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日本語教師こんぶの会

第14回協働実践研究会に参加しました!

2018.12.02 13:35

こんぶの会メンバーが12月2日、麗澤大学東京センターで行われた協働実践研究会に参加してきました。

以前からこの研究会には興味を持っていたものの、なかなか日程が合わず参加できないでいましたが今回は池田玲子先生、舘岡洋子先生の両先生の登壇ということで、敢行!

私自身の考えや経験を織り交ぜながら、研究会の内容について報告します。

この本が出版されて11年、私がピア・ラーニングのことを知って10年になります。当時の私の上司が、「こんな読解がある」とピア・リーディングについて教えてくれたのです。

このブログを読んでくださっている方の中には、「ピア・ラーニング」ということばは知っている、あるいは実際に授業で取り入れている、という方もいらっしゃるでしょう。一方で、Twitterなどでは「うまくいかない」「学生が話したがらない」という声も散見します。

私自身も最初になかなか理解できなかったのは、「どうすればうまくいくの?」ということでした。何か特別な方法があると思い込んでいたのです。

数年前、舘岡先生のお話を聞く機会があり、そのときとてもスッキリしたことを覚えています。それは、「教育観」に関するものでした。意を決して質問した私に対して、以下のようなことをおっしゃいました。

どんな環境にあってもどんな立場でも、自分には自分の「教育観」があるので、それによって工夫したりやり方を考えたりするだろう、と。

私自身、教師の資質で最も重要な要素は「教育観」であると考えていたのに、それが自分の中で十分に消化できていなかったことに気づかされました。


そして本書にも明記されていて、今回の研究会でも両先生が強調されていたのは、

「ピア・ラーニングは教授法(メソッド)ではない」ということです。

つまり、「どうしたらうまくピア・ラーニングができるか」という設問そのものがナンセンスなのです。

では、ピア・ラーニングとは何か?

池田・舘岡両先生の言葉から私が理解したのは「対等 対話 プロセス 創造 互恵性」を可能にする「学びの場」のデザインによって「学習者同士が協力して学習課題を遂行」すること、です。

ですから、教師が一方的に「はい、交換して」などと言ってピア・レスポンスを求めても、「はい、グループになって」と言って読解を進めても、それだけではうまく進むはずがないのだと納得しました。

私はまず何よりも「雰囲気」を重視します。学生たちが、「やってみようかな?」「楽しいな」という雰囲気。担任になったら何をおいてもまず取り組むのはこの「雰囲気」づくり。だから初級でも上級でもわりとスムーズにピア・ラーニングに近づけます。もちろん、うまくはまらない場合もありますが、それは「場をデザインする」立場にある私の責任。どんな学習者に対しても、それこそ勉強する気など全くなさそうな学習者に対しても、「学ぶことは楽しい」と感じてもらいたい。それが私の「教育観」だから。


今回の研究会での収穫は以下の3点。

☑自分の実践を支える理論は必要

☑人は思考を言語化するのではない

☑ピア・レスポンスは必ずしも日本語で行う必要はない


まず、1点目について。

どんな教師も自分の授業は最高だとは思っていないと思います。「今日はちょっとうまくいったかも⁉」と小さな喜びを見つけつつ、でもなかなか自信が持てない…私もそうです。でも、それを支える理論があれば、少しは自信が持てそうです。

何といっても

Nothing is so practical as a good theory.(by K. Lewin) よい理論ほど実践的なものはない

ですからね!

2点目は舘岡先生のことば。

思考が先にあってそれを言語化するのでない。人は聞く人がいるからこそ話すのであって、もやもやした思いを言語化していく過程で思考が行われるという意味だと思います。これ、ものすごく頷いてしまいましたし、「学習」という観点からもとても重要だと思いました。

3点目はポスター発表から。

発表者は麗澤大学の院生で、日本語によるピア・レスポンスと中国語(母語)によるピア・レスポンスで作文への反映のされ方に違いがあるか、というものでした。結果は大きな違いはなし。コメントの内容には違いは見られたようですが、どちらもピアでコメントし合うことにより作文の推敲が行われることが示されたものです。私の担任クラスは中国人のみなので、ピアの活動をしても中国語になってしまうことが多いです。ただ、全体共有は日本語で、ということにしてあります。もちろん、できるだけ目標言語である日本語で行いたいのですが、私は学生自身がそうしたくなるのを待ちたい気持ちがあり、そのままにしていました。ここでまさに1番目の「自分の実践を支える理論」に出合えたように感じました。


この他にも、舘岡先生から現在の私たちの活動についてさまざまなコメントをいただきました。

大学の教員が集まって実践を持ち寄る「実践カルテ工房」の発表、ほとんど聞いていませんでしたが最後に参戦し、「私はこれを日本語学校でもやりたいんです!」と言うと、

「あなたが日本語学校を背負って立つ必要はないのよ」

とのお言葉。

はい、背負って立つつもりは毛頭ございません(^^;)

一介のフリーランスですから!

ただ、自分が働きやすいように、学習者と教師の間、教師同士の間に一方的でないWin-Winの関係を作りたいだけです…

と心の中で叫びつつ、腹をすかせた子のために家路についたのでありました。


最後まで読んでくださってありがとうございました!!

今後も私たち「日本語教師こんぶの会」はぼちぼち活動を続けて参りますので、どうぞよろしくお願いいたします☆