【マッチレポート】第16節BR東京戦マッチレポート 来季見据えた白星。
第16節BR東京戦マッチレポート
来季見据えた白星。
トヨタヴェルブリッツは5月5日、リーグワン第16節でリコーブラックラムズ東京(BR東京)と秩父宮ラグビー場で対戦、45-18で下し、シーズンを9勝7敗の7位で終えた。
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子供の日、秩父宮で行われたこの一戦がリーグワン96試合目。レギュラーシーズンを締めくくる試合だった。
BR東京は毎回、ブレイクダウンに注力してくる相手。この日も同様だった。開始3分、ラインアウトモールからWTB和田悠一郎のトライで先制するが、その後は接点で手こずり、攻撃が継続できない。ボールを動かしてもラストパスにミスが出て、点数は積み重ねられず。12-8で折り返した
後半7分、SH茂野海人に代わってアーロン・スミスがピッチへ。今季トヨタにとって初めての秩父宮。そしてボーデン・バレットと組む最後の試合とあって、ほぼ満員の16951人を集めたスタンドが大きく湧いた。
オールブラックスコンビは中盤で試合のテンポを上げた。17分、中央付近のスクラムからアーロン・スミスが持ち出し、CTBシオサイア・フィフィタが真っすぐゴール前へ。着実にサポートについていたPR須藤元樹がインゴールで抑えた。一気呵成にとりきったトライだった。その後はせき止められていた水がほとばしるようにテンポアップ、FL古川聖人、SHアーロン・スミスがともに連続トライするなど45-18で勝利し、今季の戦いを終えた。
「60分までは13-12で我々が勝っていた。だが最後の20分にアーロン・スミスが変化をもたらした」(BR東京ピーター・ヒューワットHC)
前節の試合から後半投入に回ったスミスが、ゲームチェンジャーだった。
「この暑さの中で、選手全員が勝つという目標に向けてハードワークしてくれた。順位は全く関係なく、意義のある試合だったと思う」
勝敗が順位に影響を与えない、難しい一戦。姫野和樹キャプテンは「来季を見据えた試合にしよう」と仲間に語り掛けた。
レギュラーシーズンの最終順位は7位。トヨタは9勝を挙げたが、トップ4入りのラインは10勝。1勝の重みを痛感したシーズンだった。姫野キャプテンは2日前の会見で「波があった」と振り返った。
「原因は一つじゃない。選手自身のメンタリティ、チームとして機能していない部分もある。練習の中でも色々な要素がある。一概にこれ、とは断定できない」
日本でのプレーを終え帰国するSOバレットは「自分が入ることでチームを変えるというよりは、チームになじむようにやってきました。私のポジション、経験がチームに影響を与えることもありましたが、チームが持っているものを活かしてきたつもり。それが最後のほうになって出せるようになってきた」
バレット自身、ケガで中盤を欠場しており、歯車がかみ合い出したのは、中盤以降だった。
来季以降、チームがトップ4入りするために必要なものをバレットはこう指摘した。
「一貫性。選手層の深さ。上位チームは選手層も厚く、同じメンバーで熟成されている。チームにDNAがあって、選手もそれを信じてしっかりコミットしてやっている」
トライ王を狙っていたFB髙橋汰地は残念ながらトライは重ねられず。13トライで4位。前半41分、CTBチャーリー・ローレンスのチャンスメイクから、髙橋が飛び込みトライと判定されたが、TMOでその前にオブストラクションがあり、トライキャンセルに。
「残念です。聖人(古川)も2トライしたし、もっとチャンスのところに動けていれば。さらに自分のスキルを磨かないと」。来季の再挑戦を誓った。
試合終了後、退団スタッフと選手が発表された。2年間チームを率いたベン・へリングHC、FL古川聖人、SH福田健太らがチームを去る。来季はイアン・フォスター新コーチの下でチーム作りが始まる。
「僕たちの夢はリーグワン制覇。自分たちのビジョンは分かってる。方向性は間違ってない。必要なのは一貫性、そこに対する努力」と姫野キャプテン。
全16試合に先発、常に先頭に立ち仲間を鼓舞し続けたリーダーは来季を見据えた。
今季初の秩父宮。ここでもバレット人気は抜きんでていた
後半出場してペースを上げたSHアーロン・スミス
後半18分、リーグワン初トライを挙げたPR須藤元樹
後半28、33分と連続トライを挙げたFL古川聖人