コロナ時代の新入社員が選ぶ「働きがいのある企業ランキング」(vol.107)
多様な価値観を持つZ世代が評価する企業の特徴とは?
要旨:
- 1位にP&Gジャパン、2位にセールスフォース・ジャパン、3位にデロイト トーマツ コンサルティング
- 上位30社中7社はコンサルティング業界
- 企業ランキング全体では、コンサルティング・IT・インターネット・広告代理店といった情報産業系の企業が多くランクイン
- 情報産業系企業のランクインが多い中、製造小売であるファーストリテイリングおよび傘下のユニクロ・ジーユーの3社もランクイン
- 若手のうちから裁量権があり成長できる職場環境を求めるのは、もはや「マスト」に。成長できる環境に加え、自身が求める付加価値が得られる企業かどうかが高評価のポイント
- 「社員の士気」「20代成長環境」「風通しの良さ」のスコアが高い企業は上位にランクインする傾向
- 「人事評価の適正感」や「待遇面の満足度」など、一つの項目に特化しスコアが高い企業もある
新型コロナの感染拡大も落ち着き、企業の採用活動や入社式なども数年ぶりに対面式で実施する動きが増え始めました。ポストコロナ時代の始まりと同時に、リモートワーク制度やオンライン形式のミーティングといったコロナ禍を経て普及した働き方は定着しながら、企業の職場環境は今後も変化していくことでしょう。
職場環境がめまぐるしく変化した昨今、特に若手社員の育成に関して頭を悩ませる企業経営者も多いように見受けられます。ニューノーマルな働き方が浸透し、多種多様な価値観を持つとされる若手社員達が仕事を通じて成長実感できたり、働きがいを感じたりするポイントはどこにあるのでしょうか?
今回の調査レポートでは、コロナ時代の就職活動を経て新卒入社した社員からの評価が高い企業をランキング形式で発表します。激動のコロナ時代を経験した彼らが「働きがいがある」と評価した企業にはどのような特徴があるのでしょうか?
コロナ時代の新入社員が選ぶ「働きがいのある企業ランキング」
“転職前提”のキャリア観をもつZ世代。若手のうちから裁量権があり成長できる環境はもはや「マスト」。新卒時代に求めるものはその企業ならではの付加価値
コロナ時代の新入社員が「働きがいがある」と評価した企業を集計した本ランキング。総合評価の1位はP&Gジャパン、2位セールスフォース・ジャパン、3位デロイト トーマツ コンサルティングという結果になりました。ランキング全体を見渡すと、30社中7社がランクインしたコンサルティング業界が比率としては一番多い結果となったものの、多種多様な業界業種の企業が並びました。
ランクイン企業の新卒入社者が投稿した「入社理由」のクチコミを見てみると、若手のうちから成長できる・裁量権が大きい、といった声は業界業種問わず多く見られました。しかし、なぜ彼らは若手のうちから成長や裁量権を求めるのか?の観点でもう一段深く読み込んでみると、「成長産業に身を置きたい」「課外活動や社会貢献ができる」といったような声もセットで見られました。
終身雇用制度が崩壊し、「転職前提の就職活動」というキャリア観を持つ彼らだからこそ、若手のうちから成長・スキル獲得ができそうな職場環境であることは企業選びのマスト条件であり、加えて、自分が求めるスキルが得られること、理想の条件であること、といった付加価値に魅力を感じられる企業は評価が高まりやすいと言えそうです。
OpenWorkに投稿された、新卒入社者によるクチコミ
「ファーストキャリアとしては申し分ないので入社を決めた。普通の会社では一生かけても1人では受け持つことのない責任範囲と仕事量を1年目からできるので、間違いなく成長できる。(営業、男性、P&Gジャパン)」
「入社を決めた理由は、自身の市場価値をあげるため。また経営者視点をもってさまざまな経営者と議論ができたらと思ったため。(コンサルタント、男性、デロイト トーマツ コンサルティング)」
「入社理由は、成長産業で成長し続けている会社であること、インターネット広告マーケットで市場1位でありマーケットトップの営業/コンサルタントと仕事ができること、若手でも相当大規模の挑戦をさせてくれ、失敗してもまた次のチャンスをくれる風土があること。(広告営業、男性、サイバーエージェント)」
