会いたくて
おとといの入山峠へのサイクリングの疲れがあって、昨日の日曜日は家でゆっくりしようと思っていた。しかし、昼近くになってあの名牝アーモンドアイにどうしても会いたくなってきた。事実上の年度最強馬を決めるジャパンカップが開催されるのだ。11時になって、八王子の自宅から自転車をこいで府中の東京競馬場へと向かった。電車で行けば?と思われるかも知れない。しかし、なぜか電車で行くのは気が向かないのである。途中、昼の弁当を買うなどして競馬場にたどり着いたのが12時過ぎ。たいへんな賑わいである。とはいえ、去年よりも若干少ない感じである。あとで聞くところでは、最終的に10万人くらいだったらしい。去年よりも2万人ほど少ない。アーモンドアイ以外、特に目玉になる馬がいなかったということだろう。しかし、私にとってアーモンドアイに会えれば十分である。
アーモンドアイは、今年牝馬クラシック三冠を制した馬である。しかもその勝ちっぷりが、これまでのどの馬よりも抜きんでている。ちょうど8年程前に登場したブエナビスタという、とてもチャーミングな名牝に虜になったことがある。アーモンドアイという心惹かれる名牝に出会ったのはそれ以来である。牝馬はやはりかわいらしい。今年のアーモンドアイの3歳といえば、まだあどけなさも残る。
アーモンドアイの父は、ロードカナロアといって中短距離走で活躍した馬である。しかし、アーモンドアイは長距離でも強い。スピードもあり折り合いもよい。母フサイチパンドラの血統と上手く融合した結果だろう。これは個人的な感想であるが、アーモンドアイはディープインパクトと並ぶような名馬に育っていくような予感もする。
せっかくきたのだから馬券も買わないわけにはいけない。アーモンドアイを軸にサトノダイヤモンド、シュバルグラン、スワーヴリチャードの3頭流しの馬単で、お付き合い程度の300円づつ買った。つつましく、合計900円。所詮ギャンブルだから、庶民が大金をつぎ込むような馬鹿げたことはしない。
午後3時になって、パドックにアーモンドアイが現れた。黒山の人だかりをかき分けて、写真撮影に夢中になった。これまで映像でしか見ることがなかった名馬が目の前にいる、胸が熱くなった。特徴的なたてがみだけでなく、顔つきもお父さんのロードカナロアによく似ている。とても3歳馬とは思えないくらい、堂々として落ち着いている。そして、とてもかわいらしい。
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さては、右にいるのはダイゴ君かな?アーモンドアイに夢中になって気が付かなかった
いよいよスタートのときがきた。騎乗するのは絶大の信頼を誇るル・メール騎手である。午後3時40分にスタート。10万人の大歓声が上がる。この興奮はやはり競馬場でないと味わえない。先行したのはキセキだった。アーモンドアイはキセキにピッタシと後続し、折り合いもよい。第4コーナーを過ぎたところから、アーモンドアイとキセキのデッドヒートが始まった。スタンドは悲鳴にも似た大歓声。私も年甲斐もなく興奮して声を上げてしまった。そして、ついにアーモンドアイが、錚々たるメンバーの古馬達を尻目に約2馬身差で圧勝した。なんと、2400mのレコード記録である。
ゴール前のアーモンドアイ
来年はいよいよフランスで行われる凱旋門賞だろう。強い馬によくありがちなのが怪我である。あの細い足で人を乗せて猛スピードで走るのだから無理もない。なによりも、無事でいてもらいたい。
そして馬券の結果は?2着にキセキがくるとは思わなかった。しかし失った900円は、感動と元気をもらったお馬さん達へのお礼と考えれば安いものである。アーモンドアイ、そして参加したその他のお馬さん達、ご苦労さま。そしてありがとう。お馬さん達に元気をもらって、足取りも軽く帰路についた。
帰路の途中、シルエットに浮かぶ富士山
おわり