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マリア論オンライン講座

神の母(祭日)お告げの祈り(教皇フランシスコ 2024年1月1日)

2024.05.10 10:40

[ポイント]

愛は相手に空間を空ける

「沈黙の母」―「アドラチオの母」

「母」の沈黙

沈黙とアドラチオの中で、主を中心に置く

驚きとアドラチオに満ちた沈黙

→主に空間を空ける:降誕から十字架のもとまで…


[試訳]

***

まなざし


愛する兄弟姉妹の皆さん、新年、おめでとうございます!

至聖なる神の母マリアを祝うこの日、

私たちに与えられた新しい時を、マリアの思いやりに満ちたまなざしのもとに置きましょう。

この一年、マリアが私たちを守ってくださいますように。


***

「母」の沈黙


今日、福音は、

マリアの偉大さが、何か並外れた行為を果たすことにあるのではないことを、明らかにしています。

むしろ、天使たちから知らせを受けた羊飼いたちが、ベツレヘムに向かって急いでいる間(ルカ2・15-16参照)、

マリアは沈黙のうちに留まっていました。

「母の沈黙」、それは美しい特徴です。


それは単に言葉の不在(言葉がない)のではなく、

神が働いておられる不思議に対する、驚きとアドラチオ(礼拝)に満ちた沈黙です。

聖ルカは記しています。

「マリアはこれらのことをことごとく心に留め、思い巡らしていた」(2・19)。


そのようにしてマリアは自分の中に、お生まれになった方への空間を作りました。

沈黙とアドラチオのうちに、イエスを中心に置き、救い主としてのイエスを証ししました。

沈黙の母、マリア。アドラチオの母、マリア。


***

このように、イエスを胎に宿し、生んだからというだけでなく、

イエスの場所を占めることなく、イエスを生んだからこそ、彼女は母なのです。


十字架の下、最も暗い時であっても、マリアは沈黙のうちに立ち、

主に空間を作り、私たちのために主を生み続けてくださるでしょう。


***

「沈黙の聖堂(cattedrale del Silenzio)」:神と人とが出会うことが出来る場


19世紀の、詩人である修道士が書いています。

「沈黙の聖堂であるおとめマリアよ、[…]

あなたは、私たちの肉を楽園の中に、神を肉の中に運んだ」


「沈黙の聖堂」:美しいイメージです。

マリアは、彼女の沈黙と謙虚さをもって、

神の最初の「聖堂」、

神と人とが出会うことの出来る場所となりました。


***

私たちの母たち


けれど、私たちの母親もまた、その隠れた気遣いや思いやりによって、

しばしば沈黙の壮大な聖堂となります。

母は私たちをこの世に送り出し、私たちが成長できるように、

何度も人目を引かず、私たちをフォローし続けます。


***

愛は相手に空間を作る


愛は決して窒息させません(押さえつけません)。

愛は相手に空間を作ります。

愛は私たちを成長させます。


***

耳を傾けるための沈黙


兄弟姉妹の皆さん、

新しい年の初めに、マリアを見つめましょう。

そして、感謝の心をもって、母親のことも考え、見つめましょう。

特に沈黙の中で培われる愛を学ぶために。

相手の尊厳を尊重し、相手が自由に自己表現できるようにし、

あらゆる形の所有、抑圧、暴力を拒絶しながら、

相手に空間を作る愛。


今日、それがどんなに必要とされているでしょうか!

互いに耳を傾け合うための沈黙が必要です。


今日の「世界平和の日」のメッセージにあるように、

「人間が利己主義、自分の利害、利益欲、権力欲の誘惑に負けるとき、

自由と平和的共存は脅かされます」。


***

愛は、尊敬、やさしさから成る


それに反して、愛は尊敬から生まれ、優しさから生まれます。

このように、愛は障壁(バリア)を取り払い、

兄弟的な関係を生き、より公平で、より人道的で、より平和な社会を築く助けとなります。


***

今日、神の聖なる母、私たちの母に祈りましょう。

新しい年、私たちが、いのちを生み出す この柔和で静かな、控えめな愛において成長し、

世界に平和と和解の道を開くことができますように。