「会社が掲げている理念に働いている社員が共感し、行動につなげていると感じたため入社。また、ボランティア活動も推奨されており自分がボランティアを続けながら業務も両立したいと考えていたため。(インサイドセールス、女性、セールスフォース・ジャパン)」
「社会に貢献できると感じたから。税理士と仕事をすることで、金融・税務の知識や考え方が身につくと思ったから。(代理店営業、男性、大同生命保険)」
コロナ時代の新入社員による評価は「社員の士気」「風通しの良さ」「20代成長環境」がキーファクターか
今回のランキングは、コロナ時代の新入社員による「総合評価」スコアの高さで集計しました。OpenWorkの総合評価は待遇面の満足度、社員の士気、風通しの良さ、社員の相互尊重、20代成長環境、人材の長期育成、法令順守意識、人事評価の適正感の8項目がベースのスコアです。そこで、ランクインした企業を各評価スコア別で見てみると、上位ランクイン企業は「社員の士気」「風通しの良さ」「20代成長環境」のスコアが押し並べて高い傾向にありました。
前述のとおり、コロナ時代の新入社員はファーストキャリアで成長環境を求める傾向にあるため、「20代成長環境」のスコアが高い企業ほど総合評価も高まりやすい傾向にあるのは当然の結果とも言えます。一方で、「社員の士気」や「風通しの良さ」の指標は、仕事に対するモチベーションや社員の人柄の良さ、チームワークやコミュニケーションの多さといった「ソフト面」の部分による評価とされています。
ポストコロナ時代は、多様な働き方が叶い、多様な価値観もつ人々と尊重し合うことが一層求められると言えます。自身の成長は叶えながら、多種多様な働き方・価値観を尊重し合える職場環境であることは、就活生や若手社員から選ばれる企業であることの一つの条件であると言えそうです。
個社別にみると、ひとつの指標に特化し高い評価を得ている企業もありました。例えば、ヤフーは全体評価の中では25位ですが、「風通しの良さ」だけで見ると10位となり、特徴が浮かび上がりました。また、ファーストリテイリング(21位)、ユニクロ(26位)、ジーユー(27位)は「人事評価の適正感」「待遇面の満足度」のスコアが高い特徴がありました。
OpenWorkに投稿された、新卒入社者によるクチコミ
「『一人で勝つな、一人で負けるな』という言葉が浸透しており、普段は関わったことのない社員でも相談事などは親身に乗ってくれる。ナレッジをシェアする文化もあり、部門ミーティングではトップパフォーマーのナレッジシェアの時間が確保されている。(インサイドセールス、女性、セールスフォース・ジャパン)」
「同業他社と比較すると、若手の能力が伸びやすいように感じている。風通しも良く、業務の上での意見を積極的に述べやすい。(コンサルタント、女性、デロイト トーマツ コンサルティング)」
「盤石な収益基盤を持った上で、新規事業開発に挑戦できること。挑戦がよしとされ、且つ労働環境が整備されておりビジネスを学ぶ場としては最高と思う。(営業、男性、三井物産)」
「成果を出せば評価され次年度の給与に反映されるため、成果を出すことや自分自身のスキルを伸ばすことへの意識が高い社員が多い。(コンサルタント、男性、ベイカレント・コンサルティング)」
「出る杭を伸ばす・オープンでフランクな風土など、考えに一貫性がある会社。採用のタイミングから常に理念浸透を謳っているため、それに共感した社員が入社をしており、社員が同じ方向を向いて仕事を行なっている。(コンサルタント、男性、クイック)」
「非常に風通しの良い職場です。1チームが5〜10人程度で構成されるが、チーム内での人間関係のマンネリ化を防ぐ狙いで、プロジェクトごとに複数チームが協力して開発を行っています。(エンジニア、男性、ヤフー)」
「自分で決めた目標に対して半期ごとに取り組んで、ボーナスなどで実際に評価されるので非常にやりがいがある。(店長、女性、ファーストリテイリング)」
データの集計について
OpenWorkに投稿された会社評価レポートのうち、2020年以降に入社した新卒社員による投稿を「コロナ時代の新卒社員」として集計、レポート回答21,093件を対象データとして使用。
※対象者・集計期間を限定しているため「OpenWork」の各企業ページで掲載している企業評価点とは異なる
※2022年の新卒入社者は、本データ集計時点でOpenWorkの投稿条件である「就業経験1年以上」を満たさないため対象外