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働く女性のREALシリーズ第1弾 女性の「働きやすさ」(vol.9)

2014.11.27 05:00

女性社員のクチコミ約2万件から女性が働きやすい職場を分析

要旨:


今回より、「働く女性のREAL」プロジェクトをスタートしました。本プロジェクトは、クチコミ情報だからこそ示すことが出来る、よりリアルな「女性の働く今」をクローズアップすることを目的としています。客観的なデータだけでは見えてこない、「現場の実情」をクチコミにより映し出すことによって、男女共同参画社会の実現に向けた取組みの一助となることを願っています。


シリーズ第1弾の今回は、「女性が働きやすい会社・業界ランキング」を発表しました。今回の調査レポートでは、「Vorkers(現:OpenWork)」に投稿された女性(20歳から59歳まで)の2万1170件の評価レポートから、女性の働きやすさの指標として5項目(風通しの良さ、法令順守意識、社員の相互尊重、残業時間、有休取得率)のデータを分析しました。女性の「働きやすさ」に着目したレポートとなりますので、今回は、「キャリア成長」という視点からの評価を含めておりません。女性の「キャリア成長」については、次回のレポートで発表します。


今後、「働く女性のREAL」プロジェクトでは、定期的に調査レポートを公開していきます。


集計方法について

今回の分析に当たって、Vorkers(現:OpenWork)では「働きやすさ」を以下のように定義しました。


「働きやすさ」:業務を円滑に進めることのできる職場環境の良さ、ワークライフバランスを維持できる労働実態


そして、「働きやすさ」を以下の計算式で定量的に算出しています。


「働きやすさ」=(風通しの良さ+法令順守意識+社員の相互尊重+残業時間+有休取得率)÷ 5


各項目は5段階評価のデータです。ただし、「働きやすさ」の数式に含まれる「残業時間」と「有休取得率」については実数のデータであるため、「残業時間が短いほど働きやすい」、「有休取得率が高いほど働きやすい」という前提の下、5段階評価に置き換えています。(データ取得方法や対象データにつきましては最下部をご確認ください。)


女性が働きやすい会社ランキング

ランキング上位の企業の「Vorkers(現:OpenWork)」に掲載されている「女性の働きやすさ」に関するクチコミをみると、女性社員が多い職場で、有休・産休・育休などの制度が整えられており、かつ運用がしっかりされている会社がランクインしているようです。


評価点 …(風通しの良さ+法令順守意識+社員の相互尊重+残業時間+有休取得率)÷ 5 (※残業時間と有休取得率は5段階評価に換算)

※ランキングの評価点・クチコミ件数などは投稿によって変動するため、「Vorkers(現:OpenWork)」各企業ページで掲載している数値と異なる場合があります。


「女性が働きやすい会社」ランキング第1位となったのは、「長島・大野・常松法律事務所」。弁護士数320名を超える国内最大手の弁護士事務所です。「Vorkers(現:OpenWork)」のクチコミでは、「有休、育休、産休どれも取りやすく、女性が働きやすい職場です。女性が多いので、妊婦さんや子育て中の方への理解もある職場だと感じます」「女性が多い職場なので、女性のサポート体制は整っているし、それを利用するのが当然という風土もある」といったコメントがあります。大人数の弁護士を支えるスタッフや秘書など、社員の大半が女性であることから、働きやすい環境を制度面からも整えられているようです。


2位は「早稲田大学」です。産休、育休制度が整っており、出産後も仕事を続ける女性の割合が高いようです。「女性にとっては産休・育児休暇等・各種制度が整っているので働きやすい環境だったと感じます。結婚・出産など人生の節目が過ぎた方も多く在籍していました」といったクチコミが寄せられています。


同じく2位の「ドリームスカイ名古屋」は、中部国際空港セントレアにおいてJALグループ便や外国航空会社の地上業務(カウンターでのチェックインやラウンジサービス等)を受託している企業です。女性が9割を占める職場であり、夜間勤務はあるものの、女性にとって働きやすいという高い評価を得ています。「産休、育休の実績もあり、またルーチンワークなので、一度職場を離れても復職しやすいと思います。女性は多いものの、風通しもよく、さっぱりした人間関係だと思います」「女性がメインの会社、女性でも管理職にはなれる。」といったクチコミが寄せられています。


