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大谷弘至 official site

「古志」深川句会(5月)を終えて 2

2024.05.14 20:00

第2句座、席題(蜥蜴麦の秋父の日)です。


特選句から。


縞を着てフランス山の蜥蜴かな   金澤道子


〈フランス山〉は横浜の港の見える丘公園にある山。


縞を着たおしゃれな蜥蜴があらわれたというのですが、


土地柄がうまく詠み込まれています。


おなじく、


手囲ひにしつとり重き蜥蜴かな   金澤道子


こちらは蜥蜴の質感が的確に、かつ詩的に表現されています。


ほんたうは君は何色青蜥蜴   園田靖彦


さまざまに色が変わる様子をとらえているわけですが、


本当は何色なんだと蜥蜴に呼びかけるように詠んだことで、


童心にかえったような伸びやかな気息が一句に生まれています。

(Photo by Polina Rytova


子は父の日なぞすつかり忘れゐて   大場梅子


父の日はアメリカで誕生しました。


1910年、J.B.ドットという女性が、


すでに存在した母の日に対して、


父の日もあるべきだと訴えたことから始まったものです。


ちなみにドットの父は男手一つで6人の子どもを育てました。


そんな父の死をきっかけに父の日の必要性を感じたのだそうです。


当地では1972年から正式に国の記念日となっています。


ひるがえって日本では、いまのところあまり定着していません。


わが国における父の日のありように問題があるのか、


そもそも世の中の父という存在がすっかり忘れ去られてしまっているのか、


答えはわかりませんが、いちおう季語にはなっています。


「古志」深川句会は毎月第2水曜日に開催しています。


次回は6月12日(水)13:30〜


会場は江東区森下文化センターです。


「古志」の会員の方はどなたでもご参加いただけます。


会員以外の方は体験参加が可能です。


初心者の方も歓迎いたします。


ぜひお越しください。