かえりみち【3分~】
【あなた】性別不問
ご自由にどうぞ。
ーーーーーーーーー
猫。
猫がいる。
黒猫だ。
月の光に照らされて、真っ黒な身体がよく見えた。
遅くなってしまった帰り道に表れ、ご丁寧に黒猫である。
やだやだ
見なかった事にしようと思うのに、やけに目を引いた。
目が合う。合う?合わせられたのか?
それも一瞬で、前をトコトコと歩き出していった。
行ったと思ったら、止まって振り返り、こちらを見てくる。
おいおい
こんなの漫画や、アニメだけじゃないのか?
と思いつつも、好奇心なのか、はたまたまだどこかにまだ残る、厨二心のせいか、気が付くと身体が勝手に動いていた。
黒猫も途中止まっては振り返り、付いてきているか確認してくる。
にしても
トコトコトコトコトコトコと…猫ならもっとシュッと歩けないものなのか、いや、可愛いからいいんだけども。
何度目かの角を曲がった時、目の前にいるであろう黒猫が居(お)らず
代わりに、小さな子供であろうナニカが横たわっていた。
とりあえず声を掛ける。
『…。』
返事は無い、ただの…(ry(いかりゃく)
こりゃまずい、と来た道を急いで戻ろうした。
その瞬間、子どもから鯉が表れて空へと登っていった。
何を言ってるのかわらかねぇと思うが、こっちもよくわからねぇんだ。
唖然としながらも、ぬいぐるみの様なモノを抱き締めているナニカに再度、声を掛ける。
『…。』
やはり、返事は無い。
ってことで、今に至るわけですよ。
だーかーらー、酔っ払っても無いし、変なおクスリなんて使ってるわけないじゃないですか!
さっきも検査しましたって!
と、何度も何度も同じ話をさせられ、何度も何度も同じようなやりとりし、結局開放されたのは、お天道様が眩しく輝く頃。
あの光景が何だったのかは、わからない。疲れ過ぎによる幻覚で、たまたま見つけてしまったのかもしれない。
なんにせよ、無事に帰れることになった。
人の苦労も知らずに晴れ渡る空。見上げて睨みつつも、澄んだ空気の気持ち良さを感じ……るわけねぇだろ!!
とにかく早く横になりたいと、
細長い雲が旅立つのを背に帰宅した。
おしまい