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星を繋ぐ猫達 《第9章⑦ リラのコア》

2018.12.01 02:22

気づけば、もう師走、2018年も、残りわずかとなりました。急に寒くなりました。気を付けてお過ごしください。


先日、作品製作祈願に行ってきた神社に、お礼のお参りに行ってきました。

紅葉が綺麗でしたよ。


画像は、作品「百喜夜光☆ひゃっきやこう☆」の一部分です。

先頭を歩くのは、アクア操縦士、ドクター猫宮、ジャッコ博士、チャット博士、猫居博士、猫沢博士のお兄さん、その他大勢です。


では、続きをお楽しみください。


《第9章⑦ リラのコア》


広い客間に招かれた猫達と寅次郎博士、美しい幾何学模様の装飾が施された室内は、ゴールドが基調となっています。


猫達は、何故か懐かしく感じました。猫の星にも、似たような建築物や装飾が、各所にあるからです。


特に、エネルギー供給イクサフィーゴを囲むように作られたゴールドの装飾は、ナタトリアと似ています。


このシステムを開発した、虎之助博士のセンスや好みだと思っていた猫沢さん達、どうやら、グランティオス文明の名残のようです。


そして、元プラナダの民である、寅次郎博士は、ゆったりとした特別仕様の腰掛けに案内されました、護衛の猫達も、彼に付かず離れず、そっと同席しました。


「Mr.カザマ、これから、地上人間界の周波数を解きます。少しは楽になるでしょう。あなた方は、少し離れて見守っていてください」 


ミスマは、寅次郎博士にドーム型のシールドを張りました。年老いた寅次郎博士のホログラムボディーを、悲しげに見つめ、地球上の借り物のボディーとはいえ、あまりにも傷み激しく、なんとも言えない気持ちになりました…。地上では、たかが70年で、これほど劣化してしまうのかと…


光に包まれる事、数分後、すっかり若返った寅次郎がいました。年の頃は、30代前後の姿…髪の毛は白いまま…


猫達は、驚きます。


「一時的に、ホログラムボディーの細胞を活性化させ時間軸の概念を外しました。あなたは、ここにいる間だけ、この姿でいる事が出来ます。地上に戻れば、自然と元の姿に戻りますわ」


鏡に映った自分の姿を、まじまじと見つめる寅次郎博士、知らぬ間に可動域が狭くなっていた関節は軟らかくなり、肌の艶がよみがえっていました。


「地上に戻れば、元の姿か…なんだか浦島太郎みたいだな」


寅次郎博士は、思わず、ふふっと笑いました。


若返った寅次郎博士の姿を、猫達は、目を丸くして見つめていました。


「猫沢、前々から思っていたんだが…」


猫谷エンジニアが、猫沢さんに、コソッと話しかけます。


「なんでしょう?」


「お前の眉毛、寅次郎博士の眉毛にソックリだな」


と、クスクスと肩を震わせながら笑っています。


「似てません!」


「そうかい?二人共、いい眉毛してるよ」


変なツボに入ったのか、猫谷エンジニアは、肩を震わせていました。


「変なヤツ…」


猫沢さんは、眉をしかめながら、ソッポを向きました。


大きなテーブルに、美しい器に盛られた綺麗なフルーツのような食べ物に、目が行く猫達


それを見た、寅次郎博士


「これは、[あの頃の私]が、好きだった物だ…」


表情が、緩みかけた寅次郎博士に、


「そうでしたか、よろしかったら召し上がっていただいても良いのですよ」


ミスマは、微笑みました。

思わず、手を伸ばそうとした寅次郎博士の手に、猫パンチをする猫谷エンジニア


「寅次郎博士!ここの世界の食べ物を口にしてはいけません!皆も食べないで下さい!」


キョトンとする寅次郎博士に、猫谷エンジニアは、キツく言い放ちました。


「何故?」


「地上に戻れなくなります!」


その時、猫沢さんは、扇で隠れたミスマの口元が、一瞬、唇を噛み締めたかのように見え、目を疑いましたが、猫谷エンジニアの部下達の動きが、最初から慎重だった事にハッとしました。


すると、猫谷エンジニアは、ツジンシ達に伝えたのです。


「歓迎の席、お招き頂きまして、ありがとうございます。率直に伺います。あなた方が、私達をここに導いた理由を教えてください」


鋭い眼光を放つ猫谷エンジニア、一瞬、端正な顔をひきつらせるツジンシ…


「な、なかなか勘が鋭い方々ですね…。お答えします。グランティオスの復活です。私達は、長い間、海底に身を隠し過ごしてきました。地上に再び、王国を建て直す為、力を持った者達を集めているのです。あなた方にも協力していただきたいのです」


それを聞いた、猫谷エンジニアは、ハッキリと…


「お断りします。集めている?と言うことは、この世界に集められた者達が、多数居るのですね?しかし、今の地上は、あなた方のいた頃の周波数と全く異なります。耐えられないと思いますが?」


猫谷エンジニアは、冷静さを保ち淡々と、話しています。彼は、猫の星を護る特殊任務を請け負うシークレットな存在。いつも黙々と、宇宙船やフラクラフトの整備士として働いています。その姿からは、想像出来ない凛とした姿に、猫達は、再び驚くのです。


