稽古日誌 11月24日(土)
我輩は犬である。
名前はまだない。
どこで生まれたのかとんと見当はつかぬが、
首のところに穴が空いている。
今日は訳あって、TEAM909という劇団の
稽古場に来ている。
我輩はエンゲキというものがわからぬ。
何故ならば、犬であるからである。仕方が無かろう。
しかし、我輩も犬の子。
愛でてもらえるのは悪い気はせぬ。
受け入れられぬこともある。
我輩を愛でぬ者には、等しくビーフジャーキーを食らわす所存である。
さて、我輩が見た限り、この劇団は
稽古にだけは熱心に取り組んでいる様子である。本日のこの練習は『樽と枝』と名付けられた練習メニューのようであった。
『樽!』と号令がかかると、樽を飛び越えるジェスチャーをし、『枝!』と号令がかかれば枝を拾うジェスチャーをする。たまに違った号令もかかるので、かなりの体力が必要と思われる。
我輩は犬であるが、そのくらいはわかる。
馬鹿にするでない。
そういえば、椅子取りゲームもやっておったわ。元気で大変宜しい。
この日は新宿演劇祭という祭の稽古もしておったようであった。我輩には何をしているのかはようわからんが、どのように動くかを非常に綿密に打ち合わせておったわ。
人間の考えることはわからん。二足歩行と四足歩行が相入れる日は来るのであろうか。
と思ったら、我輩を振り回す者まで出てきた。ペディグリーチャムを食らわす所存である。
と、まあ紹介はしたが、彼らは非常に熱心に
エンゲキというものに取り組んでいるようであるので、そこは我輩も応援したいと考えておる。読者各位におかれても、彼らの勇姿を観に来て頂ければ幸甚である。
それでは、我輩はこの後某大手通信キャリアでマスコットキャラクターを務める白色犬の先輩と会食の予定が入っているので、この辺で失礼仕りたい。白い犬としての社会的意義や今後の展望について、深遠な意見交換をしてくる所存である。
(※今回の日誌はキムこと金井が担当しました。決してストレスがたまっているわけではなく、ほんの出来心です)