働く女性のREALシリーズ第4弾 女性が「尊重される」社会(vol.29)
女性社員のクチコミ約3万6千件から女性の「チームワーク」を分析
要旨:
- 1位は同率でザ・リッツ・カールトンとリクルートゼクシィなび
- サービス、ブライダル、人材業界など「消費者に直接サービスを提供する」企業が多数ランクイン
- トップ10にブライダル業界が3社ランクイン(リクルートゼクシィなび、高見、テイクアンドギヴ・ニーズ)
先日の都知事選では小池百合子氏が当選し、初の女性都知事が誕生。世界的にも台湾では女性総統、イギリスでは女性首相が就任するなど、今年に入り女性リーダーの誕生が続いています。日本でも政府が2020年までに「社会のあらゆる分野において女性管理職の割合が30%程度になるよう期待する」という目標を掲げています。女性の管理職割合を高めるためにも、まずは、多くの女性が「長く」「いきいきと」働き続けられる組織風土作りが必要になるのではないでしょうか。
今回の調査レポートでは、Vorkers(現:OpenWork)に寄せられた女性社員からのクチコミに限定し、「社員の相互尊重」評価でランキングを作成。働き続けるために必要な「社員同士がお互いを尊重しあう」風土において、女性から高い評価を受けている企業にはどのような特徴があるのかを見ていきます。
女性が尊重される会社ランキング
※ランキングの評価点・クチコミ件数などは集計時点の数値となるため、「Vorkers(現:OpenWork)」各企業ページで掲載している数値と異なる場合があります。
サービス、ブライダル、人材業界が女性社員から高評価を多数獲得
女性社員が評価した「社員の相互尊重」を集計した今回のランキング。ランクイン企業を見ると、1位のザ・リッツ・カールトン、7位のオリエンタルランドといった、レジャー/サービス業界をはじめとし、飲食ではスターバックス(4位)、ファッション・小売ではAOKI(5位)、ギャップ(21位)、H&M(24位)、ルネ(28位)、教育ではGABA(14位)、航空関連ではキャセイパシフィック(10位)、ANA成田エアポートサービス(11位)、JALスカイ(28位)と、「消費者に直接サービスを提供する」企業が多数ランクインしました。また、ブライダル業界からは1位のリクルートゼクシィなび、3位の高見、8位のテイクアンドギヴ・ニーズと、トップ10に3社ランクインし、女性が多く活躍できる環境であることがうかがえます。その他、人材業界やリクルート系企業も多くランクインする結果となりました。
社員尊重と企業理念の浸透が、高いサービス提供につながる
高いサービスの提供には、従業員同士の相互尊重、チームワークが重要となります。1位となったザ・リッツ・カールトンは世界屈指の高級ホテルチェーンであり、数多くの受賞歴がサービスの高さを物語ります。社員クチコミを見ると、企業が社員全員を平等に尊重する風土がうかがえ、企業理念を浸透させるための社員教育に力を入れていることがわかります。
「外資系の企業らしく、人事面などは非常にサバサバしている印象はありますが、社員を守ってくれる時はお客様を犠牲にしても守ってくれる。社員育成にも力を入れており成長できる環境。(宿泊部、女性、ザ・リッツ・カールトン・ホテルカンパニー)」
「人材を何よりも大切にしている。また独自の信念がしっかりしていて、企業理念を従業員へと浸透させる事をまず最も大切にしている。従業員の幸せがあってお客様の幸せを創り出す事ができるという考えのため、会社側から従業員へ対するコミュニケーションは積極的に行われていた。(宿泊部、女性、ザ・リッツ・カールトン・ホテルカンパニー)」
「サービスをするうえでの哲学があり、それに沿って自らの責任、判断で行動できる。(料飲部、女性、ザ・リッツ・カールトン・ホテルカンパニー)」
「女性が活躍できる企業である。実際昇進には男女、年齢の関係がなかった。管理職における女性の割合も比較的高い。(宿泊部、女性、ザ・リッツ・カールトン・ホテルカンパニー)」
「女性社会」だからこそ生まれる相互尊重
