忘却のベール
小さいときから可愛がってもらっているおばさまが、
「歳をとっていろいろ忘れていくのはご褒美よ。」
と仰っていました。
辛く苦しいことも全て覚えていたのでは、生きていくのが大変。
だんだん忘れていくから生きられる、と。
この頃どんどん認知力が落ちていく父をみながら、あぁご褒美かぁと思ったりします。
私たちには忘れていくように見えるけれど、地球的なしがらみをどんどん手放して、本人は身軽になっていっているのかもしれません。
「私たちは生まれてくるときに忘却のベールを通り、過去世や内なる源との繋がりを忘れてくる」という話があります。
全て覚えていたらつまらないから、全てを真っ新にして地球を体験する。
覚えて生まれてきたとしても、育っていくうちに、物質的な世の中に適応していくために、ほとんどが霊的な側面を次第に忘れてしまうとも言われます。
確かに、前世で酷いことをしたとか、戦争の中で命を落としたとか、血みどろの愛憎とか、ありありと覚えていたのでは生きづらいことでしょう。
テレビドラマでも、ストーリーを覚えている再放送より、新しいドラマにワクワクドキドキしますしね。
今世はたくさん恩返ししようと決めてきたのに忘れている、なんて面もありますが。
生まれ変わりがあるかないか証明問題はさて置いて、あると思っていた方が生きやすいのではないかと思っています。
今世ツケを作れば来世で返さなくてはいけないとなると、いい加減なことが減るかもしれない。
辛い体験もこちらの世界のアミューズメントと見てみると、考えを切り替えるきっかけにできるかもしれない。
源で皆繋がっていると思えば、人に優しくできるかもしれない。
物質だけではない、自分の霊的な側面を思い出せたらいいのに。
忘れる効用と、思い出す必要について考えています。