自動車、自動車部品、輸送機器)」


「トライアルではありますが在宅勤務が拡充され、オフィスで在席していなくても仕事を進められる環境が整っていることもあり、ワーク・ライフ・バランスは比較的良いと感じます。幼い子供を抱えているのですが、週に何日かは早めに帰宅して、一緒にお風呂に入れています。(本社 / 医薬品、医療機器)」


課題1:利用しやすいインフラ、風土が必要

テレワークを導入・運用する上での課題の一つとして「利用のしやすさ」を挙げる声が見られました。これは、会社からアクセスするのと同じ環境を整えたPCや電話会議システムといった、インフラ整備を指す「ハード面」と、テレワーク利用に対する上司や周囲の理解、組織風土を指す「ソフト面」の両方が挙げられます。


「在宅勤務制度はあるが、携帯の貸与もなければビデオ会議システムもないので非常にやりづらい。(管理部門 / インターネット)」


「在宅勤務制度もある。ただ、インフラが十分ではなく、改善すれば、もっと使いやすくなるはずと思う。(総合職 / 独立行政、社団、財団、学校法人)」


「育児休暇や在宅勤務など働き方の改革を進めてはいるが、実際に制度が使える雰囲気になっていないため、現状はあまり普及していないと感じる。(技術職 / 半導体、電子、精密機器)」


「在宅勤務制度が整っているが、部署ごとに使用可否を申請する制度となっており、旧態依然とした部署では在宅勤務は使用できない風潮となっている。マネージャ職は在宅勤務使用しづらい空気がある。(情報企画 / 食品、飲料)」


「在宅ワークの環境は整っていると感じるがルールがあまりにも厳格化されている為、計画的には取りやすいが、突発的な用事が発生する場合は柔軟性がないと感じる。もう少し、柔軟なルール作りが必要と感じる。(デバイス / 総合電機、家電、AV機器)」


課題2:オン/オフの切り替えがあいまいになり休めない

いつでもどこでも働けるということは、つまり24時間仕事ができてしまうということでもあり、人によっては「ずっと仕事に追われて休めない」と感じるようです。こういった声はクチコミにも多く見られ、社員一人ひとりの自己管理やメリハリのつけ方が重要になってきます。


「夜中も普通にメールが飛び交う環境。夕食後、就寝前に仕事をしている人が多い印象。(マーケティング / 半導体、電子、精密機器)」


「リモートでも働ける環境が整理されているため、休暇取得中でもレスポンスを求められることが多い。(アカウントマネージャー / コンピュータ、通信機器、OA機器関連)」


「社内ではリモートワークを導入しているが、結局家で仕事をして疲弊している人も少なくない。(営業 / その他マスコミ関連)」


「在宅勤務も可能であり、仕事とプライベートを切り替えられる人は、最適では。 切り替えられない人は、24h仕事することになる。(セールスコンサルタント / SIer、ソフト開発、システム運用)」


「在宅勤務を奨励していることもあり、オンとオフの区別は極めてつけづらい環境であった。家にいても常にPCを立ち上げており、15分に1回はメールを確認しないと不安になる。(シニアコンサルタント / SIer、ソフト開発、システム運用)」


課題3:勤務時間や成果など、管理が難しい

先述の24時間仕事ができてしまうことに関連して、テレワークによるオーバーワークもクチコミでは指摘されています。家に仕事を持ち帰れることにより業務時間が長くなってしまう、社員の業務状況の把握ができないなど、勤務時間や成果の管理が難しくなっている面もあり、クチコミからは管理方法の一例も見ることができます。テレワークの導入にあたっては、社員の自己管理だけでなく、それをサポートし評価する仕組みづくりが必要不可欠といえるでしょう。


「テレワーク、フレックス、リモート会議は浸透しているのでワークライフバランスは改善の方向にある。 役員レベルで推進しているのでかなり浸透している。 しかし、成果主義により自宅での仕事量(サービス残業)も増しているのは1つの課題。(技術 / SIer、ソフト開発、システム運用)」


「リモートワーク推進が進み、限られた勤務時間で成果を最大化することが求められ、評価される。現在ではパソコンのログイン時間をモニタリングされているため申告した業務時間外に働くことが出来ない。(営業 / その他マスコミ関連)」


「月に2回までで、子どもの学校行事に参加をする理由で、在宅勤務を選択することができます。 在宅勤務を開始するときに、グループメンバーにメール通知をし、終了時にもメールします。その時に成果物やどんな仕事をしたのかレポートの提出が義務付けられています。 在宅勤務は夜10時から朝の5時までは利用できません。(マーケティング / 日用品、化粧品)」


「フリーアドレスやフレックスワーク、在宅勤務等、ある程度自由に仕事ができる環境であることは間違いありませんが、自由すぎて誰が何処で何をしているかを上司すらも把握できていないと思います。(ソリューションエンジニア / SIer、ソフト開発、システム運用)」


「週一回の在宅勤務の推奨や出張も多いので、誰がどこで何をやっているかはよくわからないし、誰も気にしない。ただ、そのぶん結果が要求され、コミュニケーションを周りや上司と上手くしなければいけない。(研究開発 / 日用品、化粧品)」


データの集計について

データの収集方法

「Vorkers(現:OpenWork)」の会社評価レポートへの回答を通じてデータを収集しています。

会社評価レポートの回答条件は下記のとおりです。

以下の2つのデータについても収集しています。

対象データ

Vorkers(現:OpenWork)「ワーク・ライフ・バランス」項目へのレポート回答より、テレワークに関連するクチコミ(1,212件)を対象データとしています。(集計期間:2014年1月~2017年6月)

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