シエナの聖女2-染物屋娘の召命
ローマに着いたスウェーデンのビルギッタだが教皇は居ない。彼女はスウェーデン巡礼者のための宿泊施設をつくり、人達に尽くすこととなるが、その頃から彼女は度々啓示を受けるようになり、それを教皇達に手紙を書くことで名が知られるようになる。それに先立つ1347年3月25日、聖母のお告げの祝日にシエナで不思議な女の子が生まれた、カタリナ・ベンニンガサ、イタリアの運命を変えることになるシエナの聖カタリナである。
彼女は染物屋の24番目の娘、おお子沢山だ。父は街の人民派のリーダーの一人でもあり、商売は繁盛していた。6歳のとき、兄と一緒にお使いに行く途中、妹がついてこなかった。妹はそのとき、教会の屋根にイエスキリストと使徒ペトロ、パウロ、ヨハネなどが居るのを見ていた、と後から語っている。兄が戻ってくるとその人達は消えた。
そのときから、少女は一生懸命祈るようになった。8歳のとき、聖母から彼女に、「主の道に仕えなさい」との召命があったという。彼女はそれを承諾したが誰にも知らせなかった。15歳になると、両親はよい家柄の花婿を捜そうとしたがカタリナが拒む。そこで、ドミニコ会のトマーゾ神父に説得してもらおうとしたが、面会した神父は、彼女からすべてをきいて承認した。
その日、彼女は髪を短く切ってしまった。父はカンカン。「使用人のように家に置いてください」というので、どうせ無理と思って部屋をとりあげた。しかし彼女は生き生きと聖務のように仕事をこなし、使用人からも慕われるようになった。ある日、父が祈る娘の姿を覗いたら、その上に白鳩が留っていた。「こりゃホンモノだった」と父は「もう好きにしていい」と娘に言った「ただし私らを天国に行けるようにしてくれ」と条件を付けた、さすが商人パパ。