いい写真とは?
いい写真って、一体なんでしょうか。
絵と同じく、「見る」だけで伝わる写真には、
必ず理由が存在します。
綺麗な写真。かっこいい写真。癒される写真。
「表現」の裏には、そこに写っている
被写体の魅力を始め、色彩、質感、構図など
様々な理由が備わっています。
写真と絵に共通する、「いい写真たる原因」の中で、
おそらく最も重要とされるのが、
光の質(硬い、柔らかい、直線型、拡散型など)と、
どこからその光が当たっているか(角度)です。
光の質と角度の違いによって、色彩にも大きな影響があること。
これはとても有名なことですが、
知らなかった場合には、なかなか気づけないことでもあります。
まずは、この写真をみてください。
この写真は、どの方向から光が当たっているか。
お解りになるでしょうか?
正解は、右の手前から です。
(右手前に窓ガラスがあり、光源は太陽の光のみ)
写真。 特に商業写真となると、
ストロボ(フラッシュ)を使った撮影が多いのですが、
これは、太陽の光の「強い」「弱い」
「陽が傾いて角度が変わってくる」こと等によって、
写真の完成にバラツキを出さないためです。
何品もの料理写真を撮っていると、
時間が経つにつれ、陽の入ってくる角度も違ってきますし、
雲が出たり、快晴になったり、陽が沈んだりで、
露出(明るさ)が変わってきます。
一枚一枚を丁寧に、同じ構図で撮ったとしても、
何枚もの写真を、後で見比べてみると、
明らかに違った表現の写真になってしまいます。
プロのカメラマンは、照明器具(ストロボ)
によって、そこを補います。
照明器具は、一灯だけとは限りません。
二灯、五灯。時には八灯といった、
意図的なライティング技術によって
作品(写真)を創りあげます。
カメラの性能が良くなった今、
いい写真は誰にでも撮ることが出来ます。
ただ、「どんな写真を残したいか」
この一点を、どんな状況下においても
スピーディーにクリアできるか?
と言われれば、ほとんどの人にできない事です。
「美味しそうな写真を撮って欲しい」
「ボリューム感が伝わる写真を撮って欲しい」
「高級感を出して。。」
「ディナーっぽい感じで。。」
「涼しさが伝わるように。。」
これらの問題を解決するのが、プロのカメラマンです。
◯明確なゴールを持った上で、カメラを使って表現しきる。
だからこそ、見る人に「何かが伝わる写真」になります。
飲食店にとって、いい写真とはなんでしょうか?
その答えの先に、僕たちカメラマンが居るのであれば、
ぜひとも、頼っていただればと思います。
最後に余談ですが、この写真は
「料理人と料理のかっこ良さ」をゴールに置いて
撮影したものです。
カッコいい写真を撮るには、
「影」をカッコよく見せる必要がありました。
なのであえて、「料理は逆光か半逆光」という
基本的なルールを破り、サイド光を利用しました。
余計な背景を入れずに、料理人の力強い手元をトリミング。
構図の他に、ナイフのカッコよさも
上手く引き出せました。
料理写真家 岡本 光城