「大丈夫です。ほんの数百年後には、すっかり変わっていることでしょう」


ツジンシは、手のひらに地球の映像を浮かせて、転がしました。


「確かに、現在のテラの周波数は、変化し続けていますが、それは、あなた方の仕業ですか?」


「いいえ、私達ではありません。地球のコアです。地球は、私達が地上で暮らしていた頃の周波数に戻ろうとしているのです」


「地上人は、どうなるのですか?」


「真理に導かれし選ばれた僅かの人間を残し、ほとんどが、沙汰されるでしょう」


ツジンシは、目を細め、口角を、片方上げる仕草をしました。


「沙汰…?皆を救わないのですか?」


会話の間を縫うように、寅次郎博士は、思わず、口を開きました。


「救う?何を言っているのです?あのように退化してしまった人間達が、この先も生きていけると思うのですか?何も知らずに滅ぶのを待つだけの人間達を…?」


ミスマの、美しい顔に刻まれた醜い皺が現れたかと思うと、一瞬で消えてしまいました。それを見た猫達は、ゾッとしました。


「あなたがたは、あの頃と全く変わっていないのですね…」


寅次郎博士は、再びハッとしました。あの頃の記憶が、ほとんどない状態なのに、思わず口走ってしまった言葉を手で覆いました。


「プラナダの民は、綺麗事など言っているから、生き残れなかったのでしょう」


ミスマは、静かな冷笑と口調で、言い返します。


「そちらこそ、妙な選民意識を振りかざし、勝手に振るい分け[人柱]として私達を差し出し、逃げ出したのでしょう?我々王族をも、死の淵に追い込んだあなた方が、現在も、生きていると知った時、どんな気持ちになったか…」


寅次郎博士の瞳の奥は、怒りに満ちています。心の奥底に仕舞い込み、蓋をしていた想いが、表に現れたのです。


途切れ途切れながらも、あの頃の記憶を、取り戻す彼は、過去の亡霊と化しています。


「まずい…。猫沢、寅次郎博士の根っこの部分の意識が表面化し始めた。途切れていた時代の記憶まで、さかのぼってしまっては彼の[精神体]が、危険だ。止めなければ…」


猫谷エンジニアは、暴走しかけた寅次郎博士を止めます。


彼の額に、ある鉱物を押し当てると、一瞬で、元に戻り、落ち着きを取り戻しました。我に返った寅次郎博士は、キョトンとしています。


「ツジンシ様、ミスマ様、今一度、考え直してみませんか?地上人共々融合した世界を創りましょう。我々が受け取ったテラのコアからのメッセージは「宇宙全体が、ひとつになる事」です。リラの時代の過ちを繰り返さない事です!」


猫谷エンジニアは、キッと睨み付けるように言い放ちました。


「戯れ言を…!」


二人は、何かに取り憑かれたような、恐ろしい般若のような形相に…


哀れにも、彼らもまた、過去の亡霊に操られているのです…


猫谷エンジニアは、先程、寅次郎博士の額に当てた鉱物を、スッと二つに分け、二人の額に押し当てると、先程の穏やかな表情に戻り、猫達は、ホッとした表情になりました。


落ち着きを取り戻したミスマは、猫達に語りかけます。


「カンタスカラーナの民よ…あなた方もプラナダの民と同じなのですね…哀れです…これ以上引き留めておく理由はありません。お引き取りください…」


ツジンシとミスマは、悲しそうな表情です。


「あなた方、ナタトリアの民も、いずれ、テラのコア…いえ、リラのコアの真の心が、響く時が来るでしょう。再び力を合わせる時が来ます。その時まで、暫しのお別れです…」


遠く長い年月をかけ、ようやく廻り会えた喜びも、つかの間、解り合えなかった哀しみを握り締め、お互い背を向けました。


猫達は、席を外します。


その時、ミッシェルが、二人の元にかけ寄りました。


「本日は、お招き頂きありがとうございました。いつかまた、笑顔でお会いしたいです。私は…あなた方を信じています」


そう言うと、スッと猫達の列に戻り手を降りました。


寅次郎博士は、猫達に手を引かれながら、宇宙船に戻っていきます。


乗り込んだ猫達の船は、赤い門の上を通過すると、美しかったナタトリアの景色は消え、物悲しい海底の姿が広がりました。


寅次郎博士は、無言で、窓からの景色を眺めていました。宇宙船の中にいる間は、時空が異なる為、若さを保っています。


そんな姿を見ていた、調査メンバーの女性宮司であり学者のターラ女史が、


「ミスマ様は、寅次郎博士をナタトリアに引き留めたかったのね…」


「なぜ、分かるんですか?」


ミッシェルが、聞き返します。


「そのうち分かるわよ。博士は全く気づいてないみたいだけどね」


「ターラさん…私、あの人達が、悪い人ではないように思えます…」


「この世界に、善いも悪いもないわ…」


ターラ女史は、微笑みながら、自分の部屋に戻っていきました。


宇宙船は、寅次郎博士の自宅を目指します。


[つづく]


 (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。


物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。


そんな楽しい猫の星の世界観第5弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)


2019年の7月、幻想の魚の秘密.第6弾を展示決定!お楽しみです。


猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)


※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)


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