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退職者が選ぶ「辞めたけど良い会社ランキング2021」(vol.90)

2021.11.18 05:00

退職した会社を高く評価する鍵は入社理由にあり


要旨:


昨今、キャリア観の変化や大企業の業績悪化も伴い、転職前提での就職活動がスタンダードになりつつあります。日経新聞が行った就活生への調査(※1)によると、転職を前提として就活をしている学生は約4割、約3割が5年以内に転職を考えており、新卒入社した4月に転職サイトに登録する新入社員も年々増えています(※2)。


終身雇用が前提だった時代、退職者は「裏切り者」と見なされる側面がありましたが、人材の流動化が今後より高まっていく中で、企業側もアルムナイネットワークを構築するなど、退職者との関係性を見直す動きが出てきています。


今回の調査レポートでは、OpenWorkに投稿された社員クチコミのうち「退職者」による評価に限定し、「退職者からの評価が高い企業」を集計しました。辞めることを選択したけれども良い会社だった、退職者からそう評価される企業にはどのような特徴があるのでしょうか。OpenWorkに寄せられた社員の声を見ていきます。

(※1)日本経済新聞2021年2月28日 転職前提が4割「大手も安心できない」就活生独自調査

(※2)パーソルキャリア2021年5月24日「新卒入社直後のdoda登録動向」


退職者が選ぶ「辞めたけど良い会社ランキング2021」

※ランキングの評価点・クチコミ件数などは集計時点の数値となるため、「OpenWork」各企業ページで掲載している数値と異なる場合があります。


トップ3、上位に多い外資系企業。退職後の高評価は入社時のマインドセットに違い

退職者が高く評価している企業をランキングした今回、トップ3は全て、トップ10を見ても半数が外資系企業という結果になりました。日系企業と比べ、人材の流動性が高いイメージのある外資系企業ですが、「入社理由」の社員クチコミを見ていくと、入社時のキャリアビジョンとして、自身の長期的なキャリアの通過点としてその企業を捉えている声が多く見られました。自身が求める成長を得られ、次のステップに進むための「ポジティブな退職」であることが、退職後の高評価に繋がっているのかもしれません。


「いずれ経営者になりたいと思っており、幅広い業界、分野の経験を短期間で積むことができることに魅力を感じた。幅広い業界、分野の経験を短期間で積むことができたことに関しては非常に満足。(コンサルタント、女性、マッキンゼー・アンド・カンパニー)」


「国家公務員としてビジネススクールに留学。帰国して役人に戻るのはNOと考えた時に、将来のキャリアの可能性が最も広がる会社と思えたため。(コンサルタント、男性、マッキンゼー・アンド・カンパニー)」


「最高の環境で働いてみたいと思ったから。働くひとのIQやEQも高く、世界をリードするような会社ではたらくことが自分の社会的な価値向上やスキルアップにもつながると考えたから。(事業企画、女性、グーグル)」


「幅広く、様々な産業・企業における経営課題をキャリアの早期の段階で把握したかったから。また、コンサルタントの問題解決手法について体系的に学ぶ経験を得たかったから。(戦略コンサルタント、男性、A.T.カーニー)」


「キャリア形成上、早い段階で専門性を身につけて、ポータブルスキルを習得する事が必要と感じたため。また、この会社のマーケティング職は全世界的に市場価値が高く、五年やればポータブルスキルが身につくと言われた為。(マーケティング、男性、P&G ジャパン)」


「どこの外資系でもそうだと思うが、この部署、と決めて入社してその部署で専門性を身につけられるので、専門職として食っていくための基礎ができた。5年以上ゴールドマンで働いていれば、転職活動の際に『ゴールドマンで◯年働いていた』という経歴が、きちんと働ける人材であることの証明になっているように感じる。転職後も、別の業界で同じ専門職の職種で働いている。(バックオフィス、女性、ゴールドマン・サックス証券)」


上位の特許庁。充実の研修制度と専門職としてのキャリアを評価する声

今回、官公庁から唯一上位にランクインした特許庁。経済産業省の外局であり、発明や意匠・商標に関する知的財産の管理や手続きを行う機関です。社員クチコミからは、自身の専門性を発揮できるだけでなく、未経験であっても充実した研修によって専門性を身につけられる点や、審査官として7年以上勤務すると弁理士の資格を取得できる点を評価する声が見られました。上位企業同様に、長期キャリアを描ける点が評価に繋がっているようです。


「非常に研修が充実している。法律の知識がなくとも、入庁後の研修で必要な知識は身につけることができる。また、長く務めることで弁理士資格を取得可能であり、退職後も活躍することができる。(審査官、男性、特許庁)」


「審査の仕事は大学や大学院での専門性を存分に発揮することができ、また、法的な感覚や論理性なども必要であり、求められることは多いが、最先端の技術に触れられる事は楽しい。節目節目で研修が組み込まれている。基本的に審査官→審判官を経験し、その後は上席審査官、審査部の管理職や上席審判官などへと進む。若い頃は企業への派遣や海外留学なども経験することができる。特許庁内だけでなく、他省庁への出向や時には外交官の身分で在外公館や裁判所で調査官として働くことも可能。(審査部、男性、特許庁)」


「日本の知的財産権(特許、実用新案、意匠、商標)を所管するという重要な仕事であるので、自分の仕事に誇りを持つことができる。また、審査官の業務経験というキャリア、人脈は他に代え難い貴重なものであり、退官したあとの仕事の上でも間違いなく一目置かれるキャリアになると考えたから。(審査官、男性、特許庁)」


「先行技術文献調査のスキルが、毎日の特許審査で向上します。特許分類を駆使した高度な先行技術調査を実践し、適切な先行技術文献を見つけること、迅速・適格な特許審査に寄与することが、自らの働き甲斐につながると思います。審査官として7年勤務すると、弁理士の資格を取得できるため、審査官を退官後のキャリアアップが図れるというメリットがあると思います。(審査官、男性、特許庁)」


データの集計について

2018年以降OpenWorkに退職者からの投稿が10件以上ある4,691社153,302件のクチコミを対象データとしています(集計期間:2018年1月~2021年10月)。

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