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「宇田川源流」【大河ドラマ 光る君へ】道長と伊周の権力争いを決めた長徳の変

2024.05.14 21:00

「宇田川源流」【大河ドラマ 光る君へ】道長と伊周の権力争いを決めた長徳の変


 毎週水曜日は、大河ドラマ「光る君へ」を見て、普段歴史小説を書いている私が、思ったように適当な感想を書いているという、まあ本当に個人的なブログを流している。

しかし、最近大変申し訳ない言い方ではあるが「まひろ」の物語ではなく「道長」の物語になってきているのではないかという気がする。紫式部である吉高由里子さんよりも、藤原道長を演じている柄本佑さんの方が長い時間テレビに出ているのではないか。そのような気がしてならない。「光る君へ」というよりは「御堂関白日記」をそのまま物語長にしているような感じがしないでもない。もちろん、当時の内容は、男性を中心にしか記録は残っていないし、また紫式部日記などもあるものの、その中は中央の権力争いばかりが書かれているので、これはこれで仕方がない部分もあるのであろう。

さて今回は道長と伊周の叔父甥の権力争いが中心になっている。この回をもう死んだことになっている藤原兼家(段田安則さん)などが見たらどのようなことを言うのであろうかという感じがする。そしてその権力争いの中に、藤原詮子(吉田羊さん)がうまく影で糸を引いているというような感じになっていたのではないか。

それにしても今回は「母の日」の放映であったにもかかわらず、一条天皇の母である藤原詮子の出番が少なかったのは仕方がないことなのであろうか。

さて、今回の話のピークはまひろが清少納言(ファーストサマーウイカさん)に誘われて中宮藤原定子(高畑充希さん)と会うところであろうか。一条天皇(塩野瑛久さん)もお渡りがあり、その天皇に科挙の事を話し、民衆が能力次第で登用されるという話をし、その後に伊周(三浦翔平さん)、隆家(竜星涼さん)が入ってきて家柄だけに頼っていること丸出しの話をするという感じである。この道長の好きなまひろと伊周の対比ということが、道長と伊周の争いにおいて、初めのうちは定子への気遣いから伊周を関白にしようとした一条天皇が、徐々に道長の方が能力的に有鬚であるというように心が動いてゆくというようなことになって行く。ドラマの中で「心変わり」をうまく伝えるのは、なかなか難しいのであるが、今回は、そのようなエピソードと一条天皇の表情ということで、非常にうまく表現できているのが面白い。

光る君へ:「長徳の変」の始まりは隆家がアホすぎて!? 矢を放った相手は花山院「今度のやらかしはレベチ」

 俳優の吉高由里子さん主演のNHK大河ドラマ「光る君へ」(総合、日曜午後8時ほか)の第19回「放たれた矢」が、5月12日に放送され、終盤には中関白家が排斥されるきっかけとなる「長徳の変」の始まりが描かれた。

 第19回では、道長(柄本佑さん)が右大臣に任命され公卿の頂点に。これを境に、先を越された伊周(三浦翔平さん)との軋れきが高まっていく。一方でまひろ(吉高さん)は、ききょう(ファーストサマーウイカさん)のはからいで内裏の登華殿を訪ねることに。定子(高畑充希さん)との初対面に緊張する中、一条天皇(塩野瑛久さん)も現れ……と展開した。

 終盤、伊周は妾(しょう)である光子(竹内夢さん)の屋敷を訪ねるも、その前には見事なしつらえの牛車が。これを光子の“別の男のもの”と勘違いした伊周は「まさかあいつに裏切られるとは」とショックを受ける。

 そこで隆家(竜星涼さん)は、相手の男が誰か確かめようと強引に伊周を連れ出し、光子の屋敷へ。伊周と隆家の前で門が開き、男が出てくると、隆家は伊周の「よせ」との忠告も聞かず、矢を放ってしまう。

 屋敷の前では矢に驚いた男が尻もちをつき、ちょっとした騒動に。隆家は「脅しただけだ。当ててはおらぬ」と笑みを浮かべ、伊周は相手の男が誰かを知ろうとするが、光子の兄・斉信(金田哲さん)が「院! いかがされました、院! お気を確かに、院!」と慌てて近づく様子に、隆家が矢を向けた相手が花山院(本郷奏多さん)だと認識。伊周の顔色が変わり、ナレーションでは「長徳の変の始まりである」と語られたところで同回は終了した。

 SNSでは「しょうもないことで変を起こすなよwww」「完全に実行犯は弟やんこれwww」「とんでもねぇやらかしw」「こっちでもやらかすニーニー」などと視聴者は反応。「隆家がアホすぎて笑ってしまった」「きょうの隆家はすごくニーニーでちむどんどんした」「またしてもNHKからやらかし役を任された竜星涼だけど、今度のやらかしはレベチだぜ」といった感想も書き込まれた。

 「光る君へ」は63作目の大河ドラマ。平安時代中期の貴族社会が舞台で、のちに世界最古の女性による小説といわれる「源氏物語」を書き上げた紫式部(まひろ)が主人公となる。脚本を、2006年の「功名が辻」以来、2度目の大河ドラマ執筆となる大石静さんが手掛け、きらびやかな平安貴族の世界と、懸命に生きて書いて愛した女性の一生を映し出す。

2024年05月12日MANTANWEB編集部

https://mantan-web.jp/article/20240512dog00m200034000c.html

 その道長であっても、特別に清廉潔白なわけではない。自分の好きなまひろの父である藤原為時(岸谷五朗さん)のことを従五位下に格上げし、そのうえで国司に任ずるということになる。これは来週以降の話になるが、その中で藤原為時とまひろは、越前に行くことになるのである。まあ、そのへんはこの物語の主人公なので、結局悪いようには書かないようになっている。

そのような中で、清涼殿や登華殿の女性たちも徐々に道長を評価するようになり、伊周は徐々に孤立化してゆくようになる。そしてその権力争いの多数派が道長を支持しているというようなことになっている。

そして、後半最後に出てくるのが藤原光子(竹内夢さん)ということになる。道長の友人である藤原斉信(金田哲さん)の妹になるのであるが、そこに通ってきていた花山院(元花山天皇:本郷奏多さん)が来ているというところで、それを邪魔しに伊周と隆家が来て隆家が、矢を放つということになる。

まさにこの事が「長徳の変」の始まりになるのであるが、そのことはここでは書くのはやめて来週にしておこう。

ある意味で「権力者の放蕩息子」であり、なおかつ「自分は何をやっても許される」という甘えと奢りがあり、その二つの感情は、人生を滅ぼしてしまうというような状況になっているのではないか。人間の謙虚さがないというような形になってしまい、そのことが、様々な人に嫌われてしまうという、NHKらしい道徳的なバングものつくり方になっている。もちろん、史実がそのようなものになっており、それが「長徳の変」になるのであるが、そのまま中宮藤原定子にまで影響し、そして、藤原道長の娘彰子に繋がってゆくということになるのである。

ある意味で「伊周の奢り」が、そのまま権力争いに終止符を打った形になり、ある意味で「ウサギと亀」のような物語になってきているが、同時に、今回のドラマでは「伊周」ではなく「隆家」がその首班になっているということがなかなか興味深い。そのことをわかっている定子が取りなすというような展開が出てきて、定子も一条天皇との距離が生まれてゆくということになるのであろう。

その様に物語が「対比」と「結果」というような形で出てくることが、なかなか面白いのではないか。