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10万人の社員クチコミによる「働き方改革」検証(vol.42)

2017.10.19 05:00

残業時間残業時間を減らして、変わったもの。変わらないもの。

要旨:


政府は「働き方改革を推進することで長時間労働を是正する」とし、残業時間の罰則付き上限規制を含む法改正案の取りまとめや、違法な残業を放置する企業の社名公表基準を月100時間超から月80時間超に引き下げるなど企業への監視を強めています。また、企業側でもフレックスタイムやテレワークの導入、業務フローの効率化を行うなど、今までの働き方を見直し、残業時間を減らす動きが活発化しています。今回集計したVorkers(現:OpenWork)の平均残業時間推移においても、2014年以降に残業時間が大幅に減少していることがわかりました。


今回の調査レポートでは、残業時間が減少を始めた2014年と、2017年それぞれにVorkers(現:OpenWork)に投稿された社員クチコミを比較し、「残業時間が減少したことで、働く現場で何が変わったのか」を調査・分析しました。残業時間の減少によって、Vorkers(現:OpenWork)の働きがいを表す指標に変化はあったのか、社員の声から「働き方改革」を検証していきます。なお、Vorkers(現:OpenWork)が取得している残業時間は、企業が計測している残業時間ではなく社員自身が認識している残業時間となるため、サービス残業が含まれたものとなっています。


残業時間は継続して減少中。2017年の平均残業時間は月32時間に。

Vorkers(現:OpenWork)に2012年以降投稿された「回答時現職」の社員による平均残業時間の推移を集計したところ、2014年以降で継続した減少が見られ、2017年の月間平均残業時間は32時間という結果になりました。これは3年前の2014年から比較して月間12時間の減少となり、残業に対する企業の意識変化が大きく反映された結果と言えるのではないでしょうか。


残業時間の減少によって大きく向上したのは「人材の長期育成」

残業時間が減少する中、Vorkers(現:OpenWork)の働きがいを示す各指標に変化はあったのか、残業時間が減少し始めた2014年から2017年の間に「10時間以上残業が削減できた企業」と「残業が削減されなかった企業」の比較を行いました。その結果、「人材の長期育成」の指標において、10時間以上削減できた企業と削減できなかった企業で評価の上昇率に大きく差が出る結果となりました。長時間労働の是正によって、社員の会社に対する「長く働いていける」という感覚を高めたことが評価につながったと考えられます。


女性ではより顕著な結果に。「風通し」にも大きく影響

女性からの評価に絞ると、「人材の長期育成」に加えて「風通しの良さ」でも大きく差が出る結果となりました。社内の風通しと「長く働いていける」という感覚において、10時間以上の残業時間削減が女性に与える影響の大きさがうかがえます。特に女性においては、残業時間が削減されなかった場合、全体的にマイナス評価につながっていることが見られ、女性活躍において長時間労働の是正は非常に重要であると言えるでしょう。


残業時間削減は社員の「やる気」に影響を与えず

今回の調査で、残業時間の減少によって全体的にポジティブな変化がみられたのは「人材の長期育成」と「風通しの良さ」という結果になりました。しかし、やる気を示す「社員の士気」においては明確な影響が見られず、単に「残業を減らす」だけでは社員のモチベーションアップにはつながらないことがわかります。今後、「働き方改革」が就業環境にどのような影響を及ぼすのか、引き続き注目し調査をしていきたいと思います。


データの集計について

データの収集方法

「Vorkers(現:OpenWork)」の会社評価レポートへの回答を通じてデータを収集しています。会社評価レポートの回答条件は下記の通りです。

以下の2つのデータについても収集しています。

対象データ

平均残業時間推移:Vorkers(現:OpenWork)に投稿された回答時現職の社員による残業時間103,136件をもとに集計。(集計期間:2014年1月~2017年10月)

残業時間削減による就業環境の変化:2014年と2017年にVorkers(現:OpenWork)に投稿された会社評価レポート12,104件をもとに集計。(各年に回答者が5名以上ある781社が対象)

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