ZIPANG-9 TOKIO 2020 全国の姥神像行脚(その65)福島の姥神たち・小手姫伝説の残る川俣町 【寄稿文】 廣谷知行
令和6年1月1日午後4時10分頃発生した、能登半島地震で被害を受けた皆さまに、
心よりお見舞い申し上げます。(編集局)
福島県川俣町
中央公園にある全長7メートルの小手姫像
小手姫と思われる石像
機織神社にある小手姫木像
羽黒山の方向に向いている機織神社
福島県川俣町は、中通り地域にある人口約1万1千人の市です。
もともと養蚕業や絹織物業が盛んで「絹の里」と呼ばれていましたが現在は自動車や電子部品などの工場が多くなっています。また、新たな特産物として川俣シャモを売り出しています。
「絹の里」と呼ばれるくらい盛んだった絹織物について、この地方に養蚕と機織りの技術を伝えた人物、小手姫の伝承がこの町に残されています。
小手姫は小手子という名の崇峻天皇の妃で、山形県の羽黒山を開いたとされる蜂子皇子の母親とされ、大和時代に、蘇我氏の反乱のため息子を追って奈良からこの地に逃れてきました。しかし、結局息子とは会えず、その悲しみのため池に身を投げ亡くなったとのこと。そこで里人たちは、機織の技術を伝えてくれた恩と悲しみを癒してもらうため、機織御前と崇め祀って祭礼を行ってきました。
この伝承により、同市の中央公園には全長7メートルの小手姫のブロンズ像があり、同市最大のモニュメントとなっています。また、同像の近くに峰能観音が祀られた堂があるのですが、その周りに様々な観音像が祀られ、その中にも小手姫と思われる石像がありました。
ほかに、舘地区にある機織神社は、小手姫神社とも呼ばれ、色鮮やかな木造の小手姫像が祀られています。同像は絹織物と一緒にパリ万博にも出展されたという過去を持っているようです。さらに同神社は北西方向に向けられて建立されているのですが、これは息子の蜂子皇子が祀られている羽黒山神社の方向に向けられているためです。
・花塚山
ちびっこ天国花塚の里の長い滑り台
花塚山途中にある姥神像
大黒天と説明のある姥神像
同市にある標高919メートルの花塚山は、富士山の見える北限の山とされ、撮影された場所は富士見岩と呼ばれています。登山口近く、放鹿山神社の手前にはちびっこ天国花塚の里として、子どもたちが遊べるような広場もあり、遊具や東屋が設置され、特に山の斜面を利用した長い滑り台が目を引きます。
さて、この山に祀られた花塚大権現は湯殿山と同様のご利益があると言われています。先の小手姫の子ども、蜂子皇子の開いた羽黒山も出羽三山のひとつで、湯殿山と非常に関連性があり、川俣町についても出羽三山と深く関係していたことが疑われます。
これが理由なのかどうかはわかりませんが、その登山道の途中に姥神像が置かれています。さらに、大黒天との説明の看板がありますが、どう見ても姥神像と考えられる像もあり、全部で2体の姥神像を見ることができます。
どちらの姥神像も、登山道の途中にありますので、境界-姥神型として祀られたものと言えます。
続く・・・
寄稿文
廣谷知行(ひろたに ともゆき)
姥神信仰研究家
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発行元責任者 鎹八咫烏(ZIPANG TOKIO 2020 編集局)
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