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ulcloworks

チーム制製造業。

2018.11.29 11:35

以前生地屋さんに求められたことで書いた人たちより、僕はもうちょい工業よりの人なので、じゃあ僕のポジションからどうやったら若手デザイナーさんたちが生産をしやすい環境がつくれるかということを最近は結構考えている。よりコンビニエンスに服を作れないものかと。そういう感覚が求められていると非常に感じる。

ちなみに以前書いた「生地屋さんに求められたこと。」は↓これ。


紡績、編工場、染工場、縫製工場、このそれぞれが、それぞれに活動していくのでアパレルメーカーに対しては当然それぞれの切り口からの提案になるのは仕方がない。

昔はそのそれぞれの提案に対して、アパレルメーカー側がまとめ上げてそれぞれに指示を出しているのが一般的だったと思う。なので、紡績は糸を提案するし、編工場は紡績から提案された糸をとりあえずサンプル買って編んでみて、それを染工場で染めて生地にした状態で提案している。染工場はそういった編工場のサンプルの履歴を加工見本としたり、アパレルから依頼があったアーカイブが提案資料になる。もちろん自社開発の為に生機を買って試すということもあるだろう。縫製工場は残布や生地問屋から買える着分で縫製見本を作ったり、過去のサンプルを使い回すという方法になるのだろう。当然と言えば当然。

餅は餅屋なので技術披露するタイミングはそれぞれのポジションに依存することになる。当たり前だけど。

これがプロダクトアウトになってしまう一つの理由。なるべくしてなる。

アパレルメーカーからすると、一つの企画に対して寄せられるそれぞれの情報量が多くなってしまいまとめきれなくて僕らのようなOEMメーカーに丸ごと依頼してくることになることも少なくない。というかカットソーにおいてはほとんどそうなりつつある。


先日お伺いしたアパレルメーカーと直接お取引されている縫製工場の社長さんから「山本さんと組んでなんかしたい」というラブコールをいただいた。これはつまり、縫製工場という立場だけではお客さんへ提案する際に「弱い」と感じているからだ。

または先日とある染工場から「なんかしていきたい」という漠然とした投げかけをいただいた。染加工場ほどウェイトの姿勢にならざるを得ない製造ポジションはない。なので当然の焦りとも言える。

元々編工場という立場だった僕にとっては、「編める」だけでは提案としては弱いし、生地を作ることは出来てもアーカイブにないモノづくりになった時は口頭で説明して「〜なるだろう」という提案にならざるを得ない。編みは機械がよっぽど特殊で他社にない編み地がつくれる以外は糸の風合いや染色加工技術に依存していくしかない。だからだろうか、糸と染色をつなぐことで生地にして提案することは当たり前だが、できる。ここに実は元々ある程度製造をチーム化するヒントがある。


縫製工場は縫製という服にしていく上で非常に重要なポジションだが、素材のチョイスはアパレルメーカーに依存せざるを得ない。なので最近は生地を自分たちで探して集め、素材提案から入っている縫製工場も多い。

逆に僕ら元編工場の生地メーカーは縫製を縫製工場に依頼することができれば、素材提案をできる上に縫製納品まで請け負うことができるし、現にそこまでしている編工場は結構ある。

染工場は生地メーカーにくっついていたらある程度の仕事量は見込めるが、やはりどうしても切り取られた情報しか入ってこない分、「染めてるだけ」と感じることが多いらしい。まぁこれは工場現場まで遡ればどこも同じ感覚だと思う。どこの誰が着るかわからんけども編んでるだけの工場みたいな感じである。生地問屋や商社などの中間業者が多ければ多いほど、エンドユーザーの企画に対する熱量は希釈される。クオリティが下がりやすいのである。これはブランドや、その服を買う人にとっては非常にマイナスな状況である。

なので僕は常々、編工場や染工場に対して発注をしていく際、エンドユーザー名を伝えるようにしている。縫製工場は当然誰の商品を縫っているのかわかるはずだ。そしてそれぞれの工場に対してそのブランドがどういうブランドなのか、どういう店で売っていて、どういう人たちが買っていて、どういうことを好み、どういうことを嫌うのか伝える。こうすると生産の際に関わってくれる人たちはそれなりにまとまる。


これを、各工場が組んでやる。


例えば提案切り口が編工場なら、そこに付随する染工場は共に市場調査をしてそのブランドの嗜好を捉え、生地提案の際に好みそうなビーカーや加工バリエーションを添える。

染工場が提案切り口なら、どういう生地が好きそうか調べて、編工場へ素材提供を促し、前述のやり方に持っていく。

縫製工場の場合は普段からこういった意識をもつ編工場や染工場と繋がるという場面が必要になる。そこを僕がお手伝いさせてもらうことはできるし、このやり方のイメージが掴めたら自らチームを構築していくことも可能だろう。

紡績も然り、糸のサンプルがどういう調理でどういう生地になっていくかイメージが出来ないで糸の企画をしているわけではないと思うし、糸を作ったら試編みして生地にしてから提案しているのだから、こういうチームに加わって開発原料を提供していく。など。

的を絞った複合提案で資料もスッキリするし、アパレルメーカーやブランド側からすると製造の選択肢をチョイスしやすい。


それぞれのポジションが三位一体となって一軒のブランドやアパレルメーカーに臨む。

これは僕らOEM、ODMメーカーが普段やっている作業を工場それぞれがまとまってやるというイメージだ。

非常に手間のかかる作業だし、それぞれが利権を主張しだしたら収集がつかない。あくまでそれぞれのポジションがそれぞれのポジションを崩さずに取り組むことができれば、製造依頼をするアパレルメーカーにとってはメリットのあるカタチになっていくはず。

まぁ工場にとっては、自社にどれだけ「うまみ」があるかというところに意識が行ってしまうところだが、国内市場はシュリンクしてきているのであんまり「自分のところだけでも!」という意識ばかりでは知らないうちに各社無駄な削り合いをして双方足元をすくわれるかもしれない。


この段階では監督不在のチームでバラバラになりやすそうに見えるが、もうちょっと具体的な各ポジションの動き方とかも考えてあるのでそれはまた別の機会に紹介できればと思う。