連載カレー/ だめだ、もう、口のなか、鉄の味してきた
2016.02.14 11:06
だめだ、もう、口のなか、鉄の味してきた。
両腕のそと側、栄養が、ぜんぶとんでふるえてる。
にしても、なんで俺こんな、走ってん、だろう。
「だって私に勝てるところ、ないでしょ」
「いや、ばか。おまえばか」
「あるに決まってんだろ」
「たとえば」
「体力とか」
「タイリョク」
あーもう、
すっげー思い出してきた。あの笑いかた。
「じゃあ学校一周とかいいじゃん。私が勝つけど」
「わかった、とりあえず着替えて北門な」
「え、いまから?」
「一秒でも早くおまえを見下したいの。俺は」
よっつめの、カーブ。一塁を蹴るような、ターン。
だめだ、昼に食った、
カレー、出てきた。鉄カレー味。
最後の最後で、この坂かよ。
誰だ、コース決めたのは。俺か。
あと一歩、こいつ、より、前に、出れば、
手ぇ、つなげたり、あれ、なんで、
こんなこと、いま。
「あああああっ」
ひろげた手足が、
汗と一緒にアスファルトで焼けていく。
とまらずにしたたるその雫のように、こぼれる。
「息あがってるよ」
見上げた顔は、
逆光のせいで白い歯しか見えなくて、笑えた。
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【連載カレーとは】
カレーが1ミリでも入っていればなんとかなる的なショートストーリー
いい大人が妄想してすみません