愛されお菓子、さるさわの月
どこの地域にも「〇〇といったら△△」と多くの人が口を揃えるお菓子があります。東京の「東京ばなな」、京都の「生八つ橋」、広島の「もみじ饅頭」といったように。でも奈良については「柿の葉寿司」が有名すぎて、代表とされるお菓子はどれ?と常々思っていました。
以前のブログで「神鹿物語」というミルクあんが入った白い最中をご紹介したのですが、これは本当に美味しいお菓子です。ですから奈良代表のお菓子というものは思い浮かばなくても、いいものが実はあるというのが奈良らしさかなと思ったり。
前置きが長くなりましたが、また見つけてしまったんですよ!認知度はそれほどではないかもしれないけど非常においしいお菓子「さるさわの月」。これは「千代の舎 竹村」製で、さるさわとは奈良の興福寺近くにある池「猿沢池」から来ています。
中秋の名月には、この池のほとりにある采女(うねめ)神社による「采女祭」が行われます。采女というのは天皇の身の回りのお世話をする女官のこと。奈良時代に天皇からの寵愛が薄れたことを嘆き、猿沢池に身を投げた采女の霊を慰めるために采女神社が創建され、この霊を鎮め、同時に人々の幸せを祈願するためにこの例祭が始まったそうです。
そんなことを知ると、このお菓子のかわいい丸さも、采女をイメージさせます。ぷっくりしたほっぺたみたいですし、大きさ、色、やわらかな感触がなんだかかわいい。作り手の采女への愛しさや哀れみを感じさせます。
このお菓子のあんには卵とバターが入っています。白あんにバターはまちがいないですね。あんを包みこんだクッキー生地のほろほろとした食感もちょうどいい感じ。あんこは硬いと喉につまる感じがありますが、中のあんはやわらかさ加減がちょうどよく、形や食感にやさしさを感じます。
これを食べたら、茜丸のみるく饅頭「かぶきもん」を思い出しました。和菓子だけど洋菓子のようで、若い人にも喜ばれるみるく饅頭は年齢問わず誰にでも愛される味です。「かぶきもん」も久しぶりに食べたくなりました。
こうして際限なく、またあんこにハマっていくのでした…。
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◆「みるく饅頭かぶきもん」