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約6万8000件の社員クチコミから分析した‘残業時間’に関するレポート(vol.4)

2014.07.23 05:00

要旨:


今回の調査レポートでは、「Vorkers(現:OpenWork)」に投稿された約6万8000件の社員による在籍企業の評価レポートから、「残業時間」を対象にデータを集計、世代や業界、職種といった軸で分析しました。公開したデータは下記のとおりです。

※今回の調査レポートの残業時間には、振替休日・代休のない休日出勤の勤務時間も含まれています。


月間の平均残業時間は、40歳前から減少

年齢別残業時間は20代~30代にかけてほぼ平坦ですが、40歳前から減少を始めます。体力面の問題や管理職となり現場から離れることで、残業の必要性が低下することなどが考えられます。


1日あたりの残業時間1〜2時間の人が全体の41.2%

分析対象の約6万8千人のうち、月の平均残業時間「30時間」が14.5%と最も多く、次いで残業時間「40時間」14.5%、「20時間」13%と、月の平均残業時間20時間〜40時間が全体の41.2%とボリュームゾーンとなっています。毎月の勤務日数の平均が20日程度であると想定すると、1日あたり約1時間〜2時間程度の残業をしている人が多いことが分かります。なお、全体の平均残業時間は、約47時間となります。


最も残業時間が長いのは、年収1500万円~2000万円のビジネスパーソン

年収別の月平均残業時間をみると、年収「1500万円~2000万円」のビジネスパーソンが最も長く働いており、60時間を超えています。もちろん、これほど高い年収を稼ぐビジネスパーソンは全体からみると少数派です。一方、多数派の年収「300万円~500万円」のビジネスパーソンの残業時間は月45時間強。年収「1500万円~2000万円」のビジネスパーソンとは15時間の差があります。


※このグラフは、2013年6月以降の取得データ(18,460件)が対象となっています。


最も残業時間が長いのは、「35歳〜39歳の年収2000万円〜3000万円のビジネスパーソン」で、月の平均残業時間は75時間以上

年収別の残業時間を更に年齢層に区切って集計しました。どの年代においてもおおむね、年収が高いビジネスパーソンほど残業時間が長くなっていますが、とりわけ月70時間を超える残業となっているのが35〜39歳で年収1000万円超の人たち。まさに働き盛り、現場で会社を引っ張るキープレーヤーとしてバリバリ働いている姿がイメージされます。


※このグラフは、2013年6月以降の取得データ(18,460件)が対象となっています。


「コンサルティング、シンクタンク」が残業時間トップ

トップは「コンサルティング、シンクタンク」で残業時間は80時間超。2位は「広告代理店、PR、SP、デザイン」(78.6時間)、3位「建築、土木、設計、設備工事」(70.8時間)、4位「放送、出版、新聞、映像、音響」(66.1時間)と続いています。こうした業界は、なんらかの成果物を生み出す仕事であり、多くの場合「締切」があります。終業時間になれば打ち切れるというものではありません。締切までの有限の時間の中で、一定以上の品質を達成するために残業時間が長くなってしまうのではないかと推測されます。


残業時間の短い業界では、「自動車、自動車部品、輸送機械」、「日用品、化粧品」、「化学、石油、ガラス、セラミック」、「電力、ガス、エネルギー」など、いわゆる「第二次産業」に属している業界が挙がっています。これらの業界の企業は社歴も長く、人事制度が確立されていると同時に、労働組合を持つ企業が多いことから、残業時間に対しても組織的な歯止めがかかっているからだと考えられます。


残業時間が長い職種は、業界ランキングと連動した結果に

残業時間が長い職種のトップに来たのは、業界ランキングと連動しています。上位に並ぶ職種を俯瞰すると「コンサルタント関係」といった高度な知識を要する職種が目につきます。


※このランキングは、2013年6月以降の取得データ(18,460件)が対象となっています。


総括

現在、厚生労働省は、年収1000万円以上の専門職に限って、働く時間を自己裁量とする代わりに残業代の支払いなどの労働時間規制を適用しない「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入を検討中です。導入の狙いは、企業にとっては柔軟な人材活用によりグローバル競争力を高めること、個人にとっては、働く時間、働き方を個人のライフスタイルに応じて選択できるようにしワーク・ライフ・バランスを高めることです。


今回の分析結果からは、年収が高いほど残業時間も長くなる傾向がみられます。さらに、業界や職種のランキングから、成果ベースで働く形態のコンサルティングなどの専門職が長時間労働であることが分かりました。このように、すでに労働時間が長い年収層や職種に対して、「ホワイトカラー・エグゼンプション」を導入することによって、労働時間が短くなることは考えにくいかもしれませんが、企業にとっては労働時間規制に縛られない人材活用、個人にとっては労働時間の自己裁量という点で、「柔軟性」を作り出せるかもしれません。


データの集計について

データの収集方法

「Vorkers(現:OpenWork)」の会社評価レポートへの回答を通じてデータを収集しています。

会社評価レポートの回答条件は下記のとおりです。

対象データ

2007年7月~2014年5月に、社員・元社員から投稿されたレポート回答(全68853件)を対象データとしています。ただし、「年収別の平均残業時間(月間)」「年収・年齢別の平均残業時間(月間)」「職種別残業時間(月間)ランキングTOP30」は、2013年6月からのレポート回答(18460件)が対象となっています。

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