同スコアで1位となったリクルートゼクシィなび、3位の高見、8位のテイクアンドギヴ・ニーズと、女性の感性が活きるブライダル業界の企業も3社、上位にランクインしました。女性が多い組織では特有のストレスがあるのが通説ではありますが、社員クチコミを見ると、女性が多くを占める職場において各々が尊重され活躍できる秘訣は、「女性だからこそ」の理解であるようです。
「9割女性なので、女性が働きやすいように、特に力を入れているように感じる。(接客、女性、リクルートゼクシィなび)」
「女性が8割以上を占める会社なので、働きやすいと思う。退職しても再入社できるシステムや、子育て中の方に優しい勤務形態もある。(スタイリスト、女性、高見)」
「女性が多い職場ですが、社風としてチームワークを大切に、お互いを尊重しあうので、一般的な女性社会の嫌な雰囲気はありませんでした。女性でも管理職の方は多々いらっしゃいますし、ハンデもなく、上を目指す事も可能だと思います。(ウェディングプランナー、女性、テイクアンドギヴ・ニーズ)」
人材業界に見る、ロールモデルの重要性
トップ30内には、人材業界からも多くの企業がランクインしました。社員クチコミを見ると、キーワードとして「女性管理職」の存在や、出産後復帰し活躍する女性社員の存在が多く挙げられており、女性社員にとって、自分が目指すべきロールモデルの存在が、女性が尊重され長く働く環境づくりには必要不可欠であることがうかがえます。
「会社の役員に1名女性がおり、その者が中心となって女性活用のプロジェクトを進めています。女性管理職候補者を増やすために立ち上げられた『マネジメントコース』なるものがあったり、女性の活躍に関して大変著名な方を社内にお招きして講演会を行ったりなど、『女性社員の活用』は社内でも非常に注力されています。現状では女性の管理職はまだまだ少ないですが、このような取り組みの甲斐あってか、産休・育休取得後の女性社員の復帰率はとても高いと感じます。産休・育休取得後の営業職の女性社員も皆バリバリと仕事をされていて、とてもかっこいいです。今後は、女性社員のケアやサポート体制をさらに手厚くしていければ、女性管理職もどんどん増えていく環境になるのではないかと思います。(営業、女性、エン・ジャパン)」
「管理職に女性も多いし、子供を産んで復帰しても、ママキャリといって、育児と両立させながら働ける環境が用意されている。実際、両立させて生き生き働いている女性も多くいる。社内で女性が6割ほどで男性よりも多いので、女性主導で仕事を進めることもある。さばさばした女性が多く、陰口を言うような人はいないし、大人な女性が多いので非常に働きやすい。仕事ができる女性が多く、きれいな人も多いので、目指したい女性像の先輩も多い。(営業部、女性、パソナ)」
「女性MGRは部門問わず多い。女性が意見しやすい、現場をリードしやすい風土がある。評価において男女の差がなく、がんばった分は還元されると感じる。シゴトでも女性に責任ある仕事をためらいなく任せてくれる印象。成績上位者も女性が多いため、目標ができてモチベーションを保ちやすい。スタッフだけでなく営業、制作にもママ社員がいる。おなかが大きい社員が常に社内にいるので、産育休などの不安はない。女性役員は今はいないが、部長クラスは何名かいる。(スタッフ、女性、キャリアデザインセンター)」
データの集計について
データの収集方法
「Vorkers(現:OpenWork)」の会社評価レポートへの回答を通じてデータを収集しています。
会社評価レポートの回答条件は下記のとおりです。
- 社員として1年以上在籍した企業の情報であること
- 500文字以上の自由記述項目と、8つの選択項目に回答いただくこと
以下の2つのデータについても収集しています。
- 月間残業時間(実数)
- 有休取得率(実数)
対象データ
Vorkers(現:OpenWork)に投稿された女性社員からの会社評価レポート36,096件のうち、回答者数が10人以上ある企業845社を対象データとしています。(集計期間:2007年7月~2016年7月)