女性が働きやすい業界ランキング

第1位は「治験、臨床試験、医薬営業受託」

「治験、臨床試験、医薬営業受託」は、いずれも製薬会社や医療機関の業務を様々な形でサポートする業界です。治験、臨床試験は医薬品の開発の一端を担うため、女性の有資格者も多い「薬剤師」の知識を活用できます。「Vorkers(現:OpenWork)」のクチコミを見ると、品質管理やデータの分析など自宅勤務で行える作業も多く、多様な勤務形態が用意されているため、まだ小さな子供をもつ女性にも働きやすい業界であることが感じられます。また医薬営業受託は、製薬業界の営業職であるMR(医薬情報担当者)の業務代行をメインとしていますが、近年、営業先の医師への接待が実質的に不可能となり、情報提供など本来の営業活動が重視されるようになる中、女性もより働きやすい仕事になりつつあります。


ランキング2位の「クレジット、信販、リース」や3位の「官公庁、独立行政法人」は、社会的な信用が求められる金融機関、公的機関という立場上、福利厚生やワークライフバランスにも配慮する企業が多いことから、女性にとって働きやすい職場の上位につけたものと考えられます。


女性が働きやすい業界、最下位は「理容、美容、エステティック」

最下位は「理容、美容、エステティック」でした。最近、あるエステティックサロンの過酷な労働実態が明るみにでましたが、女性に人気のある職業であり、従業員の大半を女性が占める業界でありながら、仕事と家庭の両立が難しい業界となっているのは残念なところです。


次いで最下位から2番目の業界は「フードサービス、飲食」。人材不足が問題となっている同業界では、夜間勤務もあり、女性にとっては必ずしも「働きやすい」労働環境ではないようです。


その他、下位に並ぶ業界を眺めると、モノではなくてサービスを提供し、きっちりと時間で区切れないクリエイティブな作業や営業的側面が要求される業界が多いようです。


女性が働きやすい業界トップとワーストの比較

トップの「治験、臨床試験、医薬営業受託」と、ワーストの「理容、美容、エステティック」を比べてみると、「Vorkers(現:OpenWork)」の評価指標では、「有休取得率」や「残業時間」といったワークライフバランス面、またそれらが法令に則り構築・運用されているかという点の評価ともなる「法令順守意識」に差が大きいことが分かりました。一方で、「風通しの良さ」「社員の相互尊重」といった社内の雰囲気には大きな違いはみられません。


女性の残業時間の長い業界トップは「コンサルティング・シンクタンク」

残業時間が長い業界ランキングのワーストは「コンサルティング・シンクタンク」です。月間残業時間の全54業界平均は39.84時間ですので、同業界の69.30時間は2倍近い残業をしていることになります。コンサルティングやシンクタンクの企業では、男女関わらず長時間働くことが求められる実態がランキングに反映されています。ただし、「コンサルティング・シンクタンク」は、一つのプロジェクトが落ち着いたタイミングで、まとまった休暇が取得しやすいという一面もあり、有休取得率は平均よりも高い水準となっています。


2位の「広告代理店、PR、SP、デザイン」はクリエイティブな仕事のため長時間労働になりがちなこと、また3位の「インターネット」は、変化の激しい環境において常にスピードが求められる業界であることから、ハードワークを要求されやすい傾向があるようです。


女性の有休取得率が低い業界ワーストは「フードサービス、飲食」

有休取得率の低い業界ランキングのワーストは、「フードサービス、飲食」です。全54業界の有休取得率平均は48.92%ですので、同業界の27.75%は約1/2の取得率とかなり低いことが分かります。アルバイトが集まらず営業時間を短縮する店舗も出てきている中、社員にとっては有給休暇がとりにくい現状があるようです。ワースト2位「理容、美容、エステティック」、3位「教育・研修サービス」、4位「不動産関連・住宅」に関しても、土日も営業している接客関係の業界が続いています。


データの集計について

データの収集方法

「Vorkers(現:OpenWork)」の会社評価レポートへの回答を通じてデータを収集しています。

会社評価レポートの回答条件は下記のとおりです。

8つの選択項目は、下記内容に対する5段階評価となります。

対象データ

2007年7月~2014年10月に、社員・元社員の女性から投稿されたレポート回答(全2万1170件)を対象データとしています。

会社評価レポートの回答ページはこちら⇒