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精神科医 諸藤(モロフジ)えみりの心のレッスン

復職のタイミング、逃げちゃいけないとき

2024.05.20 05:32



こんにちは、

精神科医の諸藤えみりです。


いやはやご無沙汰しております。

最近は

動画作りにヒーヒー言っていて

ブログがおろそかになっていました。



たまには書かないと

文章の書き方を忘れてしまいそう。



と、いうわけで

久しぶりのブログです。



今日は

逃げちゃいけないときについて。


逃げちゃいけないときは

「できるのに

心の弱さに負けてやらないとき」

です。


外来でこんな出来事がありました。






うつ病の方が

外来に通院されています。

(特定されないよう配慮しています。)



気分の落ち込みや

食思不振、不眠などの症状があり、

仕事を続けられる状態では

なかったので

休職を選択しました。



症状は改善し

そろそろ復職を考える時期です。



私は休職の期間や復職の時期を

ご本人と話し合いながら

決めています。



明らかに改善していないのに

「復職する!」

と言われる場合は

主治医として止めます。



患者さん本人が

しっかり休めたと自覚すること。

主治医の私から見て

精神症状が改善していること。


これらが揃ったときに

私は背中を押しています。



この方ともよく話合い、

来月の頭から

復職する予定にしていました。






しかし

先日外来に来られた際

「復職する時期を

もう少し先延ばしにできませんか?」

と言われるのです。



精神症状は改善しており

復職しても問題ありません。


理由を尋ねると

「復職するのが怖いんです。」

と言われるのです。



「来月頭から復帰するのは

最近決まったことではありません。

前から決まっていました。


なのに

急に決まったような感覚なのです。


心と体は元気になりました。

でも怖いのです。


イヤイヤ言っているだけなのは

分かっています。


復職を

7月や8月に延長できませんか?」






主治医である私は

患者さんが休職するとき、

復職後までのシナリオを

考えないといけません。



休職がダラダラ長引くと

復職しにくくなります。



なぜなら

休職中の生活が

当たり前になるからです。



慣れた生活から

違う生活に変わるのは

莫大なエネルギーが必要です。


たとえば

自転車だって最初の漕ぎ始めが

しんどいですよね。

走り始めたらペダルは軽い。



職場から離れれば離れるほど

復帰のハードルが上がるのです。






私は言います。

「復職が怖い気持ちは分かります。

休む生活に馴染むと

復職して働くことに

不安も感じると思います。


でも

この怖い気持ちや不安は

復職を延期しても

なくなりません。

ずっと付きまといます。


この感情の対処法は

復職しかありません。


腹を括って

復帰すべきだと思います。


職場から

離れれば離れるほど

復帰しにくくなりますからね。


私は◯◯さんが復職しても

やっていけると思いますよ。

ここは逃げちゃダメなところです。」



この方は

ハッとした顔をされ、

来月中に

復職する決意をされました。






逃げちゃいけないポイントが

人生にはあります。



逃げた方が一見楽に見えるけれど

それは

問題を先送りしているだけです。



今回のケースもそうですね。


延期しても

どうせいつかは

復職しないといけない。


延期した分だけ

復職のハードルは上がります。



「だったら今復職しましょうよ。」

と提案しました。



患者さんの希望は

もちろん聞くけれど、

主治医として

お尻を叩かせてもらうときも

あります。






逃げていいときと

逃げてはいけないとき。



自分が壊れそうなときは

逃げていいです。



逃げてはいけないときは

「できるのにやらないとき」

です。



かくいう私も

弱い気持ちに負けて

逃げたことがあります。


できるのにやらなかった。


そのときはよかったです。

でも、

やっぱり

手を変え品を変え

問題は

私の前に立ちふさがりました。



逃げられない。

なぜなら

できるのにやらないから。


クリアするまで何度も現れる。




以降

・できるのに

理由をつけて逃げたくなったとき

・保身に走りそうになったとき

は腹を括って

取り組んでいます。




自分に失望したくないから、

逃げなかった分だけ

自分を好きになれるから、

私は踏ん張るのです。